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フローレンスで障害のある生徒向けに社会体験学習の受入をはじめました

はじめに(チームより)

 フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の解決を目指しているNPOで、現在、約700名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのがバックオフィス業務を主に担っている働き方革命事業部、通称「ハタカク」です。
 ハタカクは人事、経理、法務、総務、といった色とりどりのチームで構成されています。フローレンスの事業を裏で支えるハタカクメンバーの業務や仕事への思いをnoteに投稿しています。


ごあいさつ

こんにちは。働き方革命事業部(ハタカク)総務オペレーションズの天野です。
総務オペレーションズというチームでは、総務の業務をしながら、全社の業務集約や業務改善、障害者雇用推進をしています。

2022年度は、2名の実習生、そして5名の体験学習生の受け入れをチームで行いました。

体験学習生の受入は今年度より初めて行った取り組みです。
今回は、体験学習生の受入とはどのような取り組みか、なぜこのような取り組みを行うのか、をみなさんにお伝えしたく、この記事を投稿します。


社会との接点を持てない生徒がいる

これまでもフローレンスでは障害のある生徒向けの実習を何度も受け入れてきました。

通常、2週間程度、午前8時から昼休憩を挟んで15時まで、実習用のプログラムではなく、総務業務や他部門からの依頼業務など、その時々に発生する日々の業務に取り組んでもらっています。

この実習は、就労のための経験を積む場としてフローレンスへの就職を志望する生徒を対象に行ってきており、現在のオペレーションズの新卒メンバーも例外なく実習を2-3回経験した後にフローレンスへ就職しました。

ですので、これまでフローレンスが実習で受け入れてきた生徒は高等専修学校であったり特別支援学校の就業技術科であったり、将来働く上での実務的な学びを日々している生徒たちでした。


2021年12月、ある特別支援学校の先生から私達のもとへ1通のメールが届きました。

内容は『働くことについて理解を深めることを目的とした就業体験』のご相談。
就業体験??と感じつつも、実習受入実績のない学校の先生でしたので、まずは先生の元へ学校見学に伺いました。

そこで、
特別支援学校の肢体不自由科の生徒たちは、社会経験をつめる実習の機会がなかなかないという事を知ることになります。

この問題はどの学校でも共通の課題でした。その後複数の学校及び先生と繋がり、フローレンスオフィスや特別支援学校の見学を相互に行いながら、冬から春にかけて意見交換や、体験学習の準備を行ってまいりました。

そして、2022年の夏に、2校から1名ずつ、計2名の肢体不自由科の生徒の社会体験学習の受入が決まります。


社会体験学習の実施

就職を前提とした実習は週5日間6時間の業務を2週間続けて行いますが、体験学習は休憩時間1時間を含む10:00-15:00の4時間実習を3日間行うスケジュールとしました。
この3日間は通常の実習生と同じように、書類の整理や封入作業など実際の業務をしてもらいます。

寄附者向け郵送物の封入作業

事前面談、そして実習初日こそ緊張した面持ちの体験学習生も、実習が始まるとすぐに同世代の社員と打ち解けていました。

ある生徒とは、休憩時間中に夢の話になり、いつか車椅子でディズニーに行きたいと話すと、『そんなのすぐ行けるじゃん!』とチームメンバーから悪気なくツッコミが入ります。

またある生徒は、駅から出るときに雨が降っていて、車椅子でどうしようかと立ち止まっていたら、知らない人が声をかけてくれて雨具を着せてもらったとのこと。

このように、社会に出てみることで、自分の夢が意外と近くにあったり、知らない人が助けてくれたり、色々と気づくこともあったようです。

私たちも最初は車椅子での通勤を心配していましたが、駅まで送ろうかと声をかけようとしたら軽やかに車椅子を操作して颯爽と退勤していったりと、こちらが配慮しすぎていたなと感じることもありました。

通常業務だけでなく、政策提言チームのスタッフと車いすでの鉄道利用時の困難な状況について改善要望を提出する打ち合わせをしたり、昼休みに障害者スポーツのボッチャの体験会を行ったりと、他部門のスタッフも巻き込んでの交流もしています。

政策提言チームとの会議


昼休みのボッチャ大会!

体験学習を本人と振り返った際は、電車通勤をひとりで行えたこと、多様な業務やスタッフと関われた事が嬉しかったと話してくれました。また、知らない人と関わることや助けてもらうことへの自信もついたようです。顔つきも学校では学生さんの印象でしたが、職場では立派な社会人のような雰囲気が出ていたように思います。

フローレンス側としても、初めての車いすスタッフの受け入れでオフィス環境の課題が見つかったり、身体障害者視点の新しい社会課題に気づいたりと、双方に学びの多い機会となりました。


特別支援学校協議会での講演

体験学習でお世話になった先生に機会をいただき、弊会ジョブコーチの石橋が2022年11月に東京都内の特別支援学校の先生たちが集まる定例協議会の場で講演をさせていただきました。

オンライン参加の先生もいらっしゃいました

フローレンスの障害者雇用への思い、マニュアルやITツールを駆使した日々の業務や育成と支援のための情報共有の仕組み化、そして体験学習での生徒の様子や私たちフローレンスとしての振り返りなど、1時間にわたる講演を実施します。

先生みなさま熱心にメモを取りながら聞いてくださり、講演後の名刺交換の機会では『素晴らしい取り組みです』と感激されたり、『こういった生徒がいるので職場体験を計画したい』と早速ご相談くださったり、多くの反響をいただきました。

協議会にもゲスト参加させていただき、肢体不自由科の生徒が社会との接点を持つ機会は限られている現状を改めて認識するとともに、先生方の生徒の可能性を広げるための日々のご苦労を目の当たりにして、私たちに何ができるのだろうかと大きな宿題を手にする思いでした。

現在、この講演で繋がった先生たちと、2023年の2月に2名の体験学習生の受け入れを計画しています。様々な学校、先生、そして生徒の皆さんと関わる機会ができて嬉しく思っています。


社会体験学習への思い

私たちフローレンスの障害者雇用は、ただ単に法定雇用率を達成するためのものではありません。スタッフ一人ひとりの可能性が広がり、会社と社会の多様性が広がる、そんな未来を目指してキャリアのデザインをしたいと思いスタートしました。

就労しているスタッフだけでなく、実習や体験学習をフローレンスで経験した生徒たちも同じように社会を体験しキャリアを考えるきっかけを持ってほしいと考えています。

フローレンスで体験学習の時間を過ごした生徒たちはその後、学校での課題に主体的に取り組むようになったり、次の実習に意欲的になったりと、前向きな変化があったと聞きました。

もちろん、変化が起きたのは生徒自身が持っていた力であり、日常生活や学校生活を支える保護者や先生たちのおかげです。ですが、フローレンスでの体験学習という新しい経験が、変化のキッカケの一つになったのではと、嬉しく感じています。

フローレンスにおいても、障害の有無に関わらずいろんなスタッフが働きやすいオフィス環境の見直し・改善を進めたり、障害者の生活における不便や課題の解決に動いたりと、組織として前進する機会にもなりました。

多様性が広がる未来を目指して、2023年度も障害のある生徒向けに社会体験学習の受入を行ってまいります。


おねがい

ここまでお読みくださりありがとうございます。

最後に一つだけお願いをさせてください。

この取り組み、生徒や学校からお金をいただく事はありませんし、国からの補助金などもありません。いくら実際の業務をしてもらっているとはいえ、私たちは通常の総務業務と並行して受け入れの打ち合わせや体験学習生へのOJTを行っています。

もし、この取り組みに共感いただき、何かの形で応援したい、と思ってくださった方は、フローレンスへの寄付をご検討ください。

フローレンスは障害児の保育・支援問題、ひとり親の貧困問題、赤ちゃんの虐待死問題、などの子どもや子育てに関わる社会課題の解決に向けて多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでまいりました。

私たち総務オペレーションズが昨年始めた障害のある生徒向けの社会体験の機会拡大はまだ小さな取り組みですが、みなさんの力をいただきながら、障害のある生徒が希望と共に社会へ歩み出せる未来を目指して、これからも取り組んでいきます。



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