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ニューヨークで琉球文化の架け橋に触れる

今年が沖縄の日本復帰50年目にあたるということを沖縄県民以外の日本人で知っている人はどれくらいいるのだろう。ニューヨークでもジャパンソサエティで沖縄関連のイベントが行われていて、メインとなる琉球舞踊のパフォーマンスに私も行ってきました。

今公演の演出ディレクターは宮城流の嘉数(かかず)道彦さんというまだ40代前半の方ですが、なんと国立おきなわ劇場の芸術監督を33歳からやっておられるとのこと。古典芸能では珍しい?舞踊家と演奏家からなる一行はいろんな流派から集められたと聞きましたがみなさん若い!特に地謡(じかた・じうてー)の演奏家たちはもっと年配の方が多いようなイメージがあったのでびっくりしました。演奏もうたも本当にうまい(当たり前だが。。)!口笛が芸術的!口笛のレコードを出してほしいと思うくらい(笑)。若手がしっかり育ってるんだなと思いました。

後でおきなわ劇場のウェブサイトを見てみると、何と地謡も女の人が多いと知ってなおびっくり。踊りは激しいものも多いのである程度若くないと厳しいとは思いました。たくさんの演目をたった5人の舞踊手で踊られたのでかなり大変だったと思います。女型もあり、作中の男性が女装して女型の女性キャラクターに忍びで会いに行くという設定もあり、一瞬頭が混乱することもありましたが、それも全てが幻想的でとにかく美しい!

演出家の嘉数さんはさすがに立ち振る舞いがいつもかっこよく、何度も役を変えて舞台に登場されるたびに見惚れました。舞台が終わった後のトイレで知らないアメリカ人の観客が「あの人はかっこよかった」と言ってるのも聞きました。大人気!

琉球舞踊と聞くと「ふーん」と思うかもしれませんが(?)、宮廷舞踊からぬんんちゃくなどの武器を持って踊る武術のような踊り、ミュージカルのような作品、民衆舞踊などいろんな種類があり、本当に豊かな芸術です。今回は組踊(くみおどり・くみうどぅい?)という歌舞劇、そして海外では滅多に見られない沖縄芝居も演じられました。沖縄芝居の台詞は全編うちなーぐちで、舞台両サイド上のスクリーンに英語の翻訳が写し出されます。日本人ではあるけどうちなーぐちがわからない私もアメリカ人に混じって英語の翻訳を読みました。不思議な感じです。

最後は拍手喝采で会場のみんなが大興奮して舞台は終わりました。

私はよく知らないので感覚的に思うだけですが、沖縄の芸術は「癒し」が根底にある気がします。それは朗々と響く三線や琴、笛、太鼓がなんとも絶妙のタイミングでちょっと「ズレ」たり絡みあったりして、舞踊手は歌詞の心と地謡の調べに想いを添えて動きます。歌の根底にあるのは昔から変わらず続く人間の気持ちや関係、自然との関わりです。どんなにコミカルで早い作品でもどこかでゆったりとしたような気持ちがある、そんなことが「癒し」を感じさせてくれるのかなと思いました。

いやあ、感動したなあ!
みなさんも次回はぜひ!
沖縄に行ったら酒場などでやっているショーもいいけれど琉球舞踊の劇場に足を運んでみてください!国立おきなわ劇場は那覇の近く、浦添市の勢理客(じっちゃく)という所にあるようです。

*写真は知り合いの大竹秀子さんのものを使用させて戴きました


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