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エッセイ風小説 『金色に隠れた神々』 #シロクマ文芸部

 金色に染まり、揺れる稲穂。家を出て通りがかった時はまだコンバインが刈り取っていたはずなのに買い物帰り際に見ると脱穀したものが袋に詰まっていた。

リースもあるとはいえ決して安くはない農機具をたくさん使い、水を張るのもご近所さんとの譲り合い、いくつもの田んぼを管理する。

それでも自然には抗えず、今年は台風や大雨が多く、ミステリーサークルのように稲穂が傾いているのも見てきた分、無事に刈り取れたようでほっとした。

専業農家だった家族が引退して痛感した。
お米は買わなくても当たり前にあるものだと信じきっていたことを。

だからこそ、その気持ちは絶対に忘れちゃいけない。そう思って夕飯を作ったからだろうか。娘がいつになく真剣な眼差しで、湯気が立ち上る炊きたてのご飯を見つめていた。


「ママ。お米ってどうしてこんなにキラキラしているの?」
「きっとそれは農家さんが汗水垂らして育ててくれたからよ」
「そうなんだ! すごいね!」
「そうよ。それに一粒のお米に七人の神様が宿っているともいうのよ」
「だから給食のご飯も綺麗に食べるようにいわれるんだね」
「そういうことね」
「あ、パパ! お茶碗にお米の粒残ってるよ」
「ん? そうか」


よくぞ言ってくれた、娘よ。農家の息子だというのに何度、注意しても米粒を残して食器を洗う人の気持ちすら考えてくれない。


「パパ、七人の神様に呪われるよ」
「本当にそうよ」

と娘とともに応戦する。


そろそろ七人の神様に一生お皿洗いする呪いにかけられてしまえばいいのよ! という言葉だけは娘の前では言えず、白米と一緒に飲み込んだけれど。


 先日、祖母のお見舞いに行った時にちょうど稲刈りをしているのを見かけて。認知症が進んだ祖母でも稲刈りやお米、野菜の言葉だとよく話してくれたというのもあるし、父に「米粒残すなよ? ヒゲにお弁当つけても可愛くないからな?」という牽制小説でもあります🙈それまでにも散々注意してるんやけどなあ😮‍💨<神様にお願いしたいくらい!)

 それとも神無月だからお出かけ中かしら? と思い、調べてみたらお留守番組もいるみたいでちょっとほっこり🍠しました🤤笑

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