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13 ただ障害者を雇用するんじゃなく、キャリアをデザインしたいんだ

はじめに(チームより)


 フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の解決を目指しているNPOで、現在、約数百名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのが、法務・総務業務を主に担っている通称「オペレーションズ」です。
メンバーは、普段は現場で働く保育スタッフや、特別支援学校を卒業して入社したスタッフなど、色とりどり。

 バックオフィスの仕事現場やその思いを、個性的なメンバーがリレー形式で紡ぐ言葉から感じ取っていただければうれしいです。

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こんにちは。障害者雇用推進担当のMGRです。今日はフローレンスの障害者雇用の取り組みについてお話をしたいと思っています。

フローレンスと障害者雇用


フローレンスが『障害者雇用』を意識したのは、今から5年くらい前のことです。

障害者雇用促進法により、障害者の職業の安定を図ること、経済活動を構成する労働者の一員として、本人の意思と能力を発揮して働くことができる機会を確保されることが明示され、全ての事業主に、算出された雇用率に相当する人数分、障害者を雇用することが義務付けられました。フローレンスももちろん、雇用率に相当する人数分、雇用する義務があります。ちょうど全社の人員増が顕著になっていたこともあり、2017年頃より本格的に障害者を雇用することに取り組み始めたのです。

それまでフローレンスは、即戦力重視の中途採用メインでした。これまでの経験を重視し、即日活躍する人を求めていました。もちろんバックボーンはさまざまで、美容師やエステティシャンから転身された方もいますし、大手企業でバリバリ事業開発をされた方もいます。そういう意味では、本当に多様!いろいろな人がいます。

そんなフローレンスで、多様性の観点からも義務を果たす上でも、「障害者雇用を始めよう!障害を持つ方を採用しよう!」となった時に、はたと立ち止まりました。


「障害者雇用、どうやってやるの?どんな仕事してもらうの?」


よくある障害者雇用は、その方向けに仕事を切り出してお願いしたり、誰かのサポートをお願いすることが多いかと思います。事務センター化するところもあります。
私たちも同様に、「どんな仕事をお願いできるだろう?」と考えた時に、ふと疑問が湧いたのです。

「あれ。そこで働く人の幸せはどうやって考えたらいいんだっけ」

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フローレンスは、障害児保育事業を行っています。障害のあるお子さんをお預かりして、障害の有無に関わらず、その子の可能性を最大化することを目指しているのに、その子たちが大人になったときに、その子達らしく働くことよりも、できる仕事をお願いするような、そんな社会でいいんだろうか。少なくとも、フローレンスではその子達が働くとなった時に、可能性を広げられる仕事をして欲しい。わくわくして、楽しんで仕事をして欲しい。
フローレンスの障害児保育園や訪問型障害児保育でお預かりしたお子さんが大人になって働く時に、雇用率達成の義務だけで障害者を雇用しているフローレンスで働きたいって思うだろうか、、、と。

そこで、フローレンスらしい障害者雇用とは、を考えることにしました。

人事と障害者雇用担当と経営陣で「フローレンスらしい障害者雇用とは」を何度も喧々諤々話しあい、業務効率だったり、価値創造だったり、想いだったり、、、、
いろんな意見が出ました。
ーーー
・障害者雇用率を達成することは事業者の義務である
・フローレンスでは人員増が顕著であり、障害者雇用をスタートする必要がある
・障害児をお預かりしているのに、障害者雇用で働いている人がいないって!
・でも、とりあえず雇用すればいいと言うものでもない
・障害者雇用を通して、私たちが実現したいのはどんなこと?どんな社会?
・そこで働く人達は何を感じて働いててほしいだろうか
・とは言え、人件費がかかるから、全社への貢献も考えたい
・受け入れも負荷がかかる場合もある
・みんながHappyな障害者雇用って・・・・
ーーー
答えの出ない問いを、何度も何度も話しました。
その頃、既に障害者手帳を持つスタッフを数名採用し、実際には雇用は始めていました。でも、もっとフローレンスらしい雇用のあり方を考えたいと焦燥感にも似た感情があったように思います。
障害者を雇用することだけにフォーカスするならば、事務センターで採用して仕組み化するのが良さそうです。でもやっぱり、本当にそう??が頭の中から消えない・・

それは、おそらく、

「うまくいく方法」を考えていて、そこで働く人がどうなって欲しいかがイメージできていないこと

フローレンスらしい障害者雇用って?ということが言語化できていないこと

この2つからくるもやもやだったのでは、と思っています。
そこで!私たちは、『障害者雇用デザインプロジェクト』を立ち上げ、半年弱議論を重ねてやっと、フローレンスらしい障害者雇用のあり方に納得することができました。


障害者雇用デザインPJ

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2018年の終わりに勢いよくプロジェクトを立ち上げたものの、さて、何から話しましょう??となったこのプロジェクト。プロジェクトメンバーは「障害者雇用担当」「人事マネージャー」「採用担当マネージャー」「人事ディレクター」の4名。役職者の方が多いところに組織の本気を感じてもらえるかと思います。ただの障害者雇用、ただの雇用率達成だけには絶対しない!という意気込みでスタートしました。

まずは、『実現したいこと』を話します。やっぱりそこで働く人にどうなってほしいか、どう感じてほしいか、が大事にしたいことでもあったので、そこからスタート。

そして次に、ビジョンを言語化しました。
さらに、そのビジョンを実現するためのコンセプトを決めて、実現するための施策とマイルストーンを決定します。

書くと3行くらいで終わるのですが、『想い』を言語化するって結構たいへん。
議論して、イメージをすり合わせて、言葉にしても、
「なんか違う」
「こっちの言葉のほうがイメージに合うかも」
「待って、それってどういう意味??」
を繰り返すこと3ヶ月。ようやく、ビジョンとコンセプトが見えてきました。

障害者雇用デザイン_20191220

そう。私たちは、障害者雇用を通して、フローレンスで働く全スタッフの可能性を最大化したいのです。そこには障害者雇用スタッフも含まれます。障害者雇用を切り出してやるのではなく、フローレンスの今と未来にインパクトを与える障害者雇用をやりたい。障害者雇用を通じての施策が、全社にとって、多様性がより活きる体制になるはず。

強みを活かして、弱みをカバーする。
徹底的に仕組み化をして、誰もができるようにする。

それがフローレンスの力になるのではないか??
やっと、私たちらしい障害者雇用のあり方が見えたと思った瞬間でした。
これが、2019年のことです。

障害者雇用デザイン_20191220 (1)

フローレンスが、保育現場でも、事務局でも、目指したいのは『ダイバーシティ』ではなく『インクルージョン』。

わくわくした私たちは、今度はそれを実現するための施策を考え始めました。


中短期の取り組み(3年以内)


3年を目処に以下のことを実施していこう!ということを決めました。2019年度に計画策定して、2022年度中にある程度終えている状況にしたいと思っています。

ーーー
<障害者雇用スタッフ(オペレーションズ)向け>
・チーム化(ワークシェアリング 定例Mtg・・・)【済】
└2020年度までは引き続き管理部門の配属に集約。各部署から事務業務を請負う体制にしていく
・オペレーションズスタッフ向け社内研修の定期開催【済】
・東京しごと財団での在職者訓練利用【済】
・スタッフとの積極的交流(ランチ会 報告会の開催など)

<情報管理>
・オペレーションズスタッフの情報をデータベース化(強みの見える化)【済】
・お仕事依頼のデータ化とスタッフ情報管理の連携(経験業務の見える化)【済】

<人事制度>
・評価制度制定(導入・運用は2021年度以降)【済】
・キャリアマップ作成着手(2021年度以降契約社員→正社員化を進める)【済】
・カジュアルメンター制度導入(オペレーションズサポーターチーム)

<その他>
・入社スタッフ向け 障害者雇用(ダイバーシティ)研修
ーーー

毎年、一人二人・・と増える障害者雇用スタッフ(オペレーションズ)。個人の力とチームの力を把握してアサインすることがまず最初の一歩でした。その先に個人とチーム、フローレンスの力の最大化に向けていくために、一つ一つ進めていっています。

①チーム化して、個人の強みとチームの強みを見える化し、業務アサインをより効果的に行う

②強みに合わせてアサインし、弱みをチームでカバーする体制になる

③個人の力が最大化されていく、それによりチームの力が最大化される

④適切な業務アサインにより、ひとりひとりが自信を持ち業務に取り組む(ワクワク&成長実感の醸成)

⑤成長実感や自信がそれぞれのキャリアデザインにつながっていくような評価体制の導入

この流れにより、オペレーションズスタッフの力が最大化され、請け負うことのできる業務が増えていく。そうすると、社内業務の効率化が進みます。そうなれば、各事業部での可処分時間が増え、新しい価値創造に時間を使えるようになる。そして、フローレンスの全スタッフの可能性とフローレンスの可能性が最大化される!

こんなにうまくいくわけではないですが、ただ障害者雇用をするのではなく、その先の未来も描いていきたい。そこで働く人の可能性にも光を当てたい。

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そう、私たちは、

単に障害者を雇用するだけでなく、一人ひとりのキャリアをデザインしていきたい

そのために、今日も、一歩一歩仲間とともに歩んでいます。

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