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FLOWERPOWERの徒然草「憧れ。」

私は今、関内のとあるカフェにいる。

私には以前から憧れがある。
それは主には都心のスターバックスコーヒーで見かける光景なのだが、わかるだろうか。
スタバのカウンター席でMacintoshを開いてイヤホンをして仕事をしているのか、勉強をしているのかは定かではないが、何かをしているイカした若者がズラー-っと並んで座っている光景。と聞けばイメージできる人は多いと思う。

私の憧れは、
「スタバに発生しているあのズラーの一員になってみたい。」
ということだ。

しかし、私にはその一員になる前から困難になるだろうと思うことをいくつか自覚している。
その中でも特に大きな一つはこれだ。

私には極端に「集中力が足りない。」

あのズラーの列に入った時のことを想像する。
まずはそもそも外の環境でPCに向かって仕事をする。ということ自体、私の集中力ではかなり困難である。
次にイヤホンもしなければいけない。そうなると音楽を聴きながら作業をするのか、または遠隔で誰か仲良しな人とチャットミーティングでもしながら過ごすのか。それは仕事なのか?チャットで話すなら電話で話したほうがその要件は4分の1くらいの時間で済むような気がしてしまい多分集中できない。

でも私はその一員に加わりたい。その気持ちが強く、だめかもしれないがとにかく外で作業をしてみることにしようと今日は思い立ったのだ。

そして私は横浜市中区の関内駅付近のカフェに意を決して入った。
そして今私は何の音もなっていないイヤホンを耳に突っ込み、このnoteを書いている。

私の隣の席にはお年を召したマダムが一人でずるずると音を立てながら何かを飲んでいて、その音だけでも気になっていたのだが、もう一つ気になることが始まってしまった。
マダムが席で電話をし始めてしまったのだ。

「あら~久しぶりねぇ~~~」から突然開始されたその電話は、私の体感時間では多分2~30分くらい続いていた。
そろそろ電話が終わりそうだ。という雰囲気になった時、期待を裏切らない展開が起きた。

「そうね、じゃあ、ありがとうね、長くなっちゃってごめんね、今日なんかとっても暖かいけど、また寒くなるかもしれないから風邪ひかないようにね、、」と「電話 締め あいさつ」で検索したら出てきそうな定型文とも思える話しぶりがあり、いよいよ電話は終わるのか。これでnoteに集中できる。と思っていたのだが……そんな単純なものではなかった…
「そうそう、そういえば去年このくらい暖かい日に一緒にお花見しましたね、楽しかったわね、あんなに飲んじゃってねぇ、あの時はヤマモトさんもいたのかしら、あれ、タケイさんだったかしら、、、」とまた会話が始まった。
「ほんとにお互い気をつけましょうね、お酒の飲みすぎも注意してね、そうねお互いね、気をつけましょうね。」と今度こそ終わるのかと思いきや、
「そうそう、そういえばヤマモトさんの旦那さん、ご存じかしら?この間、ご自宅の階段で躓いて転んじゃって大変だったのよ、、そうよ、、救急車で運ばれちゃって大変だったのよ…」という会話が少々続き…

「それじゃあまたね、近々女子会でお会いしましょう。楽しみにしているわ。また、マルモでね。元気に集まりましょうね」
「そうね、マルモでね、あれ、前回の女子会は何月だったかしら………」
「そうだわ、去年の11月だったわね、また楽しみね、長くなっちゃてごめんなさいね、この間、マルモの娘さんにばったりあったのよ、色々値上げしたんですって。このご時世じゃしょうがないわよね、まいっちゃうわね……」
終わりそうなのに終わらない度に、「またっ!」と心の中で突っ込んでしまう。

もはや、スタバのズラーの一員になりたいことなどどうでもよくなってしまった。マダムには申し訳ないけど、私はこの会話を聞きにここに来たといっても過言ではない。

そもそも今回私には大きな間違いがあったのかもしれない。スタバの一員になってみようと思ってPCを抱えて家を飛びだしてきたのだが、この街にスタバは見つけられず、電車に乗ってまでスタバに行くのは面倒でもあったので、ここはしょうがない、スタバじゃないカフェでスタバっぽいことしてみようと選んだカフェが少しだけ雰囲気が違った。ほんの少しだけ。

SKYLEI外観
SKYLEI店内

でも、何となく、スタバよりも私はこっちの方が好きな気がする。
スタバのコーヒーより、老舗のコーヒーフロートが好きだ。
そしてズラーと座っている感じよりも所々に離れて座っていつつも空気が繋がっている感じがする客層がさらに好きだ。常連客と思われるおじいさんがトイレに行くときには、1人で切り盛りしているお母さんのような店員さんに行ってきます。と声をかけ、いってらっしゃいと返す。この感じがとても良い。

コーヒーフロート 700円

マダムは、いまだに、「海にぱー-っとお花でも撒いてあげようかしら。」と謎の会話を続けている。
電話が終わったらお花はお任せ下さい。とお声がけするべきか。

そして、私のイヤホンは今も無音のままだ。

関内 SKYLEI

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