短編小説 『銀河売り』 #シロクマ文芸部【A面】
『銀河売り』というスーパーの、のぼり旗が風に乗ってパタパタと翻る。
「お母さん、あれなんて書いてあるの?」
「ぎんがうりって書いてあるのよ」
「ぎんがうりってなあに?」
買い物カートを押す母親の側を歩く女の子が訊ねると
「そうね……少し早いけど、買って帰ろうかしら。その方がわかりやすいものね」
少し思案してから一人納得した様子で呟く。
大きな玉をいくつか軽く叩き
「これが一番良さそうね」
とカゴに入れる。
「なんで叩くの?」
「いい音がすると食べ頃なのよ」
「