ハリーポッター翻訳チャレンジ⑤ トロールとの戦い

ハリーポッター翻訳チャレンジ5回目は、ロンがトロールを倒すシーンです!

▼前回までのハリーポッター翻訳チャレンジ

※日本語版は15~20年ほど前に読んだっきりで、おぼろげな記憶があります。すでに松岡佑子大先生翻訳の影響は受けていて、潮永翻訳は自力翻訳とは言い切れません。

1巻目「ハリー・ポッターと賢者の石」(原題Harry Potter and the Philosopher’s Stone)から。

巨大な怪物トロールに襲われているハーマイオニーを、ハリーとロンが助けに行きます。

<英文>
Ron pulled out his own wand – not knowing what he was going to do he heard himself cry the first spell that came into his head: ‘Wingardium Leviosa!’
The club flew suddenly out of the troll’s hand, rose high, high up into the air, turned slowly over – and dropped, with a sickening crack, on to its owner’s head. The troll swayed on the spot and then fell flat on its face, with a thud that made the whole room tremble.

J.K. Rowling , Harry Potter and the Philosopher's Stone

<潮永翻訳>
 ロンは自分の杖を取り出した―自分が何をしようとしているのかも分からないまま。ロンは、最初に思い浮かんだ呪文を自分自身が叫ぶのを聞いた。「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
 すると突然、こん棒がトロールの手を離れて浮遊した。こん棒は空中に高く、高く飛び上がって、ゆっくりとひっくり返り―ガツンという痛そうな音を立てて、持ち主の頭の上に落下した。トロールはその場でフラフラとよろけ、そしてうつぶせに倒れた。ドシンという音が部屋全体を震わせた。

<翻訳しての感想やメモ>

・not knowing what he was going to doの後に,(カンマ)や.(ピリオド)が無いのはなんでだ?

・-(ダッシュ)を効果的に使えていない気がする……。


正解はこちら!


<日本語版>
 ロンは自分の杖を取り出した―自分でも何をしようとしているのかわからずに、最初に頭に浮かんだ呪文を唱えた。
「ウィンガーディアム レビオーサ!」
 突然棍棒がトロールの手から飛び出し、空中を高く高く上がって、ゆっくり一回転してからボクッといういやな音を立てて持ち主の頭の上に落ちた。トロールはフラフラしたかと思うと、ドサッと音を立ててその場にうつぶせに伸びてしまった。倒れた衝撃が部屋中を揺すぶった。

「ハリー・ポッターと賢者の石」松岡佑子 訳

<日本語版を見ての感想やメモ>

・「自分が何をしようとしているのかも分からないまま。ロンは、最初に思い浮かんだ呪文を自分自身が叫ぶのを聞いた」は長くて回りくどいですが、「自分でも何をしようとしているのかわからずに、最初に頭に浮かんだ呪文を唱えた」の方がスピード感があって自然ですね!
-(ダッシュ)の臨場感的なのも効いてる気がする(雰囲気)。

・The club flew suddenly out of the troll’s handを「こん棒がトロールの手を離れて浮遊した」と訳したのは、最近見ちゃった賢者の石の映画のイメージが先行しちゃってました。
fly out ofはふわふわ浮かぶというより、飛行機とかみたいに「飛び出す」のイメージの方が正しそう。

・a sickening crackの「ボクッ」は本当に「いやな音」ですね。

・fall flat on one’s faceが辞書で「ばったりうつぶせに倒れる」と出てきたのであまり考えずに「うつぶせに倒れた」と訳したのですが、日本語版の「うつぶせに伸びてしまった」はfall flat感が増してますね!


映像が浮かぶような、臨場感や速度感のある翻訳に憧れます!それでは!


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