選択制小説 『だから私は秋が好き』 #シロクマ文芸部
秋が好き。だって新米の季節だから。
そして、白米は毎日食べても飽きないほど、日常に欠かせない存在だから。
「楓ー!」
「なにー?」
「お父さん給食センターに卸してくるから、これ配っといてくれるか?」
「うげ……めっちゃあるやん!」
「いつもの五人な。リヤカー使ってでええから」
「はぁい!」
私は、代々続くお店屋さんが立ち並ぶ銀杏商店街に住んでいる。
その中でも、かなり年季の入った看板『秋穂精米店』を掲げているのが我が家である。
全国津々浦々のブランド米を取り揃えて