8分小説 『そういえば、もうすぐ春が来る』
定期テストの結果で下位グループに属する少数の生徒にあてがわれる北館の教室。通称北の掃き溜め。
晴れるともわもわと蒸し暑く、雨が降るとジメジメと鬱陶しくて、その日の天気がそのまま教室内の空気を作り出していた。
そんな教室の窓際の列の一番後ろが、英語の授業での私の席である。
背後には誰にも座られることのない机や椅子が山積みになっていて、いつ崩れ落ちてくるかひやひやしながら、私は今日も電子辞書で漢字ゲームに勤しむ。
「だから、現在の完了形は……」
誰一人として真面目に