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ショートストーリー

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オリジナルのテーマで書いた短編小説をゆるゆる更新。ごゆるりとお楽しみください。(読める時間は概ねです。)
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#ショートストーリー

3分小説 『視線ひとつで救われる』【B面】

 夢、を見たような気がする。 いつものように路上ライブを終えて、アパートに帰ると家財道…

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2週間前
10

4分小説 『天使だって梯子を使う』 【A面】

 我ながらどうしてこうも荷物が多いんだ、と毎度愚痴りたくなるほど重たいトートバッグを肩に…

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2週間前
9

オマージュ恋愛小説 『remembrance』 前編

 ジリリリ……というベルの音に、脳を揺さぶられるようにして目を覚ます。 開ききっていない…

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2か月前
5

5分小説 『正しいお金の使い方』

 やっと訪れた休日。 昼過ぎまでぐっすり眠って、午後からお気に入りのおつまみとビール片手…

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6か月前
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20字小説 『エモすぎる謎ねぶた』 #毎週ショートショートnote×小牧幸助文学賞①

推しのエモすぎる謎ねぶた目蓋を祀り眠り。 (勝手に織り混ぜてすみません🙇💦特に注意事項に…

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6か月前
14

5分小説 『お待ちかねハロウィン』

「ただいま」  返事はないだろうとわかっていながらも、暗い家の奥へ声をかける。 もしかし…

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7か月前
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3分小説 『新しい朝が来る』

「くっそー! またいちばん取られた!」  先に集会場についていたわたしを見て、駆は首にかけていたラジオ体操の出欠カードを地面に叩きつける勢いでくやしがる。 「へっへーんだ!」 「ったくおまえ、何時に来てんの?」 「5時55分!」 「気ぃ早すぎ!」 そういう駆だってせっかちなくせに。 「明日こそは、絶っ対に未来より先に来てやる!」 と負け惜しみを口にする駆を無視してわたしは家から持ってきたラジカセのチューナーをセットする。 放送が始まるまでまだ30分近くあった。

5分小説 『よい心地』

 賑やかな披露宴会場から抜け出し、パウダールームの鏡に映る自分とにらめっこして、崩れてし…

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10か月前
10

5分小説 『買われてたら兄妹』

「おかあさ~ん!」  デパートのお土産売場を歩いていたら三歳くらいの女の子が泣き叫んでい…

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1年前
9

8分小説 『君とデートするために生きている』

 白衣を翻しながら、待ち合いのベンチで目を閉じ俯いている男性にそっと近づく。 「こんにち…

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1年前
5

3分小説 『雨降り仲直り』

 くだらないことで彼女と喧嘩した。 俺がただあげたいから指輪を買おうとしただけなのに、そ…

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1年前
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5分小説 『そのままの、きみがすき』

 初めて会ったときから笑顔がかわいい人だな、と思っていた。その印象は今でもずっと変わらな…

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1年前
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5分小説 『どうしようもないふたり』

「結局ふつーの恋愛ができるのは、ふつーの家庭で育った人だけなんだろうな」  部活終わりに…

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1年前
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8分小説 『そういえば、もうすぐ春が来る』

 定期テストの結果で下位グループに属する少数の生徒にあてがわれる北館の教室。通称北の掃き溜め。 晴れるともわもわと蒸し暑く、雨が降るとジメジメと鬱陶しくて、その日の天気がそのまま教室内の空気を作り出していた。  そんな教室の窓際の列の一番後ろが、英語の授業での私の席である。 背後には誰にも座られることのない机や椅子が山積みになっていて、いつ崩れ落ちてくるかひやひやしながら、私は今日も電子辞書で漢字ゲームに勤しむ。 「だから、現在の完了形は……」 誰一人として真面目に