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Do you like タコス?

メキシコ料理はスパイシーで辛そうという印象が強いかもしれませんが、実は日本人の口にも合う味付けの美味しい伝統料理がたくさんあります。

メキシコの肥えた豊かな大地で作られた野菜や豆はどれも栄養価が高く、スーパーフードのチアシードなどもメキシコで生産されています。

今日はちょっとタコスのお話。
私が初めてメキシコを訪れたのは、今から16、7年前。メキシコで初めて出産する姉の手伝いに母と二人でメキシコに行き、そこで初めてタコスに出会いました。

トウモロコシで作られた香ばしいトルティーヤに細かく切ったビーフステーキと玉ねぎ、パクチー、そこにライムを絞って食べる。シンプルだけどとても美味しくて、忘れられない味になりました。 

メキシコで食べたタコス


メキシカンタコス VS アメリカンタコス


🇺🇸アメリカンタコス

それから数年後、アメリカに移り住むことになった私はアメリカでタコスに再会します。

メキシコの隣国に住むアメリカ人もまたタコス好きな国民です。アメリカではタコスのことをTacoと呼び、毎年10月4日はNational Taco Dayなるタコスの日も存在します。もっともアメリカは『National○○○day』が大好きな国なので、ありとあらゆる物に記念日が存在するのですが・・

それでもTacoの愛されぶりは、毎週火曜日は「TACO TUSEDAY」と呼ばれ、Taco Partyをしたり、学校のカフェテリアのメニューも火曜日には必ずTacoが出るほど!Tacoの専門店も多く移動式のTacoトラックも人気です。

アメリカに一番、アメリカンTacoを浸透させたのがタコスのファーストフードチェーン店Taco Bellかもしれません。全米の至る所にあるTaco Bellは、気軽に食べれるタコスのファーストフードとして人気を博しました。1960年代にカリフォルニア州で設立されたTaco Bellは、他のハンバーガーなどと差別化を図り作られたと言います。

Taco Bellのタコスは、とうもろこしで作ったハードシェルか、小麦粉で作ったトルティーヤを使っており、そこにひき肉、アボカド、レタス、トマト、チーズなどを挟んだ、日本人でも食べやすい馴染みのあるタコスです。

ハードシェルタコス

今日アメリカ人が知っているハードシェルタコは1949年に発明され、アメリカ化されたバージョンのTacoが北米全土に広がっていきました。
最初のTacoトラックは、2人のニューヨークの主婦によって始められたと言われています。

アメリカ人は牛ひき肉を詰めたTacoが大好きですが、ここ数年アメリカのレストランでよく見かける人気のメニューは、シーフードTacoです。中身は、酢漬けの千切りキャベツに海老や白身魚のグリルやフライ、そこにライムを絞って食べます。なかなか美味しくて、メキシコTaco派の私もお気に入りです。

アメリカ人はパーティー好きというイメージですよね。みんなで持ち寄ってポットラックパーティーをしたり、何かにつけて家族や友人が集まってパーティーをする時にもTacoは人気のメニューです。各自が好きな具材をトルティーヤに乗せて、好みのサルサをかけて食べます。日本人の手巻き寿司パーティーみたいな感じ?

アメリカの一般的なスーパーでも必ずトルティーヤは売られています。どちらかというと、癖のないフラワートルティーヤ(小麦粉トルティーヤ)が人気のようですが、アメリカのママたちは、フラワートルティーヤにマヨネーズやマスタードを塗ってハムやチーズ、ほうれん草などを乗せてくるくる巻きにする、トルティーヤラップもよく作ります。

一昔前は、メキシコ生まれの移民が経営するレストランでも、アメリカ式タコスを提供しないと経営が成り立たなかったこともあり、メキシコ本場のタコスを提供せずに、ハードタコスを「本格メキシコ料理」と称してメニューに並べることも少なくなかったそう。

しかし、メキシコからの移民が増加し彼らの経済的、社会的影響力が増すと、本場のタコの需要が生まれ、具の多様性ではメキシコに及ばないもののメキシコで提供されるタコスと大差ないものがアメリカ国内でも味わえるようになってきています。

フラワートルティーヤのタコス



🇲🇽メキシカンタコス

スペイン人がメキシコにタコスを導入したと言う歴史家もいますが、人類学者は、16世紀以前にメキシコの人々が小さな魚、イナゴ、カタツムリでいっぱいのタコスを食べたという証拠があると言います。本物の伝統的なタコスは、ほとんどの場合、柔らかいトウモロコシのトルティーヤで提供されます。

トウモロコシのトルティーヤ

メキシコ人は週末になると家族で近所のタコス屋さんにタコスを食べに行ったりテイクアウトして家でタコスを食べます。地域ごとに毎週開かれるかれるティアンギス(市場)でも、野菜や果物、日用品と一緒にメキシコのB級グルメやタコスが売られています。

トルティーヤに入れる具はほとんど何でも使用でき、全てタコスと呼ばれます。メキシコのオアハカ州では、揚げバッタは今でも人気のある詰め物だそうで、地域ごとに名物の具材があるのもメキシコタコスの特徴。

メキシコタコスの種類


メキシコのタコスの具は多岐にわたります。

代表的なのは「カルネ・アサーダ」という牛肉の小さめのサイコロ・ステーキや、「カルニタス」という蒸し煮にした豚肉を細長く引き裂いた肉の上に、刻んだ玉ねぎ、パクチーなどが盛らたものなど。

他には牛タン煮込み、ウシの脳、臓物の塩焼き、ブタの頭、鶏肉、羊肉やヤギ肉、豚肉を薄くスライスしてケバブのように回転させながら焼いた「アル・パストール」など。その他にも、バルバコア、チョリソなど、具の種類は無数に存在します。

肉類以外にも魚介類、豆類、チーズ、きのこ、サボテン(nopal、ウチワサボテン)、カラバシータ(calabacita)というズッキーニに似た瓜の雌花なども使われます。

サボテンを切るティアンギス(市場)のタコス屋さん

タコスにはたくさんの種類がありますが、メキシコで人気のものがアメリカのレストランにも浸透しています。


シーフードタコス:魚のタコスは通常、マヒマヒ(シーラ)やソードフィッシュなどの白身魚で作られ、フライにした後、その上に細かく刻まれたレタスが添えられ、スパイシーなチポトレ(唐辛子)マヨネーズソースが添えられることがよくあります。エビのタコスは同じ方法で調理されることがよくありますが、焼き魚やバターを塗っていない魚やエビのタコスもあります。

カルニタスタコス:カルニタスは、ラードで低温調理した豚肉のこと。アメリカでも人気のお肉タコスのスタイルの1つです。豚を最初に蒸し煮してから揚げて、カリカリにバラバラにした細切り豚肉を作ります。豚肉は、ゆっくりと焙煎し、ピリッとしたチョリソでタコスを作ることもできます。

チーズタコス:本場のメキシコのタコスにチーズをトッピングすることはめったになく、細かく刻んだものは絶対にありません。チーズタコスの中身はすべてチーズです!弾力があり伸びーるオアハカチーズのグリルまたはフライで作られています。

カルネアサダタコス
:カルネアサダは、カルネ=肉・アサダ=焼く
その名の通り、肉をグリルし、金属板で焼いて、細かく刻んだものです。

ベジタリアンタコス:ほとんどのタコスは肉ベースですが、さまざまな好みに合うように人気のあるベジタリアン具材がたくさんあります。唐辛子、にんじん、ズッキーニなどの焙煎野菜が一般的な詰め物です。味付けのスパイスに、チリレジェノタコス(詰められたポブラノまたはハラペーニョ)、およびラジャ(クリームのポブラノ)が人気のオプションです。

バルバコアタコス:バルバコアとは、カリブ海で生まれた料理のスタイルを指します。 「バーベキュー」という言葉は、このスタイルの料理に由来しています。メキシコでは、バルバコアは伝統的にリュウゼツランの葉で覆われた地面の穴で調理され、独自のジュースで調理するために残されています。バルバコアタコスは通常、骨から落ちるほど柔らかくなるまでこの方法で調理された脂肪の多い肉を指します。次に、肉の詰め物を細かく刻み、さいの目に切った玉ねぎ、コリアンダー、ライムジュースを添えます。


メキシコでは食べる時間帯によって具の内容が変わるとも言われ、例えば朝には鶏肉、卵とジャガイモなどのサルサ煮込みタコスを食べたりします。

サルサはチリ(唐辛子)ベースが一般的ですが、他にもアボカドを使ったワカモレや、バハ・カリフォルニア地域ではマヨネーズを牛乳でのばしたものなどもあります。

サルサの代表格、緑サルサ(左)と赤サルサ(右)Wikipediaより


最後に、メキシコ人の義理兄に聞いてみました。

Q. メキシコ人にとってタコスとは?
A. タコス=メキシコ。タコスはメキシコのサイン

Q. 一番好きなタコスの具は?
A. Cabeza(牛頭)

Q.メキシコには何種類のタコスがありますか?
A. 答えられないよ!ありすぎて

Q. タコスの歴史を教えてください

A. 今から約6000年前、メキシコ中央高原の農耕集落の先住民が、携帯食としてトルティーヤを重宝していた。中にはフリホーレス(茹でた豆)やチレ(唐辛子)などを挟んで食べていたことが、タコスの起源と言われてる。他にも、スペインに侵略せされる以前アステカ王のモクテスマが食べ物をつかむ時にトルティーヤを使っていたり、夫が仕事に行く時にトルティーヤでおかずを包んで持たせていたという。

メキシコ人流のタコスの美味しい食べ方も教えてくれました。

・トルティーヤにも裏表があり、裏面の方に具材を入れる。
・食べる時に顔を少し傾けて一気に食べる。
・サルサや具材がこぼれないように!


メキシコの伝統料理は、2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。今でもメキシコ人の国民食でありソウルフードであるタコスは、古代先住民の時代からメキシコ人にとって欠かせない存在だったのです。味やバリエーションもあって楽しめるタコス。メキシコに行ったら是非、屋台で本場の味を味わって欲しいです。


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