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#シロクマ文芸部

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シロクマ文芸部のお題で書いた詩や小説をまとめています。
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#スキしてみて

駄洒落小説 『咳をしても金魚』 #シロクマ文芸部

「咳をしても金魚」 という言葉を小学生の僕に教えてくれたのはじーちゃんだ。 日曜日の昼下…

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1年前
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7分小説 『カメさんモード』 #シロクマ文芸部

変わる時に 変わるものは、もしかしたら…… 「ほれ! 早行ってこい!」 「うげーめんどくさ…

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2か月前
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詩小説 『愛しき梅の花よ』 #シロクマ文芸部

 梅の花のつぼみがふくらむ季節に  机をくっつけてぼくの教科書を  いっしょに見ていた時…

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4か月前
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3分恋愛小説 『もうすぐバレンタイン』 #シロクマ文芸部

チョコレートだけが 知っている二人の行く末。 ご賞味あれ。  三時間目の授業が終わって、先…

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4か月前
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2分小説 『雪化粧に染まるまで』 #シロクマ文芸部

 雪化粧に染まる季節。平凡な毎日も、降り積もっては溶ける雪のように時は移り変わりゆく。 …

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5か月前
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140字駄洒落小説 『詩と暮らす』 #シロクマ文芸部

 と書き置きを残し  相棒が消えた。  寂しいが  もうここにはいない。  私のせっかちな…

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7か月前
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詩小説 『珈琲とあなた』 #シロクマ文芸部

 珈琲とともに読書をしている私は  本当は珈琲があまり好きじゃなかった。  飲めないわけではないけれど  苦味や酸味になかなか馴染めなかった。  そんな私の傍らに置かれた珈琲。    どうかこの物語の中の  恋だけでも実りますように なんて  らしくもないことを願いながら、  私は昔から少数派だった。  サクサクと音を立てて食べる  かき揚げも好きだけれど  天つゆやうどんの出汁に  じわりと油をにじませ  少しずつほどけていく具材を  ひとつひとつ味わう方が好き。

オマージュ愛小説 『You Are My Superman』 #シロクマ文芸部【B面】

「りんご箱から転がってきて……」 と言う朱梨は必ずといっていいほど待ち合わせ時間に遅れて…

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8か月前
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オマージュ小説 『秋桜のスローバラード』 #シロクマ文芸部

 秋桜畑をドライブした帰り道  フロントガラスから落陽を眺めて  俺は絶望を覚える。  パ…

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8か月前
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詩小説 『秋桜と父』 #シロクマ文芸部

 『秋桜』という曲があったことを  ふと思い出したのは実家に呼び出され  長年 物置小屋化…

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8か月前
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1分小説 『無敵な連携プレイ』 #シロクマ文芸部

「走らないで!」 という悲痛な叫びに団地内の公園にいた大人達が一斉に振り返る。 「どうし…

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8か月前
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2分小説 『月めくりのうら』 #シロクマ文芸部

「月めくりをしたら、そのうらには何があるの?」  来年には小学生になる娘が私を見上げて、…

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8か月前
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詩小説 『そのまんまでいいんだよ』 #シロクマ文芸部

 読む時間  それはきっと空気を読む時間。  そう思いながら  私はこの広くて狭い世界を生…

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9か月前
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選択制小説 『だから私は秋が好き』 #シロクマ文芸部

 秋が好き。だって新米の季節だから。 そして、白米は毎日食べても飽きないほど、日常に欠かせない存在だから。 「楓ー!」 「なにー?」 「お父さん給食センターに卸してくるから、これ配っといてくれるか?」 「うげ……めっちゃあるやん!」 「いつもの五人な。リヤカー使ってでええから」 「はぁい!」  私は、代々続くお店屋さんが立ち並ぶ銀杏商店街に住んでいる。 その中でも、かなり年季の入った看板『秋穂精米店』を掲げているのが我が家である。 全国津々浦々のブランド米を取り揃えて