沼ハマ…フライフィッシングのなぜ
#53|フライフィッシング/FlyFishing
2022年9月16日/新潟県上越地方/水温16.5度
何をするにも長続きするタイプではないけれど、何故だか「釣り」だけは飽きることなく続けられている。数ある釣法・ジャンルのなかでも、とりわけ毛鉤で魚を狙う「フライフィッシング」は今なお探求中である。
ここ近年の釣行回数は1年で15回ほど。20代、30代のころに比べると年々回数は減ってはいるものの、釣り歴20年以上、沼にハマっていること間違いなし。現状ペースで計算してみると、フライフィッシングの生涯釣行回数は300日。長く嗜んでいるようにも感じるが、実質の釣行はたったのこの程度。腕が上達しないのも、数字を見て納得である(笑)。
フライフィッシングの魅力は……?
なぜ釣りなのかはさて置き、数ある釣法のなかでもフライフィッシングに落ちついた理由を少し考えてみた。
英国発祥、高貴、紳士のスポーツ、リバーランズ・スルーイット……敷居が高そうなイメージが強いフライフィッシング。日本でフライフィッシング人口が増えていない現状を考えると、決して万人受けする趣味ではないといえよう。入門のしやすさを考えれば、エサ釣りやルアー釣りだってある。それでもフライフィッシングを選択したのはなぜだろう……。
フライフィッシングという釣りは、道具をそろえて、ただ糸を垂れれば魚が釣れるという釣ではない。毛鉤を巻いたり、キャスティングを習得したりと、ひと手間もふた手間もかかる。この手間を愉しみととらえて受け入れられるかどうかが沼ハマの分岐点。つまりは、手間が多い=愉しみが多い。この点が自分の嗜好やアイデンティティーに合致したほかならない。
技術の習得意外にも、普遍的でシンプルなタックルを愛でる時間も愉しい。ロッドやリールなどのタックルは、愛着をもって手入れさえ怠らなければ、幾十年たっても現役として活躍してくれることだろう。フライフィッシングにおいて、道具を慈しむ文化は特段長けているように感じる。
そうそう、渓流釣りに限って言えば、オンとオフがはっきりしているのも特徴のひとつかもしれない。渓流釣りの場合、漁協が管理している河川はおおよそ3月~9月までと、釣りができる期間が決まっているから。オフシーズンには解禁日を待ちわびながら、来るべきときに備える愉しみがある。このリセット期間こそが、長続きの鍵ではなかろうか。
幸せになりたかったらフライフィッシングを覚えなさい
中国のことわざに「幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」という有名な格言がある。これを私的に言い換えるなら「幸せになりたかったらフライフィッシングを覚えないさい」となるわけ。押し付ける気はさらさらないのだけど、
一時間、幸せになりたかたったら酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったらフライフィッシングを覚えなさい。
自分で巻いた毛針に、美しい魚たちが喰らいつく瞬間は、ドキドキとワクワク、満足感と幸福感が入り乱れる至福の時だ。話は変わるが、2022年シーズン最後の釣行では、2尾の尺イワナの顔を拝むことができた。
ここまで、いろいろ持論を述べてきたけれど、結局のところは「いい魚が釣れたら次も釣りたい」、「いい魚が釣れなかったから次こそ釣りたい」そのために作戦を練り、毛針を巻く。このループにハマり、いまだに沼から抜け出せないでいるのだ。
FF.BUM(エフエフドットバム)
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Profile
1979年生まれ。2007年に新潟県上越地方に移住。自由と孤独を愛する西洋式毛鉤(フライフィッシング)釣師。いかにして豊かな人生を歩むか、模索の日々を邁進中。
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