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#シロクマ文芸部

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シロクマ文芸部のお題で書いた詩や小説をまとめています。
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#創作大賞2023

駄洒落小説 『咳をしても金魚』 #シロクマ文芸部

「咳をしても金魚」 という言葉を小学生の僕に教えてくれたのはじーちゃんだ。 日曜日の昼下…

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1年前
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短編小説 『消えた鍵の行方』 #シロクマ文芸部

 消えた鍵が見つからない。  鞄の中をまさぐってみても  ポケットを叩いてみても見つから…

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11か月前
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駄洒落小説 『街クジラ』 #シロクマ文芸部

 街クジラが溢した涙で、干上がりそうになっていた海が潤ったというニュースを、お調子者の街…

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オマージュ詩 『街クジラ』 #シロクマ文芸部

 街クジラ ゆったり漂う 街クジラ  空から見守る 優しいクジラ  街住人 あくせく働く…

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短編小説 『海砂糖』 #シロクマ文芸部

「海砂糖の紅茶専門店を見つけたんだけど、今度行ってみない?」 そう話しかけてくれたのは同…

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短編小説 『銀河売り』 #シロクマ文芸部【B面】

『銀河売り』という、中吊り広告が窓から入り込む風に乗ってペラリと翻る。 「お父さん、あれ…

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短編小説 『銀河売り』 #シロクマ文芸部【A面】

『銀河売り』というスーパーの、のぼり旗が風に乗ってパタパタと翻る。 「お母さん、あれなんて書いてあるの?」 「ぎんがうりって書いてあるのよ」 「ぎんがうりってなあに?」 買い物カートを押す母親の側を歩く女の子が訊ねると 「そうね……少し早いけど、買って帰ろうかしら。その方がわかりやすいものね」 少し思案してから一人納得した様子で呟く。 大きな玉をいくつか軽く叩き 「これが一番良さそうね」 とカゴに入れる。 「なんで叩くの?」 「いい音がすると食べ頃なのよ」 「

詩小説 『ガラスの手』 #シロクマ文芸部

 ガラスの手を今年も軒先に吊るす。  夏祭りに飲んだラムネ。  おまえは炭酸が苦手だった…

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短編小説 『ガラスの手』 #シロクマ文芸部

「ガラスの手みたいだね」 と、よく言われる。それは血管が透けて見えるほど私の手の皮膚が薄…

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詩小説 『恋は猫』 #シロクマ文芸部

 恋は猫のように気まぐれで  熊猫のように手がかかる。  海猫のように一途に心に浮かべた…

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私小説 『月の耳』 #シロクマ文芸部

「月の耳さん、今夜もお話聞いてくれる?」  窓辺に肘をつき、薄い雲に隠れかけている月に向…

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3分小説 『月の耳と星の耳』 #シロクマ文芸部

『月の耳、星の耳を食べてみませんか?』  帰り道に見つけた店先の黒板に書かれた文字をじっ…

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青春ミステリー 『初夏を聴く』 #シロクマ文芸部

 『初夏を聴く』というフレーズに、僕は頭を悩ませる。  ここは市立図書館。 ヤングアダル…

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1年前
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詩小説 『初夏を聴く』 #シロクマ文芸部

 初夏を聴くといえば  カエルの鳴き声。  明日は雨になるのかな?  傘を忘れずに持っていこう。  初夏を実感するといえば  朝晩と昼間の温度差。  朝はまだ冷えるけど、日中は暑くて  ブラウスの袖口をまくる。  初夏を仰ぐといえば  目にも眩しい葉桜。  薄ピンクに咲き誇っていた桜は  お先に衣替えしたみたい。  初夏を眺めるといえば  青空に映えるうろこ雲。  屋根より高いこいのぼりが  空に散りばめたうろこなのかもと思うと  ちょっぴりおもしろい。  初