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フライフィッシング・ハイ!尺超えイワナが1日で8本釣れた軌跡

#48|フライフィッシング/FlyFishing 
2022年7月9日/新潟県上越地方

千載一遇といっても過言ではない。私的渓流釣り史上、最高の1日が訪れた。

とある渓流でのイワナ釣り。通常であれば尺イワナが1匹で「ガッツポーズ」、2匹で「歓喜の雄叫び」、3匹で「狂喜乱舞」となるわけだが、この日はいつもと様相が異なっていた。1日の釣行で、なんと尺超えの神々しいイワナが8匹釣れてしまった。しかも35㎝超えが2匹。

この歓喜をどう表現してよいものか。余韻に長く浸り過ぎたせいもあって、文字に起こすまでに相当の月日が経ってしまった。

喜怒哀楽が五月雨式に交錯した、劇的な一日を写真と散文で綴りたい。


雪消えの桃源郷は幻に……

7月上旬のとある休日。アクセルを踏み込んで向かった先は、そろそろ雪消えしたであろうと目星をつけていたお気に入り川。眠たい目をこすりつつも、テンション上げ上げに夜道を走り抜けた。

午前4時過ぎ、やっとの思いで目的地についたわけだが、車止めにはすでに明かり……車中泊組か?ここは桃源郷への唯一の入り口であるため、先行者がいれば後追いとなり、良い釣りは望めないわけ。ただ、釣り人とは限らず、登山客である可能性も否めず、何気ない顔で釣り支度を始めてみると、一人が近寄り話しかけてきた。「釣ですか?登山ですか?…」。遠くは愛知県からメンバー6人で釣りキャンプをする計画だと、遠回しに退渓を促してくる。同様に声をかけたのは私が2人目だという。

「そうですか、どうぞ、どうぞ、良い釣りをしてきて下さい」と言うほかなかった。後退りしたものの、やるせない思いで腑に落ちなかった。致し方ないと言い聞かせ、気分下々、なくなく退散することに。

ネジを巻き直して ホームリバーへ


気を取り直して向かった先は、なじみのホームリバー。大雪後のシーズンは当たり年と言われるように、この川でも、まずまずの釣果が続いていた。

時刻は午前5時半。水温16℃。今年は最速で梅雨が明け、まともな雨はほとんど降っていない。水辺に潤いが足りていないのは明らかに見てとれる状況だ。この日も雨の気配は程遠く、晴れ時々曇り。日中は30℃を超える真夏日の予想。果たして初夏の渇水は吉と出るか?凶と出るか?

まさか…怒涛の尺ラッシュ!?

午前6時/29センチ
午前7時/岩盤際の浅瀬/33センチ
午前8時20分/巻き返し岩陰/未計測
午前8時40分/尺ジャスト
10時20分/一気に下流に走り引っ張ったイワナ/未計測
11時15分/フライを沈めてジャーク/尺ジャスト
13時30分/水温21度/しつこく流してアントパターンでヒット/31センチ
15時35分/堰堤排水口/推定35センチ超え
16時/堰堤排水口/35センチ
上の個体の別カット

『渇水』で↗↗ビカビカの尺神様降臨

釣果の一部は写真の通り。いまでも信じがたい8匹の尺超えイワナとの出会い。なかでも最大魚が釣れたのは堰堤下の深い流れだった。高さがあり、分厚いコンクリ壁に切り込まれた通水口からの流れ出し。正直、堰堤の釣りは苦手というか、これまであまり良い思いをした記憶がないのだが、この日は違った。

渇水が功を奏し、ポイントが絞られたうえに、普段届かないかゆい所に手が届いたというわけ。成長がみられない未熟なキャストながらも、減水している今だからこそ、ここぞという流れに毛鉤を乗せることができた。

ヒットシーンも鮮明だ。溺愛する大きな毛鉤がフッと吸い込まれるやいなや、ガンガンガンガン深みへと引きずり込む凄まじい抵抗が、無我の境地へと誘った。いまだに脳裏、瞼に焼き付いて離れない千載一遇のヒット。35㎝級のイワナが堰堤下で2度ヒットしたのだから驚異でしかない。

記録にも記憶にも残る会心のイワナたち。きっと先の川を譲った渓流の神様からのご褒美だったに違いない。この先、この日の釣果を超える達成感や満足感を味わうことはできるのだろうか?釣運を使い切っていないことを祈るばかりである。

そうそう、今回は割愛したが、使用した毛鉤については、また時期をみて綴ってみたい。


FF.BUM(エフエフドットバム)
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Profile
1979年生まれ。2007年に新潟県上越地方に移住。自由と孤独を愛する西洋式毛鉤(フライフィッシング)釣師。いかにして豊かな人生を歩むか、模索の日々を邁進中。

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