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インタビューしていただきました

先日、ライターとして活動されている谷部文香さんに取材をしていただき、私のことを記事にしていただきましたので、ご紹介させていただきます。
以下は谷部文香さん作成記事です。


ひたむきな努力とまっすぐな思いが、社会に幸せを広げる

社会保険や労働関連の法律の専門家として、人事や労務管理を行う社会保険労務士(以下、社労士)。

今から4年前の2020年、茨城県つくば市で社労士として独立した女性がいる。「FLOW社会保険労務士事務所」の代表を務める、中村まどか(なかむら・まどか)さんだ。

社労士として「社会をより良くするパートナーでありたい」との思いを持つ中村さんだが、その思いに至るまでどんな人生を歩んできたのか取材すると、学生時代より目標に向かってまっすぐで、努力家な彼女の姿が何度も見えた。

今回はそんな中村さんが歩んできた人生を振り返るとともに、社労士を目指したきっかけや理想の将来像などについてお話を伺った。

努力した分だけ必ず結果は出る。アルペンスキー競技一筋の学生時代

FLOW社会保険労務士事務所の代表・中村まどかさん

中村さんの目標に対して一途で一生懸命な姿の原点は、小学生までさかのぼる。

現在の社労士の姿とは異なり、高校生までは旗門を通過しながら斜面をいかに速く滑り降りるかを競うアルペンスキー競技(以下、アルペンスキー)一筋だった。

その当時、中村さんのお姉さんがアルペンスキーをはじめていたことがきっかけで、中村さんも自然とアルペンスキーに興味を持つようになったという。

「アルペンスキーの指導者は父でした。父が地元のアルペンスキーの大会に姉を出場させて、姉が良い成績を取ったんです。それが父としても嬉しかったようで、父は指導者としてアルペンスキーにのめり込んでいきました。私も姉や父の後ろをついて歩き、小学校1年生のときからアルペンスキーに取り組むようになりました」

アルペンスキーの面白さと当時の思いをこう振り返る。

「アルペンスキーは、練習し努力した分だけ必ず結果が出る競技です。私もたくさん練習を重ねて、県の大会や全国大会に出場しました。いつしか夢はオリンピック選手になること。私がアルペンスキーを続けられたのは、父の熱心な指導のおかげです」

アル ペンスキーの選手として活躍した学生時代(写真提供:中村まどかさん)

またそんな父に対しても、尊敬の念を抱いている。

「父はとても寡黙な人ですが、決めたことに対してまっすぐ突き進む、情熱のある人です。私がアルペンスキーに取り組んでいたとき、父は間違いなく子ども中心の生活をしていたと思います。父はごく普通の会社員だったので、仕事終わりに片道1時間半ほどかかるスキー場に毎日送り迎えをしてくれました。子ども第一優先で考えてくれた父の姿は自分が親となった今、簡単にできることではないと感じており、父を尊敬しています」

熱心な父のもとで、アルペンスキー選手として飛躍。オリンピックも夢ではないかもしれないと期待した最中、2度の怪我が中学生の中村さんを襲った。

出場が決まっていた全国大会に出られない悔しさと「また怪我をするのではないか」という恐怖心を抱くようになったという。

そんな不安な気持ちを抱きながらも「私にはアルペンスキーしかない」と、青森県内にある高校にアルペンスキーの特待生として入学。コーチのもとで下宿生活が始まった。

しかし、不安が拭えなかったと当時を振り返る。

「怪我の影響や親元を離れた不安、周りと同じように高校生らしいことができない寂しさから、楽しかったはずのアルペンスキーを早く辞めたいと思うようになりました。試合に出場が決まっても消化試合。燃え尽き症候群のような形になったことを今でも覚えています」

自分を支えてくれた親に安心してもらいたい

アルペンスキーとの出会いから12年。ついに大好きな競技からの引退を決意した。

アルペンスキー一筋だった人生。この先どうすればいいのだろうかと悩んだ中村さんだったが、父親譲りであろう、まっすぐに突き進む芯の強さが、すぐに次の道を開く。

高校卒業後に就職するイメージが湧かず、姉が大学へ入学する姿を見て、大学進学を決めた。しかし「親に迷惑をかけたくない」という思いから、夜間の大学を選択したのだそう。

そのときの思いを真剣な表情で振り返ってくれた。

アルペンスキーから大学進学へと目標を変えた当時の思いを語る中村さん。穏やかな雰囲気と人を包み込むような優しさがありながらも、芯の強さが垣間見えた

「アルペンスキー一筋だったので、勉強はさほど得意ではありませんでした。高校3年生から受験勉強を始めて入学できる大学は限られていたんです。その当時、自己推薦という方法で入学できる夜間の大学を見つけ、アルペンスキーとともに歩んできた自分の人生を精一杯大学側へ伝えました。有難いことにその大学の法学部への入学が決まりました。一般的な会社員家庭にも関わらず、惜しみなくアルペンスキーに取り組ませてくれたこともあって、親に対しては『迷惑をかけたくない』『安心させたい』という思いがとても強かったです。昼間は学費を稼ぐために働いて、夜に大学へ通う生活。大学卒業後は両親に喜んで、安心してもらえるような仕事に就こうと必死でしたね」
 
アルペンスキーの次なる目標は、自分を支えてくれた親を安心させること。目標に向かってまっすぐな中村さんが、再び垣間見れた瞬間だった。

ライフステージの変化で気付いた「誰もが働きやすい環境を作りたい」という思い

そんな中村さんの思いと努力が実り、大学卒業後は東京都内にある金融系の企業に就職が決まった。

営業事務として社会人生活が始まったものの、想像していた世界とは異なりカルチャーショックのような感情が生まれたのだという。

「専門用語が多く、覚えるのがとにかく大変でした。周りは優秀な人ばかり。置いていかれないようについていこうと必死だったのを今でも覚えています。周囲は、アナリストになるなど目的意識を持っている方が多い中で、私はそうではなかった。両親を安心させたいという思いのまま入った中で、自分自身がどうありたいか、わからずこれから先もこの会社で働く自分の姿は想像できませんでした。」

今後について悩む最中、結婚を機に会社を退職。東京都からご主人の地元である茨城県へ引っ越しをした。その後、保険協会やIT系の企業で働く中で、妊娠や出産などライフステージが変化。

特に子どもが生まれたことで、仕事に対する気持ちが大きく変わったという。

「仕事と家庭をきちんと両立していきたい気持ちが強かったのですが、子どもが小さいうちは時短勤務。当時の上司からは『今のままでは出世は難しいと思う』と言われました。何事もやるからには上を目指したかったので、その言葉にモヤモヤしていました。ですが、子どもに何かあると保育園から呼ばれるのでお迎えにいかなければなりません。その中で気付いたのは、今後育児が自分のキャリアの選択肢を狭めるような一企業の社員として働く選択肢は取り難いということでした」

石垣島での家族旅行の様子。ご主人にもサポートしてもらいながら仕事と家庭を両立し、子どもたちとの時間を大切にする中村さん(写真提供:中村まどかさん)

現在2児の母である中村さん。2人とも女の子で、子どもたちが大人になったとき、自分と同じような思いをしてほしくない。そのためにも「誰もが働きやすい環境を作りたい」という思いが芽生えた。

その思いを形にするため、会社の制度やしくみを意欲のある方が柔軟に働けるように変えられる存在になろうと、社労士を目指す決意を固めた。

社会をより良くするパートナーでありたい

社労士試験の合格率は、平均して約6%~7%という難関の国家資格。中村さんは育休中も体調を見ながら勉強に明け暮れた。

そして、2度目の試験でついに合格。2020年、念願だった社会保険労務士事務所を開業し独立した。

開業から4年。現在も、根本にある思いは変わっていない。

笑顔で社労士の合格証書を手に持つ中村さん(写真提供:中村まどかさん)

「社労士として独立するという一つの目標を達成し、今の働き方にも満足しています。ですが、会社のしくみや制度はもっと良くなると思っています。そのためにこれからも社労士として誰もが働きやすい環境を作っていきたいです」

そして、中村さんだからこそ思い描けるであろう、理想の将来像についてもこんな風に語ってくれた。

「経営者であれば、会社の業績を上げることは最優先事項になって当然だと思います。ですが長期的に見た際、会社が成長するために大切なのは、社員にとって働きやすい会社にすること、つまりは労働環境の改善が一番だと考えています。結果として社員の会社への満足度が向上し、会社としても成長していきます。社員が幸せになることで、その幸せは社員の家族にも波及するはずです。経営者との対話を通じて、社員の幸せを生み出す。そんな会社を増やしていきたいと考えています。大きく言えば、経営者のパートナーのような存在でありつづけることで、社会全体をより良くデザインしていくことに貢献したいと思います。

関わる人や組織を幸せにしていく存在でありたい

「今後は今まで以上に仕事に力を入れていきたいです」と話す中村さん

中村さんが社労士について「経営者を専門分野でフォローするだけでなく、一企業の成長に携わり社員の幸せを生み出すやりがいのある仕事」だと笑顔で語ってくれたのが印象的だった。

自身が目指したい姿は何なのか悩み苦しんだ過去。それら全てが糧となり、今の中村さんがいるのではないだろうか。

アルペンスキー一筋だった当時と変わらず、目標に向かってまっすぐに突き進むその姿から「社会をより良くするパートナーでありたい」という強い思いが伝わってくる。

そんな彼女の思いは、ここつくばから広がり続けていくだろう。

Profile

FLOW社会保険労務士事務所
代表 中村まどか
秋田県大館市出身。
大学卒業後、みずほ投信投資顧問株式会社(現 アセットマネジメントOne株式会社)にて営業事務を担当。結婚を機に茨城県へ転居し、全国健康保険協会にて社会保険業務に携わる。その後、キヤノンシステムアンドサポート株式会社において基幹業務ソフトの導入支援、インストラクター、運用のサポート等に従事。育児休業中に社会保険労務士の資格を取得し、社会保険労務士事務所勤務後、独立開業。

インタビュー実施日:2024年2月26日

取材・文・写真(提供を除く) 谷部文香

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