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「御手の中で」〜とある老司祭の生涯‥5

「神父さま。私、いま、死んでるんでしょう?」

ふいに今日子が口を開き、物思いにふけっていた司祭を今いる場所に引き戻した。

彼は口ごもった。今日子の言う通りかもしれない。そして自分もおそらく現実の世界にはいない。死んでいるのだろう。だが分からない。ここはどこなのかも。

「私、すごい地震があって。それで、とにかく娘を探さないと‥と思ってあちこち走って‥、でもどこにいるか分からなくて、自然にここの教会に足が向いて。それからしばらくして津波が、ものすごい津波が襲ってきたんです」

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