新たな出会いと結婚を決めるまで


1.二割バッター

仲人がいる結婚相談所ではなく、自ら動く形のネット婚活が出来る相談所に登録した。初期費用が八万円程で月会費は一万円と少し。まあ、よくある無料アプリを否定する訳ではないが、身元がまず確認できるシステムだったのでここに決めた。
悲しい事に、私は全くモテなかった。顔は十人並み以下として、年齢もまあ普通。多分、「年収」に皆疑問を抱いたのだろう。
当時の私の年収は二百万程。「地雷案件(それもまあ合ってるが)」として扱われたのだろう。やはり普通に会社員をやっていれば、三百万から四百万くらいはいくものだろう。
打率で言うと一割九分。二割にも満たない感じだった。
そこで私は片っ端から自分からメッセージを送っていた。
夫も、その内の一人だった。

2.まさか父関連の……

きっかけは特技欄の「テニス」。
へえ、この人テニスやるんだ。
父もテニスをやるので、私も自然とテニス観戦は好きになっていった。
だめもとでメッセージを送ってみた。
すると、「お話しましょう。」と回答が来た。やった!と思った。
それからは一日一通のメールのやりとり。
すこしずつ読書が好きだとか、色んな事をメールで知り合った。
メールでやりとりし出してから一ヶ月、向こうから「会いませんか?」という連絡がきた。嬉しかった。それまでに一人お会いしていたが、条件の不一致で縁が切れた所だった。

3.好感触

初めて会った時、そこまで年の差を感じさせなかった。私が野球が好きな事もあり、相手もサッカーより野球派であり特に高校野球について盛り上がった。楽しかった事を伝えると相手もそう思ってくれていたようで、一週間後に水族館デートに出かける事になった。
二回目のデートで車を出してくれたが、正直これが少し怖かった。まだ一回しか会っていない人の車に乗っていいものか、悩んだ。けれど結局は楽しかったので良かった。
ただ、内気な人で自分から話を振ってくれないのでこちらから振る事になり、そこが気疲れしていた。この事がこの結婚を決めるまでに悩む理由になる。

さらに一週間後三回目のデートで猫カフェに行って、まったりとした時間を過ごした。とても楽しかったが、私は一つの決意を抱いていた。「病気の事を話そう。それでだめなら仕方ない。」と。黙っているのは失礼な気がして、一休みした時にそれを話してしまった。

夫は双極性障害なんて聞いたこともなかったようだった。それでも、病名を話す前に意思確認をすると「お付き合いしたいと思っている。」というものだったので、正直に打ち明けた。
少し考えているようだったが、「それでもいいですよ。」と言ってくれた。
なんていい人なんだろう、というのが率直な感想だった。
この人にはいい加減な返事はしたくない。なんとなく付き合って、やっぱり違ったなんて事にはなりたくない。そう思った。


4.SNSで知り合った婚活仲間との出会い

夫と出会って半年近くが経とうとしていたが、未だに返事を待ってもらっている所だった。頻繁にデートはしていたが、それこそプラトニックなものだった。

そのときSNSで知り合った婚活仲間とフェスに行く事になり、夫以外の男性と接する機会を得た。その時、夫はこの中にいるどの人よりも居心地が良い事に改めて気づかされ、他の参加者の方には申し訳ないが「夫が家族になったら絶対良い関係が築ける」と確信し、夫に「結婚を前提に付き合いたい」と告げる決断を下したのだった。

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