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短編小説 『消えた鍵の行方』 #シロクマ文芸部


 消えた鍵が見つからない。

 鞄の中をまさぐってみても
 ポケットを叩いてみても見つからない。

 ハサミさんのおまじないで
 チョキチョキしながら

「ハサミさん ハサミさん
 私の失くしたカギはどこにありますか?」
 
 部屋の中を隈なく探してみたけど
 それでもやっぱり見つからない。

 仕方ない。とりあえずご飯でも食べよう。

 
 そう思い、ハサミさんをテーブルに置き
 冷蔵庫を開くと手前にあるものを避けて

 つまみになりそうなものと
 缶ビールを取り出す。

 プシュッと音を立てて
 プルタブを開けるとともに
 まざまざと甦る記憶。

 あぁそうだ。

 
 あの大好きな彼の家のスペアキーは

 一方的に別れを告げられて
 むしゃくしゃしながら酔った勢いで

 誰にも渡されないように
 お酒と一緒に飲み込んだんだった。


 さすがハサミさん ありがとう。

 テーブルの傍らにあるハサミさんに
 お礼を述べる。

 それにしてもハサミさん……

 どうしてこんなに赤黒く
 汚れているんだろう?

 ま、いっか。

 
 カギもカレもちゃんと
 見つかったんだから。


 思いつきで書いてみたのだけど、字数が444というゾロ目で何とも言えない気持ちになりました。解釈はご自由にどうぞ~

 みなさんの作品も見に行きますね~!
レッラゴー♪

 よかったら、こちらもどうぞ~

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