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二木芳人というテレビの素人が超人に見える件

今では知らない人の方が知らないだろう二木芳人氏。
彼は昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門客員教授という肩書を持ち、コロナが流行ってから今に至るまで各所のニュースに引っ張りだこの存在である。

日頃からテレビを点けるのであればニュースを選んでいるが、とにかくどのニュースを見ても二木氏を見るような感覚を覚えた。
そうしてニュースを見ている内にふと気が付いた。

コロナ疲れやコロナ慣れとはまだまだ無縁だった春と夏の間。
国全体がストレスや緊張を抱えて疑心暗鬼になっていた頃、ニュースキャスターが”噛む”ことが増えた。
原稿を読むにしろ進行をするにしろ、ベテランから新人までどんな人でも一度も噛まずに番組を終えることの方が少なくなった。
出口の見えない非常事態の最中にあってそれを伝えるという立場上責任感や不安が誰にも増して強かったのかもしれない。

そうしてテレビで話すプロ達が次々と折れていく中、有識者として呼ばれて出る二木氏だけが何も変わらなかった。
表情も血色も変わらず、言葉もすらすらと流暢に聞き取りやすい言葉で話す。
言わずもがな、彼はテレビで話すことに関しては素人だ。
カメラを向けられ矢継ぎ早にされる質問を制限時間内に答える。決して慣れていることではないだろう。
しかしテレビに出始めてからこの方彼が言葉に詰まったり体調が悪そうな場面を見たことがない。

二木氏は常に少し後ろにもたれかかるように座り、肩や胸にゆとりを持たせて表情筋を緩めた状態で話ことが多い。つまり緊張とは反対の安堵(リラックス)を感じさせる体勢なのだ。
毎日のようにテレビ局に通い、慣れない控室や台本なんかを渡されて、複数台のカメラに囲まれて生放送でウィルスの素人に向けた言葉を選んで話す。
それを何か月も続けているというのに全く動じないし疲弊の色すら感じられない。

国全体が動揺しプロさえ倒れているというのに、彼はいつもどこか余裕があるように見える。ただ物ではないというオーラが放たれていそうなほど。
もしコロナが落ち着いてこのざわついた緊張が無くなって一休みできるようになったなら、是非誰か彼を取材して本にしてもらいたい。
この非常時になぜ落ち着いて話せていたのか。約1年にも及ぶテレビの出演にストレスはなかったのか。断りたいとは思わなかったのか。
個人的にこのコロナ禍での一番の話題であるし、とんだ逸材がいたものだと驚いている。

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