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ハリーポッター翻訳チャレンジ⑩ ビビりのマルフォイとファング

ハリーポッター翻訳チャレンジは10回目。ハリーとマルフォイが夜中に出歩いた罰則を受けているシーンです。

▼前回までのハリーポッター翻訳チャレンジ

※日本語版は15~20年ほど前に読んだっきりで、おぼろげな記憶があります。すでに松岡佑子大先生翻訳の影響は受けていて、潮永翻訳は自力翻訳とは言い切れません。

1巻目「ハリー・ポッターと賢者の石」(原題Harry Potter and the Philosopher’s Stone)から。

ハリーとマルフォイは夜中に出歩いた罰として、夜の「禁じられた森」でハグリットの調査を手伝っています。ハグリットの犬ファングを連れて2人と1匹で森を歩いていると、ユニコーンの死体を見つけました。

<英文>
 Harry had taken one step towards it when a slithering sound made him freeze where he stood. A bush on the edge of the clearing quivered … Then, out of the shadows, a hooded figure came crawling across the ground like some stalking beast. Harry, Malfoy and Fang stood transfixed. The cloaked figure reached the unicorn, it lowered its head over the wound in the animal’s side, and began to drink its blood.
 ‘AAAAAAAAAAARGH!’
 Malfoy let out a terrible scream and bolted – so did Fang.

J.K. Rowling , Harry Potter and the Philosopher's Stone

<潮永翻訳>
 ハリーが一歩踏み出したその時、何かがズルズルと這う音がしてハリーはその場に凍り付いた。空き地の端で茂みが揺れている…そして、陰からフードを被った人影が現れ、獲物に忍び寄る獣のように地面を這った。ハリー、マルフォイ、ファングは恐怖で立ちすくんだ。マントに覆われたその人影はユニコーンに近づいた。頭をユニコーンの傷の上にかがめ、その血を飲み始めた。
「アアアアアアアアアアア!」
 マルフォイは恐ろしい悲鳴を上げて逃げ出した―ファングも逃げた。

<翻訳しての感想やメモ>

・whenの訳っていっつも難しいね……

・some stalking beastの、単数形に付いてるsomeってどう訳すの?

・一文が長いのやめてよー。

・arghは「アー」と読むみたいです。

・役に立たねえなファング。


正解はこちら!


<日本語版>
 ハリーが一歩踏み出したその時、ズルズル滑るような音がした。ハリーの足はその場で凍りついた。平地の端が揺れた……そして、暗がりの中から、頭をフードにスッポリ包んだ何かが、まるで獲物をあさる獣のように地面をはってきた。ハリー、マルフォイ、ファングは金縛りにあったように立ちすくんだ。マントを着たその影はユニコーンに近づき、かたわらに身を屈め、傷口からその血を飲みはじめたのだ。
「ぎゃああああアアア!」
 マルフォイが絶叫して逃げ出した……ファングも……。

「ハリー・ポッターと賢者の石」松岡佑子 訳

<日本語版を見ての感想やメモ>

・clearing→「平地」か……「空き地」は誤訳?out of the shadows→「暗がりの中から」も分かりやすいですね。

・in the animal’s sideはlowered its headにかかってました。私のは誤訳です。

・「マルフォイが絶叫して逃げ出した……ファングも……。」に、ハリーのがっかり感が現れてますね。「ぎゃああああアアア!」も間抜けな感じが出てます。


ちなみにslither(スリザー)は「蛇などがズルズル這う」という動詞です。スリザリン(Slytherin)はこの単語に由来していると思われます。


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