短編小説 『平和な世界をつなぐバトン』 #シロクマ文芸部
「平和とは、こういうことを言うのかしら」
おばあちゃんは、窓辺から空を華やかに彩る光を見て呟く。
薄闇の中、しゅるるるる~と昇った龍が、口から色鮮やかな丸い炎を吹き出すと、一瞬の煌めきとともに光の粒が散り散りになってわずかに残した煙が風に流され、ふぅっと消えていく。その後にバトンパスのような力強い音が鳴り響く。
その光景がなんとなく人間の生き様のように感じるのは、今の私では想像もつかない時代を生き抜いてきたおばあちゃんと一緒にいるからだろうか。
「あの人がこの景色を