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【後編】人と音楽の狭間に立つしらっち。大事なものはより大事に、誇れるものはより強く

*前編は<こちら


苦労しても最終的に楽しいところに行き着くんだったら

——そこから卒業して、社会人1年目のときから、『ツナグ。』は始まったってことだよね。

 はい。2017年の、一応6月からイベントが始動してる。2月ぐらいに制作を始めてて、だから卒業直前だね。半年弱ぐらいは制作してた、1本目。初回はBARTAKEさんでやらせてもらったの、弾き語りイベント。

 バンド名としては出してなかったけど、FromDayONEっていう同い年のバンドが東京で活動してたんだけどさ、私けっこう追っかけてて。enn 2ndで、急遽ワンマンライブになって。それでも必死に、街なかでビラ配ったりとか、Twitterで呼びかけたりとかして、それがたまたま目に入ってハマったバンドで。大好きで、絶対初回に呼ぶって決めてて。イベント名もそのバンドから取った。もちろんその意味、イベントコンセプトは変わってなくて、「人と人を繋ぐ」、「人と音楽を繋ぐ」っていう意味合いはもちろんあるけど、そのバンドの好きな曲に、カタカナの「ツナグ」っていう言葉が入ってたから。

 制作期間、半年ぐらいだったんだけど、その人も当然ながら、仙台のアーティストもいっぱい誘って呼んだりしてて。長利(和季)とか、いちもり(市森一盛)とか、庄子リョウとか、あと佐藤優太さんとか、がたろーさんとか。

——がたろーさん懐かしいなあ。

(笑)。それにFromDayONEのボーカル(堀川直樹)、あとジュニア(Jr.alcohol)のけーきくん。7人でやったんですよ。仙台サイドの人たちとは、初回からけっこう大きい試みをしてて。そもそも出演する人たちが「藤崎(百貨店)前で路上ライブしようよ」ってなって、すぐ警察に止められちゃったんだけど、それでみんなしょぼくれてて「どうするどうする」みたいな。「もう曲作ろうよ!」みたいな感じでで、『ツナグ。』のテーマソングが爆誕しまして。

——あ! あれってもう初回のときからずっとある曲なんだ。

 そうなの。っていう曲が生まれつつ、かなりアットホームな企画になって。役割分担して、私が主軸のキーワード、「こういうテーマがいい」と言ったのをみんなで肉付けしてくれた。おかげでいいイベントになりました。

——そこから続いていくわけね。これは、「自分のイベンターキャリアの一番最初のイベント」というか、「ここから『ツナグ。』をやっていくぞ!」っていう明確な志のもとに始めたイベントだったの?

 そう、スタートダッシュ。まあ、初回は「すごくチャレンジだな」「どんなふうに制作しようかな」「何組にしようかな」「何しようかな」……全部がやっぱり「全然わからんわ」って思いながらやってた。ただ、弾き語りは弾き語りで、その良さを発信できるかなって。昔、ジャンクボックス(CLUB JUNK BOX)で観た「今宵はバーボンとフォークソングを。」っていうタイトルの、椅子席でバーボンが飲める弾き語りイベントがあって。それで「ああいうイベントをするぞ」って思ったのね。それに憧れて何本か組んだの、弾き語りのイベントを。
 Vol.7で東京のアーティストさんを呼んだんだけど、「どうしてもこの人を呼びたい」って人で。そしたら、そのお客さんが遠征でついてきてくれて。その人のことを観た弾き語りのイベントも、あったかい雰囲気ですごく好きで。そういうのもちょっと織り込みたいなと思って、だんだん洗練されてったりもしたと思うんだけど。「あのとき観たイベントみたいでいいですね」って褒めてもらえたりもして、「ああ、そういう理想像も持っていてよかったな」と思って。

 そこからどんどんブラッシュアップされていって。バンドのツアーとかも1年目から組ませてもらったり。主にBARTAKEですごくお世話になって、いっぱい組ませてもらって、そこで自分の経験も詰めたと思ってます。機会をくれたアーティストたちにめちゃくちゃ感謝です。

——例えばしなもんちゃんは、イベント最初に組んだときは経験もたくさんあったわけじゃないからすごく大変だった、っていう話をしてたんだけど、しらっち的には大学時代にも一応経験もあったわけじゃんか。そんなに「初回ならではの大変さ」みたいなものは感じてなかった?

 特になかったかな。初回は割とバシバシバシって決まったというか、周りが「花添えようぜ」みたいな感じでわーって入ってきてくれて。しんどいとかっていう方向性じゃなくて、苦労しても最終的に楽しいところに行き着くんだったらっていう、けっこう開放的な感じで取り組んだかな。

——けっこうじゃあ、いいスタートダッシュは飾れた。

 うん。「難しい」はやっぱりあったと思う、「どうやったらお客さん来るんだろう」とか……しかも自分が好きな人を呼んでるわけだから。それでいて当時の自分にはそんなに訴求力があるわけじゃないし、そこまで気がいってない状態でスタートしてたとは思う。本当に、真心がイベントに加わってって、アーティストの協力ありきで成立していったような感じだったから、あんまりしんどいとかではなかった。

本当にわが子みたいに大事で、誇りだから


 その後も色々あったよ。今までのフライヤーをまとめてるアルバムがあるんだけど……(スマホのアルバムを表示する)。1年目って、自分で組んでるものもあれば、共同企画で東京行かせてもらったりとかもしていて。そのときもけっこう、同世代が力貸してくれてたところがあって。これ東京と仙台2編あって……これはモザイク(下北沢MOSAiC)だ。……もうこの時期にはだいぶ、バンドのツアーとかも組ませてもらったりしてた。

 初回やってからけっこうすぐ、東京で出会った人たちが「ぜひ仙台も」っていう感じで直々に声をかけてもらって、それでレコ発組むようになったり。自分主導っていうよりは、「一緒にやりませんか」とかって声かけてもらって、1年目はけっこう成立してるのね。だから「しんどい」とかっていうよりは「ありがてえな」みたいな感じ。

——いろんなところと関わりあって、その関わりごとに新しいやり方とかも出てくるだろうからね。

 いろいろと教えてもらったしね。出演者の人もだし、ライブハウスの人もだし、アドバイスくれた人が多いから、たくさん教えてもらって勉強した1年間だった。いろいろあったなあ。

——レコ発を絡めてもらえることがいっぱいあったとか、それこそvol.25もけっこう、いろんな意味での「節目感」が集まったイベントだったと思うんだけど。いい節目も、そうでない節目もある中で、そういうのを盛り込んだイベントを担うときならではの心持ちというか、普段のイベントよりもちょっと重責みたいなのも感じたりする?

 正直ものすごく、肩の荷は重いなって思うんです。思うんですが、ただそれは主催として、自分だけの感情に左右されて、イベントの発信とかモチベーションに影響を出してはいけないな、って思う方が強いかな。そういうときほどSNSによく顔を出して、積極的に、しつこいくらい発信するようにしてるかな。逆に外部刺激が欲しいから、外に出向いて、ちょっと鬱々とした空気を晴らしてイベントに備えるみたいな、そんな感じでやってる。主催ではあるけど、私けっこうポンコツだと思ってるから、自分のこと。昔からこれはたぶん、身近な人ほどよく知ってると思うんだけど、「感情が先走ってるよね」って言われることもあって……気持ちばかり急ぐ、気づいたら動く、感覚で喋る、みたいな。常々、言葉そのものが、考えるより先に出ちゃってるから、思ったことをそのまま口に出しちゃったりとか、すぐ行動しちゃったりとか。
 でも、その行動力がなかったらたぶん、ここまでイベント続いてない。それは良さでもあると思ってるから、自分を肯定できる理由でもあり、「ちょっと落ち着けよ」ってなる部分でもある。それを外から是正してくれる人たちがいるから、うまくバランス保ってやらせてもらってるっていう感覚。周りなくして自分なしです、本当に。

 イベントが成立するのもアーティストが集まらなきゃ叶わないわけだし、もちろん出演者がいて、ライブハウスがあって、お客さんがいて初めて成立するものだけど、主催というか、イベントを構成するという観点ではけっこう、今までは発信の仕方……詰めが甘かったなと思うこともけっこうある。「自分が組みました感」というか、自分が好きなアーティストを呼んで、自分が組んだよって……自分主体すぎるというか。

——「しらっちプレゼンツ感」を強く出しすぎている?

 そうそうそう。みたいなのがちょっとあったかなとか思ったり。もちろんイベントの構成、コンセプトとか、こだわりはあるものの……これは私がよくあった話なんだけど、「ステージ上から名前を呼んでもらえたら嬉しいな」みたいなのもけっこうあった。それはたぶん言葉を選ばず言うと「チヤホヤされたいだけなんじゃないか」みたいな。そこは自分に喝入れた。

——大なり小なり、誰しもが通り得る道ではあると思うけどね。

 うん。そこがいわゆる、目立ちたさが顔を出してた部分かな。

——とはいえ「しらっちプレゼンツ」であることは事実だし、しらっちが組むことによって『ツナグ。』になりえているわけじゃんか。これまでの反省とかはもちろんあると思うけど、今の観点で自分の主体性、自分を出す割合はこのぐらいかなっていう、現時点での結論みたいなものはある?

 正直、今は私の名前よりも『ツナグ。』っていう名前の方が広まってほしいと思って。でもそれは結局、自分がついて回るというか。「イベント知ってます」って言ってもらえる方が(私が)嬉しい、って意味だから。
 ただ、「仙台のイベントで、『ツナグ。』っていう名前で」っていうのはもう10割出してもいいと思ってる。「これが『ツナグ。』です!」みたいな。それは自分でしかないから。『ツナグ。』ってイベントが、本当にわが子みたいに大事で、誇りだから、そこに対するプライドがめちゃくちゃあると思う……答えになってないけど。

——自分ごととして大事にはしてるけど、押し出したいのはコンテンツの価値であって。

 そうそう。あくまでイベントそのものの魅力。そこが肝かなって思う。

——で、そこにたどり着いたのは割と最近、っていうことなんだね。

 たぶんそうだと思います。明確な答えみたいなものが出たのはごく最近の話だと思う。それこそ「〜ロックの日〜(=vol.25)」の制作過程のあたりだと思います。今までも、もちろんアーティストの魅力発信のためにって常々考えながらやってて、もちろん反省点もあるけど、出演者サイドからもお客さんサイドからも感想をいただけたのは全部大事。自分の経験値でもあり、糧になったと思う。

良いと思った音楽は応援し続けるし、呼びたいアーティストにはどんどん声かけるし

——今でもパッと思い出せるぐらい嬉しかった感想とかある?

 お客さんからもらった言葉はかなり響いてて、「仙台でイベントを作り続けてくれてありがとう」って言われたのが嬉しかったね。この土地に根差してイベントやってて良かったなって思うのは、やっぱその土地の人に感想をもらったときかな。

——イベント単体が楽しかったのはもちろんだろうけど、それまでの歴史、歩みも含めて言ってくれてるわけだもんね。

 うん。長いこと追ってくれてる人ならでは、ともいえるのかな。イベントそのものを気にかけてくれる人、応援してくれる人もいるから、そういう人の言葉は特に響くっていうか。あとやっぱり「『ツナグ。』はいいイベントだ」って出演者から褒めてもらえたりするのは、すごくジーンってする。けっこうステージ上でも言ってもらえたり、自分のいないところでも「『ツナグ。』っていいイベントだよね、って話題になったんだよ」って教えてもらったりすることもあって、めちゃくちゃ嬉しい。

——バンドとかアーティストとしては、それに出ること自体がそのイベントへのリスペクトでもあるというか、出演すること自体がアンサーみたいなところもあるだろうけど、やっぱ具体的に言われたり話題になったりすると、より響くものはあるよね。

 うん。これは自分でけっこうグッときてることなんだけど、去年2days開催したときに、初めて対バンしたアーティスト同士が、「自分たちの出演順をこうしてくれたおかげでめっちゃ仲良くなれた、ありがとう」って。しかもその後(別のイベントで)対バンしてたりして、嬉しかった、ブッキングして良かった。

——その日限りにならないで、繋がっていく……タイトルをなぞるようになっちゃうけど、それはかなり嬉しいね。

 うんうん。自分の手を離れてもその繋がりが残っているっていうのがすごく理想で。イベントのフィルターを通さなくてもその後の共演の機会になったりとか、新しいイベントに招待されてったりとか……そういうあり方でもいいのかなって最近思ってる。「自分が見つけました!」ってドヤ顔するみたいなのがけっこう昔から自分の癖ではあったけど、「こんないい人いたの、知らなかった」とか、「また一緒にやりたい」とか、繋がっていくのはすごく素敵なこと。「化学反応」って言葉がすごく好きなんだよね。「こことここを合わせたらすごくいいイベントになるだろうな」とか。

——それによってイベント名を体現する形に、よりなっていく。

 うん。「『ツナグ。』は繋がなきゃいけませんからね」って言われたことがあって。それがすごく頭に残ってて。繋がなきゃいけない。最近新しい試みも色々させてもらってるから、自分の発想力とかアイデアとかもどんどん取り込んでいきたいなって思ってる。参考になるものはいっぱい取り込んで、ときに真似して、もっといいイベント作りたいなと最近思う。

——過去のインスタライブの内容を振り返ると、けっこう「しらっちという一人の人間の出していき方」みたいなものをすごく意識してたときがあったと思うんだけど、今は「イベントが主役である」っていう話もあって。そんな中で今も、しらっちという人自身として考えてる表現っていうのはあるの?

 あるかもしれない。ちょい昔、「イベンターである自分」と「お客さんである自分」っていうのがよくわかんなくなってた時期があってさ。それは色んな意味で自分をうまく出せていない時期で、ライブ友達とか仲間とかが全然作れずにいたのね。「なんか違うな」とは思ってた。お客さん同士とかでも、みんなと関わってこそ繋がりうる話なのに、何やってんだろうなって。そこから徐々に関わり合うことを覚えていったみたいな感じなのかなあ。

 SNSの使い方にも気を配るようになって。いろんな人との交流ツールとして使うようになったりとか、いっぱい発信するようになったりとか。SNSで自我を出しすぎて(笑)ちょっと、あるタイミングで「伝えたい部分がよく分からない」って言われたことがあって。告知は告知として分かりやすく……自分のお気持ちツイートを公式アカウントからめちゃくちゃしてた。投稿数も多ければ、どれを拡散したら良いか分からん、みたいな。そういうターゲットに分かりやすく伝わるツイートではないんだってのもあって、気をつけるようになったし、主催であってもやっぱり「音楽を愛するフリークみたいな立ち位置でライブを観たい」「お客さんとしていっぱい楽しむときは楽しむし」ってスタンスだから、普通に観にもいくし。

 やっぱりライブハウスに通っているうちに、おのずと誰かと喋るのが好きになってきて、どんどんコミュ力というか(笑)勢いが増していって。結果イベント向きの体質になったのかなっていう気もしてる。それで弾みがついて、自分らしくなったのかな。けっこう積極的に話しかけに行ったり、交流を持ったり、ライブハウス内での動き方、立ち振る舞いみたいな。調子に乗り過ぎるときもあるけど、良いと思った音楽は応援し続けるし、呼びたいアーティストにはどんどん声かけるし、ライブハウスで出会った仲間は大事にするし、大事にしたいし……となりました。
 主催らしさはわかんないけどね、まだ。今言った中に「主催らしさ」っていう要素はあんまりないかな……情熱はずっと持ってる。変わんないはず。

——今も葛藤とか悩みみたいなのあるとは思うけど、葛藤すべき部分とか悩むべき部分の、整理みたいなものはついてきたって感じなのかな。

 うん、うん。やっぱりある程度、棲み分けが必要なとこもある。感情と実際の運営とを切り分けて考えないといけないときはあるから。そういう心のごちゃごちゃした部分は、だいぶ整理されたと思うし、自信がついたと思う。周りに流されてとかいう形ではなくて、「自分の意思でこうしたいと思ってこの発言をしたんだ」とかさ。これはたぶん主催としてだと思うけど、年を重ねていくごとに言葉に宿る責任感みたいなのがめちゃくちゃ増えてきた気がして。大人じゃなきゃいけないかなとか、責任感なきゃいけないかなっていう局面がどんどん増えてる気がする。
 数年前はもっともっとおちゃらけてた気がするけど(笑)イベント規模とか、関わるアーティストが増えてきたこともあるし、向き合う事柄も増えたと思う。より一層真剣じゃないとなって思う。こういう部分を教えてくれてるのはaureliaだったりする。ライブ一つ一つに真摯に向き合ったりとか、その一つ一つの行動にライブハウス内での先輩バンド、中堅バンドとしての動き方というか、があると思うから。そういう見られ方とかっていうのも、近くで見てるから。私は全然しっかりしてないけど、しっかりしなきゃなとは思うよ。

自分のやりたいことはいつも主軸に置いて

——ちょっとその流れで、だんだん未来の話に向かいながら、徐々に締めていきたいなと思っていて。さっき「新たに試みてることとかもある」っていう話があったと思うんだけど、それの中で今聞けることってある?

 自発的にやりたいと思ってるのは、すぐすぐではないけど、サーキット。……って、ずっと言ってるんだよ私、ここ数年ぐらい。イベント規模の拡大っていうのはずっと前々から、中長期目標であって。さらに行くのであれば野外イベントとかもやりたくて。今ちょうど、そういう話を先輩からいろいろ伝授してもらってるところかな。

——それは単独に限らず、どこかと合流することも考えながら?

 そうだね、どこかと合流……意識として、メインブッキングは自分なんだけど……。

——できれば単独でやりたい(笑)。

(笑)うんうん、そんな感じ。ここ最近いろいろとコラボ的なイベントもさせてもらったり、レコ発の持ち込み系のイベントもさせてもらってるから、そこはずっと自分の良さとして。個人イベントではあるけど、レコ発ツアーの一環として組み入れたりしてもらってるのはすごくありがたいことだから、それは続けたい、きっかけがある限りは能動的にやりたいと思っていて。その傍らで……傍らっていうか、どっちももちろん力を注ぐけど、そういう会場数なのか、規模なのか、キャバなのか、拡大も意識して活動したいです。やりますと言い切れるわけではないけれど。

——それを見据えながらっていう。

 うん、そこで力を貸してくれそうな方々、サポーターは多いです、『ツナグ。』は本当に。アーティストもお客さんも、ライブハウスもすごく応援してくれるので、本当にありがとうって思っていて。泣くかと思ったね、本当に嬉しかった。あと、本当に自主的に「スタッフやりたいです」「関わらせてほしいです」って声かけてもらったりとか、手伝っていただいたりとか。「今後、例えば来年とか、こういうイベントがしたいから、そのときは『ツナグ。』が介入する形でどうですか?」みたいに言ってもらったりとか。
 昨年は初の試みで東京でイベントをやって。東京以外の他県、東北のどこかとかでも、やらせていただけたらなって思ってます。一応あるんだ、そういうきっかけは。あとは私のタイミングと……踏ん切りかな。

——バンドでもよく言われることだけど、何にせよ続けることが大事になっちゃうからね。結局続けてるから、これもやれたし、あれもやれたし。

 ね、取っ掛かりっていうかさ、続けてないと舞い込んでこないね、チャンスとか。頑張ろうって思える理由はやっぱり、続きものとして継続してて、発生してくるなって思う。一回止まってしまうと、勢いが失われるんだよね。本当にがむしゃらな側面もあったかもしれないけど、やっぱ走り続けてきてよかった。コロナ禍も、なんとかイベントさせてもらってたし。

——今、活動としての話を聞いた上で、今度しらっち個人として、人としてではないけども、どんなふうになっていきたいとか、目指す部分はあったりする?

 私、今、下手したら人生で一番忙しいぐらいの勢いで動いてみてるのね。それって例えば、断れなくてとか、そんな後ろ向きな理由じゃなくて、自分でやりたくてやってる。だから、自分のやりたいことはいつも主軸に置いて生きてこれてるから、そういう活動に精を出して、見つけたものをどんどんまた自分の糧にしたくて。ほんと忙しくてなんぼだね。

 今は、大切にできるものをより大事にしたいフェーズかなって感じ。新しく、手広くとかっていうよりは、今あるコミュニティとか環境とか、築いてきた縁とかをより密度濃くしたり、もしくは再構築したりとか、そういう期間なのかな。そうやっていろいろ関わっていることによって、様々なコミュニティが築かれていくじゃない。そこをより大事にというか、求められたら動いてみるし、やりたいなと思うことがあったらフィーリングでも挑戦してみるし。

 仕事は仕事で今が転換期ではあって、一応やってみてる、どうなるか分からないけど。いろんな方向に目を向けて、どっか一箇所に依存しないようにしてるというか、それで視野狭くなるぐらいだったら、いっぱい広い目を持ちたい。でも、既存の縁を大事にしたいっていうか、いっぱい出会ってきたからさ。そういうのを見極めたりとか、じっくり育てる期間かなと思う。いっぱい飛び回ってきたからね……。

——一旦地に足つけて(笑)。

(笑)そう。ちょっと落ち着きを見せてみる。そんな感じかな。
 とにかく、私は『ツナグ。』が大好きです。

しらっち。
1994年10月19日生まれ。宮城県出身。
自身の代表的主催イベント『ツナグ。』は2017年6月の初回以降7年間にわたりコンスタントに開催中。読み物や動画コンテンツ、イベントテーマソング配信などメディア展開もさまざま。
仙台を拠点に活動する同級生バンドaureliaのスタッフも兼任している。
しらっち。𝕏(@shiratch19
『ツナグ。』𝕏(@tsunagu_sh
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