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【CS担当、パリへ行く】フルリモート・フルフレックスなら、海外で仕事していいの?

当noteは株式会社HRbaseのアカウントで運用しておりますが、この記事は旧社名の株式会社Flucleの時代に書かれたものです。
記事内には「Flucle」という表記が随所に出てくるかと思いますが、そのときの臨場感をお感じください。

株式会社Flucleでは、「働くをカラフルに」というミッションを体現するため、いつ・どこで・だれと働くかも個人が選択できるよう、フルリモート勤務とフレックスタイム制を採用しています。

働く場所については、セキュリティを確保した上であれば、自宅やカフェなど個人が最も集中できる場所で勤務できます。

就業時間についてもフレックスタイム制を導入しており、フレキシブルタイムの5:00~22:00の間であれば、自分の都合に合わせた時間で働くことができます。


CS担当、パリへ行く


申し遅れました。カスタマーサクセスチームの万木(ゆるぎ)です。

主な業務はユーザーとのサポートミーティングです。提供サービスの使い方や利便性をお伝えしながら、お客さまのサクセスに貢献できるよう、日々試行錯誤しています。プライベートでは2歳の娘がおり、フルフレックス、フルリモートの恩恵を存分に受けながら保育園の送迎や家事をこなしつつ、仕事と家庭を両立させています。

もともと海外旅行が大好きで、コロナによる渡航規制等も随分と緩和され、社内メンバーの「海外へ行ってきた」という話を聞いているうちに、私自身も海外旅行に行きたい欲求が高まってきました。

とはいえ、ユーザーとのミーティングが数か月先まで入っていることもある中で、どうすれば海外旅行に行けるだろうか!?と頭をフル回転させた万木の頭に思い浮かんだのは「フルリモート、フルフレックス、有給休暇」。
この3つを組み合わせると、1週間ほど旅に出られそうです!

ということで、今回思い切ってパリへ行くことにしました。

海外で仕事をするときの疑問

日程を選ぶためにカレンダーを眺めてみると、有給休暇と土日の最適な組み合わせの1週間が見つかりました。

ミーティングが入っているのはそのうちの1日だけだったため、「現地で1日仕事をしよう!」と、ミーティングが現地時間の何時になるかを確認してみると…

現地時間 4:00でした。

そこで、労務に携わる会社にいなければ思い浮かびもしなかったであろう、ある疑問が浮かびました。

「日本時間では11:00だけれども、現地では早朝の4:00。これは、フレキシブルタイムからはみ出ていることになるのだろうか?」

フルフレックス、フルリモートには制約があるのか、現地時間朝4:00時のミーティングは、フレキシブルタイムを逸脱しているのか?

これは、社会保険労務士でもある社長に聞いてみるしかありません!

また、せっかく労務に詳しいメンバーがたくさんいる会社ですので、現地時間4:00のミーティングはフレキシブルタイム外で働いていることになるのかを聞いて回ってみることにしました!

まずは社長に聞いてみた


Q:フルリモートの場合、どこまで遠方で仕事していいですか?

A:命が脅かされない場所ならどこでも!

社内Slackより

不安になるくらいあっさりした回答が返ってきました。〇〇ぐらい遠いところといった制約はないようですが、「安全なところで働いてね」という、社長の優しさが垣間見える答えです。

せっかくなのでもうひとつ聞いてみます。

Q:日本時間11:00、現地時間では4:00の場合、原則禁止となっているフレキシブルタイム外で働くことになりますか?

 A:就業規則で日本の法律を適用するって定めてるから、日本時間で判断するよ。

社内Slackより

労務に関する質問にもすぐに答えてもらえるのは、社労士の社長ならではです。これで、会社のルールに反することなく、安心して仕事ができます。

社内の労務のプロたちにも聞いて回ってみた

社長以外にも3名に協力してもらい、「日本時間11:00、現地時間では4:00の場合、原則禁止となっているフレキシブルタイム外で働くことになりますか?」を聞いてみました。

回答者たち

回答1

まずは特定社労士のI氏の回答です。長いです。ご興味ない方は2スクロールくらいして読み飛ばしていただいて大丈夫です。

【裁判所の見解】
裁判例をみると、つい先日にオランダの航空会社が日本人を採用している事案で、オランダの法律か日本の法律のどちらを適用されるかを巡った事件があったので簡単に紹介しますね。

通則法という法律で、どちらの法律を使うかの定められているのですが、労使間でどちらの国の法律を適用させるかの取り決めがあったとしても、労働基準法のような罰則のある法律については、「労働契約に最も密接な関係がある地」の法律を適用すべきと定められています。

そして、「労働契約に最も密接な関係がある地」は、原則としては労務の提供を行うべき地であり、労務の提供を行うべき地が特定できない場合(飛行機の添乗員のように国を跨いで仕事をするような場合)については、労働者を雇い入れた事業所の所在地のある地となります。

この裁判では、日本人の採用事務等についてもオランダで行っており、オランダの法律を適用させるべきと判断されました。万木さんの場合、年次有給休暇中に海外旅行に行っており、その間に数時間だけ会議に参加する、ということなんですが、この場合は、労務を提供する地が海外ということにはならないと思われます。

なので、日本の労働基準法が適用され、その適用にあたっては日本時間をベースにすることになると思います。

【3 まとめ】
今回のケースについては、法令によって深夜労働に該当する、という取り扱いをすることは強制されません。

しかし、労使合意によって深夜労働扱いにするということは可能です。(法令の基準よりも労働者の有利になるような労使合意をすることは可能なので)。
フラクルにおいて、万木さんのようなケースについて深夜労働扱いに「しなければならない」という規範は無いですが、「してはならない」という規範も無いので、労使での話し合いをする余地はあります(これはほとんどの企業に言えることだと思います)。今後、リモートワークが普及すればこんな事例は増えてくると思います。

そういった場合に備えて、フラクルがユーザーに向けてこういったケースに備えて、労使合意を形成しておきましょう、と提言するのはいいかもしれませんね!

社内に専門家がいるってすごいことですね!
長いのですが、「まとめ」が付いているのと、なにかあったら法的な面でも相談できるという安心感が生まれました。

回答3

次は労務開発チームマネージャーA氏の回答です。

海外に旅に出ている間も、日本時刻を採用してサポートミーティングに参加するのであれば、フレキシブルタイム5:00~22:00を逸脱していることにはなりません。

労働基準法上、1日とは「午前0時より午後12時」までを指します。この「午前0時より午後12時」は、労働者がいる国の時刻である旨の定めはありません。よって海外にいる間、日本時刻と現地時刻のいずれを採用するかは、労働基準法の労働時間やフレックスタイム制の趣旨に反しない限り、労使で決めることになります。

日本時刻と現地時刻の時差が大きい勤務日が続くと、お客様のサポートミーティングだけでなく社内連携業務や万木さんの健康に支障をきたすことも懸念されます。海外で勤務される前に、日本時刻と現地時刻の時差について確認し、業務や働き方に無理のでないよう上司の**さんと勤務時間についてご相談ください。

社内Slackより

常日頃、ユーザー向けにわかりやすい資料やコラムを作成しているだけあって「一般人にも読みやすいスタイル」で返ってきました。万木の健康まで気遣っていただき、ありがたい限りです。


回答3

最後は労務開発チームメンバーS氏の回答です。

今回のように「海外にてリモートワークをする」という点でみると、
法令上、日本時間/海外の現地時間のどちらを適用するか厳密に法で定められておらず、「会社の定めによる」というのが回答になります。

というのも、労働基準法の制定が昭和22年とかなり古いもので、法改正は現状の労働問題や社会的情勢を踏まえて幾度とあるものの、
“海外からリモート状態で働く”というスタイルに、未だ法が追いついておらず、法でも定められていないというのが現状です。

Flucleの就業規則では厳密に“どちらの時間を採用する”と記載はありませんが、開発チームの例で海外からリモートワークをされていた実態を踏まえると、Flucleは日本時間をベースに労働時間を管理しているかと思うので、
今回のように時差が生じても日本時間で11時であれば、フレキシブルタイムから逸脱していないということになります。

社内Slackより

「労働法ができた当時はリモートワークはなかった」、なるほど!
そしてこれまでの社内事例も記載していただき、とてもよく理解できました。

安心して決行できたパリ旅行


専門家の見解をもらった万木は、安心してパリへ出発。

現地時間4:00に予定されていたミーティングは、残念ながら?直前にキャンセルとなりましたが、旅の途中で「今は作業が捗りそう!」「移動中の機内で集中して作業をしたい!」といったときに、仕事のオンオフがフレキシブルなのは魅力的でした。

休暇中はリフレッシュのために仕事から離れるべき、という考え方もありますが、非日常空間での仕事はいつもと思考も変わり、「休暇中も仕事をしている」といった感覚よりも、「自由に過ごせている!」といった気持ちが強かったです。

今回私はフルリモート、フルフレックスの制度を利用し海外旅行を実現させましたが、その他にも、集中して仕事を行うために3〜4泊程度旅をしながら仕事をする「リトリート×仕事」を行っている社員もいます。

Slack上にベトナムのビーチから仕事をしている様子を共有している社員や、山や海の見える場所にこもっている様子を共有する社員もいて、こんな働き方もあるんだ!といった発見もあります。

フルリモートフルフレックスは信頼関係のおかげ


これまでもフルフレックス、フルリモートという自由度の高い働き方のおかげで家族の時間との両立が叶っていたのですが、今回はじめて海外で仕事をしてみて、万が一のトラブルの際も「勤務時間」に「どこにいても対応ができる」ということが安心感につながり、海外旅行へのハードルが下がったと実感しています。

1週間の長期休みを取るのはハードルが高く思えますが、旅行の出発前には上司から「思いっきり楽しんでおいで!」といってもらい、メンバーが自分の担当業務に向き合い、信頼関係の上にこの制度が成り立っていることを改めて理解できました!

ぜひまた海外旅行に行ってきたいと思います。


お読みいただいた社外の皆さま、ありがとうございました。株式会社Flucle時代を経て、今どのような会社になっているかは、株式会社HRbaseのコーポレートサイトで確認ください!

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