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ベラゴアルド名鑑【その11】

コウトーン(左)
性別:なし
年齢:寿命は15年程度
身長:体長100cm〜200cm
体重:30kg〜80kg
利き腕:なし
出身地:ベラゴアルド全土、主にハースハートン大陸
髪:なし
眼:なし
武器:牙
道具:なし

コウトーン。笑牙獣(しょうがじゅう)とも呼ばれる四足歩行の魔物。野犬のように群れで行動する。肥大した顔面には巨大な口だけで、目も鼻も耳もない。魔獣と区別されがちだが雌雄はなく、腐った動物の死骸に汚泥と魔法の澱とが絡まり発生する魔物。顎の力は強く、その鋭い牙を頼りに旅人などを狙う。群れを成すほどの知恵はあるが野犬よりは低脳で仲間意識は薄く、反面、恐れを知らぬぶん凶暴である。人里には滅多に近づきはしないが、森や荒野、洞窟や沼地とどこにでも現れるので、群れを成すぶん、旅人には最も忌避される魔物。
太い牙に頼る噛みつき攻撃は注意が必要だが、それこそが弱点ともいえる。なぜならコウトーンは、その首元まで裂けた大口がゆえに、顎と首を繫ぐ関節が薄い。つまり、噛みついてくるタイミングを狙い、上下をの顎を掴み引き裂くように広げれば、素手でもその顔面を裂くことが可能なのだ。とはいえ、広く知られるこの撃退方法だが、それを実践する者は少ない。太い牙を覗かせ、薄ら笑いを浮かべるような醜い魔物に群れで迫られ、冷静に立ち向かえる者など、ストライダくらいのものだからだ。


グール(右)
性別:なし
年齢:寿命は5年程度
身長:体長60cm〜130cm程度
体重:10kg〜25kg
利き腕:なし
出身地:ベラゴアルド全土
髪:なし
眼:小さな二つの赤目
武器:牙、爪
道具:なし

屍鬼(しき)とも呼ばれる二足歩行の魔物。ゴブリンと並びベラゴアルドで最も低俗な魔物。時に道具や火を扱うゴブリンとは違い、そこまでの知恵さえない。小さな目玉は視力も弱いが、角のように持ち上がる鼻で、血や腐臭の嗅ぎつけ、どこからともなく集まる。ほぼ集団意識は無く仲間意識も皆無である。グールが集まるのは群れをなすためではなく、単に腐敗した死骸に集るに過ぎず、しょっちゅう餌を奪い合い、時に殺し合い、共食いを繰り返す。顎の力もそれほどではなく、よっぽどの大群に群がられでもしなければ、通常の大人が食い殺されることは滅多に無い。どこにでも見られるが、臆病で火を恐れ、容易に追い払えもするので、それほど恐れられる魔物とはいえない。しかしゴブリンよりも素早いので油断していると集団で背後から噛みつかれる。また、その繁殖力は凄まじく、どんな魔物でもその死骸を放置しておけば、一晩で五、六匹のグールが必ず湧き出る。


名称未設定のアートワーク14


捕捉知識
●ベラゴアルドにおける住人たちと魔物の関係について

・ベラゴアルドの様々な知恵有る種族は、それぞれ魔物を寄せ付けぬ術を心得ている。そのため村や街が魔物に襲われ滅びた事例も、近年では滅多に見られない。とはいえそんな事情も、それぞれ営む国家・部落の土地が比較的低俗な魔物のみの出没する地点であることが主たる要因ではある。つまり、ベラゴアルドの住人たちは、豊かな資源や土地の他、強大な魔物の出没する地点を極力避け、民族間移動を続けた結果、現在のコミュニティに落ち着いたともいえる。最たる例として、レムグレイド大陸は最も魔物の少ない土地とされている。特に『白の塔』の結界に護られた王都周辺は、魔物は立ち入ることさえできない。フラバンジ大陸も同等に魔物は少なくもあるが、無論、塔の結界は無く、凶暴な肉食獣も多く、場所によってはストライダでさえ手を焼くほどに強力な魔物が出没する地点さえ確認されている。この差異は、両国間の長き諍いに反映されている。つまり、ベラゴアルドにおける種族間の争いの種には、基本的な一次産業や資源などの奪い合いの他に、魔物の少ない安全な土地の確保も、重要視されているのだ。

・魔物と動物の関係といえば、奇妙にも、比較的棲み分けされているきらいも見られる。例えば野犬や狼などの肉食獣は決して魔物を喰らわず、魔物もそのような獣を襲うことは少ない。魔物が獣を喰らう場合、傷や病に倒れ、森や荒野で群れに見捨てられた個体のみである。それも、魔物はその果てた肉を喰うわけではなく、新たな魔物の苗床として利用するのみである。その場合、多くの魔物は自らの吐瀉物を吐き出て腐敗を促し、魔物が発生し易い環境を整える。その際に、苗床となる動物の種類はあまり問題とはならない模様。要するにコウトーンが腐肉に吐いた吐瀉物からは新たなコウトーンが発生し、グイシオンからはグイシオン、と言った具合に同種は増える。つまり鹿でも猪でも羊でも、コウトーンの吐瀉物であるなら通常的にはコウトーンが発生する。無論、その繁殖方法には山ほどの例外があり、その繁殖方法の多くは解明されていない部分が多い。
とはいえ、魔物と獣が共存関係を築いているわけでは、もちろんない。魔物は土地を汚す穢れであり、例外なくどんな生態系にも与せぬものだからだ。魔物を遠ざけ、それぞれの文明を営む知恵有る種族と比較し、魔物を身近に感じながらも、動物は動物の生態系のバランスを保ち続けている。
また、別の一例として、動物の多く生息する森には魔物はほとんど見られず、代わりに「杜の子」ハーフリンクが生息しているという事実もある。森全体に護られた森の子の加護を知ってか知らずか、動物たちは集まってくるのだ。そう言う意味では、最弱の種族であるハーフリンクは、動物たちの守護者ともいえるのだが、愚かにも、多くの人間たちはその事実を知ることも、気に掛けることさえしない。


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※お知らせ
突然ですが「妄想SRPGベラゴアルドクロニクル」は、前回をもって終了とさせていただきます。ステ振り考えるのは楽しかったですが、如何せん時間がないもので。

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というわけで、キャラ名鑑は引き続き超不定期で更新します。


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