見出し画像

真夏の渓流 “アブ”対策を深堀り!

#30|フライフィッシング/FlyFishing

アブ飛び交う真夏の山岳渓流に身を投じ、成すすべなく噛まれ、萎えに萎えた夏の体験を備忘録として書き記しておく。


アブってどんな虫?

帰着後、車内に散見されたアブの死がい

「敵を知り己を知れば百戦殆からず」。ということで、アブについて学びを深めたい。アブは一言で表せば、ハエの仲間である。100種類ほど存在するそうだが、ハエとは根本的に異なるのが吸血するという点。10種類ほどが実施に吸血するらしく、それは全てメスのアブ。産卵に向けて、卵巣を発育させるためにタンパク質を求め、家畜や人などから吸血するわけ。

ここでポイントとなるのが「吸血」。吸血とはいっても、アブが「刺す」といよりは「噛む」が正解。大顎と小顎を使って皮膚を切り裂くように傷つけてくるのである。そして、この時の出た血を弁で吸血する。つまり、血が出るほど皮膚に噛みついてくるということ。もちろん、噛まれた瞬間はチクッと鋭い痛み感じる。釣りの最中、チクチク刺されたらたまったものではない。だから対策が必要なんだけど……。

2021年8月 新潟県内の渓流 アブ大発生

中指と薬指の根本 手のひらを噛まれました
指も噛まれました

アブに噛まれると、写真のように噛み痕がはっきりと残る。時間が経つとプクッと腫れ上がり、痒みをともなう。最長で1週間もすれば痒みは感じなくなりますが、噛まれた痕は色が濃くなり、しばらく残ります。数か所ならまだしも、数十か所かまれるとダメージが後を引くので、可能である限り避けたいところ。

生態を深堀り

新潟県上越地方の渓流で言えば、7月下旬ころから8月いっぱいにかけて、主にメジロアブ(正式名:イヨシロオビアブ)が発生する。川によって発生量は全く異なるのだけれど、なかには尋常じゃないほど飛び交う恐ろしい川も存在する。 まとわりついてくるアブは不快そのものであるが、そもそも、なぜ人に寄って来るのか。もう少しアブの生態にふれてみたい。

メジロアブの体長は1.2センチほど 翅は2枚

➀夜行性ではなく昼行性
アブは夜行性ではなく昼行性。つまり、一般的に釣りを楽しむ朝から夕方にかけて、アブの被害にあいやすいということ。特に朝夕まずめ時は注意が必要だそう。

②体温(熱)や二酸化炭素に集まる習性が?
車で釣り場に到着すると、 どこからともなくアブが現れ、車を包囲された経験はないだろうか?コツン、コンツと勢いよくボディーにぶつかってくる。釣り場に降り立てば、体の周りを覆いつくすようにまとわりついてくる。人や恒温動物(牛や馬など)の体温や呼吸するときに吐き出す二酸化炭素、また熱を帯びた車体や二酸化炭素が含まれる排気ガスに集まってくるそうだ。車の場合、エンジンを切って少し時間を置くと寄ってくるアブが減少。ゼロにはならないものの少なくなる。これは実証済みだ。

③黒色に集まる

黒いゲーターにびっしり張り付いたアブ

まずは身の毛もよだつ恐怖写真をご覧あれ。これは、ボクが8月の渓流で視線を足元にむけたときの1枚。アブは黒い色に集まる習性がある。夏場、渓流で膝回りに装着するゲーター。見事なまでに黒色の部分のみにアブがびっしり。  夏の渓流に黒は禁物。でもゲーターは厚みがあるので、この部分をアブに刺されることはありません。ちなみに赤色にも集まってくるとのこと。試したことはないので定かではないが……。

アブ対策大検証

➀防虫ネット・フィッシンググローブなど
 
②森林香

③ハッカ油
 スース―して、一時的クールさを感じることができますが、大群を前に役
 には立たず。
④虫除け(※ディート 子ども使用制限あり)
「ディート」1994年にアメリカで開発されたジエチルトルアミドという虫除け成分。アメリカ軍の兵士をジャングルなどの虫から守るために開発されました。

⑤虫除け(※イカリジン 子ども使用制限なし)
「イカリジン」1986年にドイツで開発された虫よけ成分です。皮膚への刺激が弱く、世界中で使用されています。日本では、2015年に使用承認された、新しい虫よけ成分です。

⑥天敵 オニヤンマの飾り物

このうち、実際に試してみたのは➀、②、③。経験=結論からいうと、いくらハッカ油を体に噴射しようが、森林香をたこうが、アブが大発生した場所ではどのアイテムも気休め程度でしかないということ。薄手のシャツやグローブはその上からでも攻撃を受けます。顔を覆う防虫ネットや厚手のウェアは必須。

実際に外に出る前に車のなかで防虫ネットかぶり、森林香を焚いて煙をまとい、ハッカ油を10か所以上に噴射し、対策万全で外に出たものの、瞬く間にアブの大群に囲まれてしまった。一か所でじっとしていられないほどの猛アタックを受け、さすがに萎えました。これが現実……

森林香は蚊取り線香の強烈版  車で焚くと匂いが染みつくので注意

それでも、アブに噛まれなければ釣りはできると、3時間ほど耐えに耐えて竿を振り続けました。ただ、詰めが甘かった……。皮膚を露出させないことを前提に準備していたものの、指先と手のひらが無防備でアブの餌食に。さらにアブの大群は防虫ネットの隙間をかいくぐり、ネット内に侵入。耳をチクリとやられた(涙)。

アブに噛まれて赤く腫れあがった耳(1.5倍ほどの厚みに腫れる)
噛まれた部位によって痒みの感じ方や、腫れ具合が異なる

結果的にこれだけ対応しても、6か所ほど噛まれてしまった。ただ、不思議なことに区間によってはアブが寄ってこない所もあり、まったく釣りが不可能というわけでもない。

結論

アブに噛まれないためには……最大の防御は肌の露出をなくすこと。これにつきる。肌の露出を完全になくし、飛び交うアブさえ気にしなければ釣りにはなるのだ。


FF.BUM(エフエフドットバム)
Instagram&Twitter フォロー歓迎!
■Instagram / @ff.bum
■Twitter / @FFDOTBUM

Profile
1979年生まれ。2007年に新潟県上越地方に移住。自由と孤独を愛する西洋式毛鉤(フライフィッシング)釣師。いかにして豊かな人生を歩むか、模索の日々を邁進中。

お勧めの記事
フライフィッシング・ハイ!尺超えイワナが1日で8本釣れた軌跡
渓流域に棲息する「尺イワナ」 割合は全体の3%?!

この記事が参加している募集

釣りを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?