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学びはコンステレーションだから

聖書を映像化したドラマ『THE BIBLE~選ばれし者たちの歴史物語~』を観た。

primeビデオの「チャンネル」で「HISTORY」を登録をすると、2週間無料で視聴できる(ちなみに、私は字幕派なのだけど、本シリーズは吹き替え版しかない)。

このドラマシリーズは、「ノアの方舟やモーゼの出エジプトなどの聖書に描かれた出来事を最新のCG技術やアクションにより壮大なスケールで映像化した物語」で、放送開始された年にアメリカでは、『ウォーキング・デッド』に次ぐ大ヒットドラマとなったそうだ。

本作からキリストの生涯を描いた話数のみを編集して製作されたのが、先日ご紹介した映画『サン・オブ・ゴッド』だ。


大元のドラマは全10話なので、日本ではおそらく2話ずつにして、5話にまとめたのだろう。90分程度のものが5本。1週間くらいかけて観終えた。

このドラマシリーズの特徴は、フィクションではなく、史実に基づいて映像化されているところだ。純粋にエンターテインメント作品として楽しめるだけでなく、聖書の内容や、ユダヤの人びとの受難についての学びにもなる。

私は残念ながら、自室の24型のテレビで見たので迫力に欠けたのだけれど(リビングのテレビは子どもたちが観ていたので)、大画面でみると、当時の空気感がより味わえるのではないかと思う。


で。
今回は、聖書についての学びを深めることが目的で見たのだけれど、ちょっとシリーズの感想を書くのは難しい。というのは、ありきたりなものにしかならないから。

どちらかというと、この映像を観た自分の感覚――視覚情報やストーリー展開のみならず、当時のユダヤの民が置かれていた状況、感じていたであろう苦しみや希望などを想像したときの感じ――を予備情報として持った上で、さらに専門的な本を読んで、理解を深め、骨格に肉付けをしていきたい、そんな段階だからだ。

ということで、引き続き、遠藤周作、三浦綾子などの本やその他の関連本を読みつつ、キリスト教や聖書の世界になじみや学びを深めていき、自分なりの感想や考察をUPできればいいなと思っている。


今、こうして聖書やイエスに触れているのには理由があって、もともとは、シナリオのスクールに通い始めたことに端を発している(!)。

自分が作品を書くには、人間を理解していないといけない。人間を理解するには、文学作品を読み込むといい。文学作品を読みとくには、歴史的背景の知識が必要だ。歴史を学んでいくと、宗教や哲学が密接に関連している。宗教や哲学には膨大な先人たちの研究があって、、、と、迷宮に迷い込んだようになっている(笑)

そんな流れのなかで、昨年は、日本文学史、日本の歴史、それからブッダの生涯や初期仏教について学んだ。

特に仏教に関しては、身近にありながら、その根本を本当に知らないなと思って、映画『リトルブッダ』を観たり、手塚治虫のマンガ『ブッダ』を読んだあとに、ブッダの教えや初期仏教に関する本を集中的に読んだ。で、学べば学ぶほど理解は深まるものの、それ以上にわからないことも出てきたのだった。

ある部分を知ると、そこに関連する他の部分を知らないと、全体像が見えてこない。部分に関連することを知らないと、その同質な部分も、異質や差異も、そして普遍的な部分もわからない。だから靄に包まれたようになる(これは私の理解のしかたに問題があるのかもしれないが)。

今一番の興味は、2つの世界宗教の始祖であるイエスとブッダの生涯について。どちらも世界の王となると預言されて生まれたという出自は似ているけれど、その置かれていた立場は対照的だ。

王子として生まれ、老病死から遠ざけられたまま育てられた、究極の箱入り息子のシッダールタ(ブッダ)。妻子も身分も捨て、自ら苦しい修行のなかに分け入って、悟りを開いたあとは弟子に囲まれ、80歳まで教えを伝えながら生きた。死ぬときも、多くの弟子に見守られながら眠るように入滅した。その弟子たちもブッダと同じように悟りを得た人物だ。

一方、大工の息子として生まれ、自身も大工をしていた時期もあるイエス。決して豊かではなく、どちらかというと貧しい暮らし送っていた。漁師のパウロの兄弟を筆頭に、弟子を増やしたものの、弟子たちは弱いし逃げるし、裏切りをする。そしてたった3年の布教期間を経て処刑されてしまうが、のちに復活してキリスト(救世主)となる。

この2人が、世界宗教と呼ばれるメジャーな宗教の始祖となっている。(実在の人物とされているなかで)この二人を超える存在は、その後歴史上には表れていない(だろう)。

しかも、ブッダは、現代においてもそのまま通用する合理的で実践的な生き方を説いた。2000年以上を経た今でもその智慧は、色あせるどころか意義や重要性を増して、私たちを救おうとしてくれているように思う。

イエスは、ビジネスの視点で見れば、創業からわずか3年で、その後、信者20億人という世界最大のグローバル企業ともいえる一大宗教を創始した人物だ。その教えに学ぶところは大いにあるだろう。

と、
なんだか偉そうに書いているけれど、まだまだペロッと表面をなぞったに過ぎないので、続いてこちらの本を読む予定。

「他人の頭に考えてもらうな」とショーペンハウエルからお叱りを受けそうだけど、興味の焦点を少しずつ移動させながら、人類の意識の歴史をたどっていけるといいなと思う。

学びはコンステレーションだから、興味の道をたどっていけば、1つひとつの欠片がつながっていくはず。つなげていけるはず。

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