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”なぜ”のかわりに”何”を問う

部下や後輩、自分の子供、家族、友人、恋人などが、遅刻をしたり提出物が遅れたとき、ついつい私たちは

「なんで遅れたの?」

と「なぜ(Why)」をきいてしまいがちです。

しかし、逆の立場で考えてみると、「なぜ」と問われることは、単に理由を聞かれているというよりも、「責められている」と感じてしまうものではないでしょうか。

だから必然的に、きかれた側は、自分を守るための言い訳をする。もしくは投げやりになってしまうことが、少なくありません。


これ、自分で自分に対しても、無意識にやってしまっていませんか?

例えば、「いついつまでにこれをやろう」と決めたのにできなかったとき、
「なぜできなかったんだろう?」と考えて、

「体調があまりよくなかったから」
「〇〇さんから電話がかかってきたから」

などと、やらなかったことを正当化する言い訳を、無意識に絞り出していることはありませんか?

もしくは、できなかった自分はダメな人間だ、と自己否定の思いを強くする。

そうしている限り、本来の目的の達成にはなかなか近づくことができません。


『insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』という本では、自己認識(自分を理解する)の際に、「なぜ」を問うことの問題点を指摘しています。

大切なのは、人がなぜと問うとき、つまり、自分の思考、感情、行動の原因を検証するとき、一番簡単でもっともらしい答えを探してしまうものだという点だ。

そして

いったん答えを見つけると、たいていそこで他の選択肢を見ることを止めてしまう

のだそうです。


そこで「なぜ」のかわりに「何」を問うことが、大きな効果をもたらし得るということが、主張されています。

「なぜ」の質問は自分を追いつめ、「何」の質問は自分の潜在的な可能性に目を向けさせてくれる。
「なぜ」の質問はネガティブな感情を湧き起こし、「何」の質問は好奇心を引き出してくれる。
「なぜ」の質問は自分を過去に閉じ込め、「何」の質問はよりよい未来を作り出す手助けをしてくれる。


具体例として、本書で紹介されている42歳の女性は、自分にこんな問いかけをしているそうです。

心の平穏が乱されたとき、わたしは「何が起こってる?」と自分に声をかけます。「自分は何を感じてる?」「自分のなかでどんな会話が繰り広げられてる?」「どんな風にすれば、この状況を別の観点から眺められる?」「よりよく対応するためには何ができる?」


ただ、例外として、ビジネス上の難題を切り抜けたり、チームや組織の問題を解決しようとする際は、「なぜ」と問うことが重要になるそうです。同じリスクが生じないように、より良くしていくために、原因を知る必要があるからです。

大まかな目安として、「なぜ」という問いは基本的に自分の周りを理解する際に役立ち、「何」という問いは基本的に自分を理解する際に役立つとのこと。

簡単なことのようですが、少し気に留めておくだけで、日々の内省が有効にできそうな気がしてきませんか?

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本日の投稿は、私が代表をつとめるダイナミクス・オブ・ダイアログのメールマガジンより転載しました。


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