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デザイン思考とアート思考

20年以上ビジネスの世界で生きてきて、嫌と言う程ビジネスはロジカルだという話を周囲から聞かされてきました。そりゃそうだよね、と。
そんな中、ポロっと一緒に仕事をしているシステムエンジニアの口から「デザイン思考」という言葉が出てきて、「なに理系の人間がデザインなんて言っちゃってるの?」と違和感を覚えたのでした。

そのエンジニアは、開発におけるデザイン思考がいかに新しいアプローチなのか、とアジャイル開発の文脈でとうとうと語ってくれました。
聞けば顧客に寄り添ってニーズをキャッチして製品をスピーディーにリリースし、繰り返し顧客のフィードバックを得ながら作り上げていく事がデザイン思考なんだ、と。それは従来のウォーターフォール型の開発とは全く違う画期的で新しいアプローチなのだ、と。

ふーん、そうかいそうかい、と思って聞いていたんですが、どうも何か引っかかりました。なぜなら、自分は10代から20代をかけて、デザイナーを目指したもののコレは違うなと思って今度は芸術家を目指し、でも食っていけないなと思ってビジネスマンになった生い立ちがあったからです。そう、デザインという言葉にはちょっと色々と思う所があるのでした。

そしていくばくかの否定的な感情が。

どういう事かと言うと、自分の中では「デザインは人にあわせてつくるもの」「芸術こそが自分の中から生まれてくるもの」という上下関係があったのです。そしてさらに、いわゆるビジネスマンには、システムエンジニアには、デザインやアートなんて理解できないだろう、という思いがありました。
こうやって文字にするとすごく傲慢ですね。。。恥ずかしい。

少し話が脱線してしまいましたが、デザイン思考という言葉に違和感を持っていた所で、そういえば「アート思考」という言葉もあったよな、と思って改めて調べてみました。たしかどこかで一度読んだような気が・・・。

で、改めてアート思考のコンセプトを調べてみると、
こちらはむしろ自分の問題意識から発して、問いを立てる行為、ビジネスもそのアプローチを学んでイノベーションを起こそう、というものでした。
(かなり雑な要約ですいません)

うむ、こちらの方が自分の価値観にはしっくりきます。学生の頃、なんだかわからない自分の中のモヤモヤとした想いや、うまく説明できないんだけど浮かび上がってきたコンセプトに突き動かされて日夜必死でアート作品を作っていたあの頃、その感覚に非常に近いな、と。
皆さんも損得抜きで、他人の事なんかスッカリ忘れて夢中になった事ってありませんか?

イノベーションはユーザー調査からは生まれない、というようなことをスティーブ・ジョブスが言っていたと思います。
そう、いくら顧客に寄り添って困りごとを聞いてもi-Phoneは生まれてこない。
他にも、馬車しか無かった時代に消費者にニーズを聞いたところで「速い馬が欲しい」という答えしか出てこない、なんて例えも良く聞きますね。
誰も見たこと無いのに蒸気で走る自動車のニーズなんて生まれてこない、そういう話です。

改めてアート思考について調べた結果、自分はやっぱりデザイン思考よりアート思考の方が良いなあ、と思って妙に納得したのでした。
これはどちらが良いという話では無くて、ものの考え方や仕事へのアプローチの仕方、あとは自分の価値観ということなんだろうと思います。

とはいえ、残念ながらアート思考でもイノベーション(すごい作品)が生まれる確率は1億分の1以下なんでしょうけどね。(みんながピカソやジョブスになれるわけではないから笑)
だけど、生成AIの登場で課題を解決するソリューションは秒でAIがアイディアを出してくれるようになった今、どんな問いを立てるか?そこに一人一人の人間が向き合っていく時代には、アート思考の方が良いと思いませんか?
例えそれが生みの苦しみを伴う活動だとしても。儚く散っていく失敗作の山を築き上げることになったとしても。。。

なーんて、今回はデザイン思考とアート思考について考えてみました。
色々書きましたが、ビジネス界の人がデザインやアートに学ぼうとしていること自体にはちょっとした嬉しさがありますね。
うんうん、そこに目を向けてくれたかね、みたいな。(偉そうですね笑)

それでは今回はこんなところで。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
興味があればまた見に来てください。


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