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ベラゴアルド名鑑【その13】

グイシオン(左)
性別:なし
年齢:寿命は30年前後
身長:体長150〜200cm
体重:60〜180kg
利き腕:なし
出身地:ベラゴアルド全土
髪:縮れて黄ばんだ羊毛
眼:魔物の赤い目玉
武器:頭突き
道具:なし

暴蹄羊(ぼうていよう)グイシオンは、羊に似た魔物。四つ脚とこめかみ辺りから伸びる捩じれた二本角が特長。目玉は縦に二つずつ並んだ四つ目がスタンダードであるが、六つだったり、ちぐはぐな三つ目だったりもする。尖った牙は持たず、臼のように大粒で乱れた乱杭歯は、口蓋に留まらず、時折頬や顎を突き破って伸る。通常の個体は羊をひとまわり大きくしたくらいのサイズで、縮れて黄ばんだ毛は強烈な獣臭と死臭が混じる。刈り取り紡いでも、洗浄しても臭いは取れはしない。皮も同じく、いくら滑して乾かそうが匂いは取れない。
二本の巻かれたツノを持つが、それを攻撃には利用せず、ひたすら真っ直ぐ突進し、頭突きする。知能は低く、ゴブリンにさえ操られることもある。五から十体の群れで行動することもあるが、操れられていなければ連携行動は取らない。


ダングシオン(右)
性別:なし
年齢:寿命は30年前後
身長:体長150〜200cm
体重:60〜180kg
利き腕:なし
出身地:ベラゴアルド全土
髪:赤向けた肌に縮れた毛
眼:魔物の赤い目玉
武器:角での突き上げ攻撃
道具:なし

暴蹄山羊(ぼうていやぎ)ダングシオン。
山羊に近い四つ足。目玉も二から八と、グイシオンと同じく個体差があり、サイズもそう違いはない。ひづめだけは違い、先端が反り返っているのが特徴。どの個体もがりがりに痩せていて、縮れた毛が各所に生えてはいるが、ケロイドのような荒れた肌が目立つ。毛並みは黒だったり茶色だったり白だったり個体差がある。首を曲げて突進し、頭上に捩じれた二本の山羊のツノを突き上げて攻撃してくる。グイシオンよりもさらに頭が悪く、ゴブリンが乗り込もうとすると嫌がるが、乗れないこともない。また、ゴブリンも痩せた背中は乗り心地が悪いらしく、好んでダングシオンに乗ることはない。

グイシオン、ダングシオン共々、魔獣に区別されがちであるが、雌雄の差は無く、生殖器もない魔物。コウトーンにも言えることではあるが、ベラゴアルドで四脚歩行をする魔物は、動物の腐った死骸と泥と魔法の澱が捻れ、発生する。


名称未設定のアートワーク15



捕捉知識
●ベラゴアルドにおける住人の営みについて

・ベラゴアルドでは魔物に対する対策は欠かせない。家々や畑、街道などには魔物除けの咒具(まじないぐ)やが設置され、魔物が人里に入り込むことは少ない。咒具は、通常の肉食獣などに効果はなく、獣には別の対策が必要となる。また、獣が咒具を壊してしまうことや、雨風が印を掠れさせてしまうことも多々あり、そうなると、ゴブリンに子どもをさらわれてしまったり、グイシオンやダングシオンに田畑を荒らされたりする事件が勃発する。

・ベラゴアルドに魔法使いは少ないが、司(つかさ)や咒師(まじないし)と呼ばれる微弱な魔力を持つ男女が存在し、彼らの多くはこしらえた咒具を売り、生計を立てている。魔物に荒らされた場所や、退治した死骸や血痕などには、毒や呪いが発生し、放置すればその土地に食物は育たなくなる。そうなった土地は浄化する必要があり、そこでも司や咒師の力が必要となる。

・魔物対策が徹底されている限りは、住人たちは至って普通の生活を営める。しかし魔法が存在するベラゴアルドにおいては、科学の進展は比較的鈍行ともいえる。なぜなら説明し難い神秘のほとんどは、魔法が証明してくれるからだ。たとえば、船は『風の司』を乗せれば帆に風を受けることも容易であり。旅に欠かせぬ火種などは、『火の司』の力を頼れば、季節を跨ぎ消えることのない火種が確保できる。同じく農業や林業は『杜の司』に頼ることも多い。宗教観も独特である。神秘は魔法使い(ソーサラー)が担い、尊敬されているぶん、観念的な『神』の概念を見出す宗教は少ない。また未だ現存するとされる『四の残り神』の存在も、人々が科学や宗教にあまり関心を持たない要因ともなっている。



キャラ名鑑は不定期で更新します。


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