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#シロクマ文芸部

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シロクマ文芸部のお題で書いた詩や小説をまとめています。
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#ショートストーリー

駄洒落小説 『咳をしても金魚』 #シロクマ文芸部

「咳をしても金魚」 という言葉を小学生の僕に教えてくれたのはじーちゃんだ。 日曜日の昼下…

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1年前
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3分小説 『朧月よ、朧月よ』 #シロクマ文芸部

「朧月よ、朧月よ」 『おぉ、どうしたんだ?』 ぼくが問いかけると、すぐさま返事が届く。 …

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3か月前
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詩小説 『愛しき梅の花よ』 #シロクマ文芸部

 梅の花のつぼみがふくらむ季節に  机をくっつけてぼくの教科書を  いっしょに見ていた時…

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4か月前
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詩小説 『珈琲とあなた』 #シロクマ文芸部

 珈琲とともに読書をしている私は  本当は珈琲があまり好きじゃなかった。  飲めないわけ…

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7か月前
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オマージュ愛小説 『You Are My Superman』 #シロクマ文芸部【B面】

「りんご箱から転がってきて……」 と言う朱梨は必ずといっていいほど待ち合わせ時間に遅れて…

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8か月前
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詩小説 『りんごコロコロどこへ行く?』 #シロクマ文芸部【A面】

 りんご箱を  自転車の後ろのカゴにのせ  我が家への坂を立ち漕ぎで登る。  さてさて何を…

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8か月前
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オマージュ小説 『秋桜のスローバラード』 #シロクマ文芸部

 秋桜畑をドライブした帰り道  フロントガラスから落陽を眺めて  俺は絶望を覚える。  パンクした車の中で  助けを待つなんて……  ドライブになんか誘わなければ  あのときに道を間違わなければ  こんなことには  ならなかったかもしれないのに。  今さら悔やんでも仕方ないことを  うじうじと考え、また落ち込む。  小春もさぞ不安な思いをしているだろう  と ちらりと助手席に視線を送れば  「このままだとスローバラード的な   展開になるのかな?」  と呑気に呟

詩小説 『秋桜と父』 #シロクマ文芸部

 『秋桜』という曲があったことを  ふと思い出したのは実家に呼び出され  長年 物置小屋化…

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8か月前
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4分小説 『ここがスタートライン』 #シロクマ文芸部

「走らないで!」  見知らぬおじさんが叫ぶも私のことだとは思わずスルーする。現に私は電車…

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8か月前
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2分小説 『月めくりのうら』 #シロクマ文芸部

「月めくりをしたら、そのうらには何があるの?」  来年には小学生になる娘が私を見上げて、…

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8か月前
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詩小説 『そのまんまでいいんだよ』 #シロクマ文芸部

 読む時間  それはきっと空気を読む時間。  そう思いながら  私はこの広くて狭い世界を生…

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9か月前
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選択制小説 『だから私は秋が好き』 #シロクマ文芸部

 秋が好き。だって新米の季節だから。 そして、白米は毎日食べても飽きないほど、日常に欠か…

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9か月前
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詩小説 『愛を知る犬』 #シロクマ文芸部

 愛は犬が知っているんだと  つくづく思う。  今だってほら。  息が上がってソファーに…

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9か月前
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駄洒落小説 『愛は犬に宿る』 #シロクマ文芸部

 愛は犬に宿るという。  そんな噂を聞いたからだろうか。  道路を挟んだ向こう側に  三人のおばあちゃんズが  犬を連れて歩いているのが目に止まる。  揃いも揃ってトイプードル。  一人は自分の歩行器に乗せ  残り二人は歩行器とリードの両手使い。  もはやどっちの散歩なのか……  どちらにせよ  健康的であることに違いはない。  きっとおばあちゃんズも  飼い犬を愛し 世話をすることで  寂しさを埋め 自分達の行く末を  案じる気持ちを抑えているんだろう。  愛は