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【後編】自分自身、そして仲間に恥じない音楽を。8年の節目に振り返るじゅんじゅわの半生

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どんな形でもいいから「音楽」をやっていたかった

——バンプのコピーとかから始まってたって言ってたけど、自分のその内的なきっかけっていうのが例えば合奏だったり、コピバンの募集っていうところにあったって話だったけど、聴いてきた音楽からの(外的なきっかけ)とかはあった?

 本当の本当に最初聴いてたのは多分スピッツとか。ちっちゃい頃にスピッツを聴いていた記憶があって、親が好きですごい聴いてて。
 んで、なんかその小学校ぐらいまでってさ、なんとなく自分でこれを好んで聞くみたいなことってあんまりないじゃん、ある人はあるかも知んないけど。中学校に入って俺多分まだバンドっていうのを知らなかった。それこそGReeeeNとか聴いてた時期で。

 初めてバンドに出会ったのはやっぱ高校に入る前とか入ったすぐぐらいとかで、そんぐらいに、だからそれこそ中学でちょっとバンドやったりとかしたのもあって、バンドの音楽に興味を持ち始めて、どういうのを聞けばいいんだろうみたいな感じで、TSUTAYA行って、バンプとかラッドとかアジカンとかとりあえずみんなが聴いてるやつを聴いて。多分めちゃめちゃ記憶に……一番聴いてたのはやっぱバンプの『COSMONAUT』めっちゃ聴いてたし。あとアジカンの『君繋ファイブエム』めっちゃ聴いてたし。最初にバンドにハマったのはそこやな。多分バンプとアジカンが多分本当の最初。一番最初にハマったきっかけで。
 それもあってあの黒板を見て「あ、バンプやりたいって人いるんだ」って思って、そこから始めたみたいな。バンドを。多分ちゃんとバンドが始まったのはそのバンドからだと思うんだよ。バンプのコピバン。

——バンドを聞いてたからやりたくなる、って人も多い中で……

 そうそう。だから俺そういうのじゃないんだよ。

——逆なんだね。

 多分普通の人って好きなバンドがずっとあって、そのバンドみたいになりたくてベース始めたりギター始めたりドラム始めたり、そういうところから始まると思うんだけど、俺ってその「音楽をやりたい」ってのがずっと根本にあって。結構なんかどんな形でもよくて、音楽をやれるなら。っていうのがどんどんちょっと形が変わっていったっていう。最初吹奏楽だったけど、バンドを知って、バンドもいいかもしれないっつってバンド始めてみたいな。
 明確に誰かに……憧れてないわけではないけども、最初のきっかけは誰かに憧れがあったわけじゃなくて、「音楽をやりたかった」っていう、どんな形でもいいからっていう、ところがでかいっすな。
 そっからまあ、だからバンドをやるようになってからちゃんとバンドを聴き始めたっていうのも結構あるかもしれない。バンドを聴いてからバンドを始めたわけではなく、バンド始めてからバンド聴き始めたみたいな感じなのかな。

——面白いね。

 そう、だからその後に自分がズブズブハマるバンドに出会ってくわけなんだけど。でも多分本当に最初の順番は、ある意味普通のみんなが憧れて始めるみたいなタイプではないのかもしれないっすなあ。

——聴く音楽のタイプというか、こういうのが好きっていうのは今までに変化はあった?

 いやでもねえ、意外と変わらないかもしれない。そこまで色んな音楽に手出すタイプではないから、それこそバンプもずっと好きだし、でもフジファブリックに出会ったのはすごいデカかったかもしれない。最初にハマったのはバンプだったんだけど、アジカンもめっちゃハマったし、そのバンプとかアジカンは「バンドってかっこいい」「バンドってすげえ」ってのを教えてくれたバンドであって。

——入り口的な。

 入り口で。フジファブリックは「こうなりたい」っていうところになったきっかけのバンドというか。明確に、憧れじゃないけど、こうなりたいって思わせてくれたバンドで。聞いてて曲がすごくいいってのはもちろんあるんだけど、みんなそうではあると思うんだけどなんか唯一無二感がすごくて。ボーカルの、もう死んじゃった志村(正彦)さんっていう人が正直歌はそんなに上手くなくて、むしろ下手な方で。だけども、すごい心に染み渡ってくるというか刺さるものがあって。「なんでこんな下手なのにこんなに泣けるの」みたいな、「こんな気持ちになるの」みたいなのがあって。本当に唯一無二感がすごいなと思って。
 フジファブリックがそういう、憧れのきっかけかなあっていう。バンドの入り口がバンプとアジカンで、バンドの深い沼にハマったのがフジファブリックだった感じはしますね。

——あとイメージとしてはくるりとか。

 ああそうそう。だからそれの派生だよね完全に。フジファブリックの沼にハマって、その先にくるりがいてっていう感じで出会っていって、っていう感じかな。フジファブリックきっかけでどんどん沼が広がっていったっていうのはあって。それでもそんな広いもんじゃないんだけど。本当に沼にハマるきっかけではあったね。

——自分のトラックメイキングでもそれが軸に?

 いやでも明確に、フジファブリックの音楽を、真似しようとは思えなかった、正直、すごすぎて。まあでも確実に曲作りには要素は絶対入ってると思う。それこそフジファブリックのコードとかをめっちゃ調べて弾いたりするし、スピッツとかも、スピッツは元々聴いてたってのもあったけど、バンドにハマってからスピッツの凄さを知ったってのがあって。ちゃんとバンドにハマって、バンドっていうのはこういう構造でできてるんだなってのを知ってから、えっそう考えたらスピッツやばくね?(笑)って感じになってから、その、戻ってきたみたいな感じがあって。結構要素は入ってると思う。

ツバサ・レイガンがくれた"ターニングポイント"

——バンドを8年やってきた中で、できてくる曲の雰囲気に結構変化があったなと思うけど。

 ああ確かに。そうね。それはでも明確なターニングポイントがあって。
 バンド始めてそれこそ星の時期は、ギターの使い方も完全にわからないし、本当に手探りで曲を作っていて、それは歌詞に関しても同じことで、歌詞もどんなことを書いていいかっていうのがわからなくて。本当になんとなくでやってた時期というか、「これいいな」「これいいかも」って、本当に思いつきでなんとなく手探りでやってた時期で、明確にこの、「こういう音楽がやりたくてやってます」っていう芯がなかった時期で。ターニングポイントになったのが、これもなんかね、結構不思議な話ではあるんだけど、明確なところは『あいにく』を書いたところからなんだよね。『あいにく』の歌詞が一番でかいかもしれない。
『あいにく』ってレイガンに最初に「こういうトラックがあるんだけど」みたいな感じで言われて、最初のコードはこうでみたいなのを教えてもらって、これで曲できたらいいねみたいな感じで、初めて人に頼まれてじゃないけど、人のアイデアがあって。そん時に……『あいにく』って雨の曲じゃん。そのトラックのタイトルが雨だったのか何かわかんないけど"雨"っていう明確なコンセプトがあったんだよ、そのトラックに。

——あ、元々、翼が持ってきた時点で?

 そう。翼くんが持ってきたやつが元々雨の曲ってのがあって。だから初めて、うーんと、言葉にすると難しいな。それまでなんとなくやってたんだけども、雨っていう題材を投げかけられて、そこに自分の言葉を載せようみたいな感じで、初めて素直に書けた歌詞だったなっていうのがあって。
 それまでは自分でゼロから作って、「これか?これか?」みたいな感じだったんだけど、なんか『あいにく』を書いた時って……なんかね、その題材持ってきてくれたのがあるのかどうなのかわかんないけど、初めてスッて自分が書きたいことがどんどん出てきて。『あいにく』を書いた時はすごい、3時間ぐらいで曲できたんだよね。

——ああ、言ってた気がする。

 ポロポロポロってやってたらすぐ書けて。で『あいにく』ができた時に「ああ、なんか俺こういう曲をずっとやりたいかもしれない」っていうことをすごい思ったきっかけになってて。歌詞がなんか、本当に素直に書けたんだよね。多分だけど、そういう題材を持ってきてくれて「こういう曲で」って言ってきてくれて、自分のある意味ストレスがなかったじゃないけど、ある意味仕事が減ってて、素直にそこに自分を投影できたってのがあって、引き出してくれたっていう感じがすごくあって。自分の本質的なところを。だから、うん。曲が引き出してくれて、その自分の言葉とか、なんかすごい素直になれて。そん時に書いた歌詞が、なんか全てのような感じがして。そっからずっと、おんなじようなことを書いてる(笑)。そういう自分に素直な歌詞を書こうっていう気持ちになった要因だったというか。

——そっからこう……安直な言い方になるけど「概念的」な歌詞になっていった気がする。ストーリー的というか、感情の起伏をこう、狙いっていうのもそれまでの曲ってあったと思うんだけど。

 そうね、狙わなくなったかもしれない。本当に、素直に出てくる言葉を歌詞にしようっていう、まあもちろん考えて捻ったりすることも(今も)全然あるけど。自分をそのまま投影するような歌詞を書こうってなったのは本当に『あいにく』が最初きっかけになった。そっからもう、自分の軸ができたってのは明確にある。

——今も(曲を)作ってると思うけど、そこにも通ずる……

 そうね。だからずっと、うん。本当にずっと『あいにく』に恥じない歌詞を書きたいっていう(笑)。

——ああ……良いねそれ。

 のがあって。「これは本当に俺が思ってることなのかな?」っていうのはめちゃめちゃ考える。歌詞を書く時に。ずっと指標になってる曲だなあ、あれは。今もやっぱ考えます、そこは。

——大学のサークルで、イベントごとにその都度バンドを組み替えていく時に「俺はギターは弾くけど、基本はボーカリストだから」って言ってたのが結構記憶に残ってて。それは今も、どっちかというとそう?

 いや〜そうね。そうだね。でもなんか、本当に自分の気持ちとしては自分はギタリストではないとずっと思ってる。ギターも全然楽しいし弾くけども、根本では歌ってることが一番楽しいから、本当に自分はギタリストではなくボーカリストだなっていうのは、今でもずっとそう。
 スリーピースになって、ギターの仕事は多くなったけど、それでも一番バンドをやってて重きに置いてるのはやっぱ歌だから、歌を一番最初に考える。ギターを弾く時とかに、このギターは歌歌いやすいかなっていうのは考えるし、曲を作る時もやっぱ、自分の歌が映えるようにじゃないけど、うん。一番歌ってて楽しい曲を作るのはある。

——じゃあそれこそ『あいにく』の一件があって良かったね。

 そうね。やっぱボーカリストですな。未だに。

——いやでもスリーピースになって確かに仕事量は増えたよね。

 うん。それでもやっぱり今でも歌が一番楽しいな。できれば弾きたくないもん。

——よく言ってるよね。

(笑)。あるけど、でも弾きながらってのも楽しいんだけどね。

良い音楽がちゃんと評価されてほしい

——今、活動してて、なんか悩みとかある?

 悩みは……でも自分だけの悩みではないかもしれないけど、もっと評価されるべきバンドっているなってすごい常々思うことがあって。時代の流れとかもあるし、若い人に響くかってのも結構、いやまあ音楽が売れる上で重要ではあると思うんだけど。「なんでこんなにすごいのにこの人はこんな評価されてないんだろう」みたいな、すごい思うことがあって、それこそやっぱ自分の周りにもいっぱいいるし。こんなにすごいのにもう辞めちゃってやってない人とかいるし。なんかね、それは自分に対して、自分の音楽に対しても思うし。こんなに良い曲書いてるのに、もっと聞けよみたいな(笑)まあ偉そうなんですけども。だから良い音楽をやっているけれども、評価されていないっていうところがなんか、もどかしいなあっていうのもあるし。

——結構行く先々でそれは感じることがあるよね。

 そうそう。やっぱツアーとかやってて色んなバンドに出会って、その度にすげえ奴がいるなっても思うし、でもこういうこと言うとあれだけど、「なんでこいつが評価されてんねん」っていうことも、思うことあるし。自分がすごいって思ってるものと、世の中がすごいって思うもののギャップがあって。なんかね。まあどうにかできるような問題ではないんだけども。なんかもっと評価されるべき人が評価される世の中になったら良いのにな、っていうのはすごい思うところではある。バンドをやってて一番思うのは。

——なかなか……うちらがそういう仕組みづくりに手を出すっていうのは難しいかもしれないけどね。

 難しい問題ではあるんだけども、すごい思う。それこそ地元の、福島の地元のバンドでもやっぱすごい人ってめちゃめちゃいるし、でもやっぱ地元の域を出ないようなところで燻ってる人も結構いて。
 だから地元でライブを僕らはやっていて、すごいって言ってくれる人もいるんだけど、心の中では「いや俺よりもっとすごい人いるんだけども……」みたいなこと思っちゃうこともあって。そのね……世間の評価とのギャップが、辛いなっていう。悩みっちゅうか、そういうことは常々思いますね。

——幸いにもそんな中にも一応聞いてくれる人とか会いにきてくれる人ってのが一定数いて、それはすごく、まあ自分たちの話になっちゃうけどそれはめっちゃありがたいなとは思うよね。

 いや、本当だからこそ今聞きにきてくれてる人ってすごいありがたいなって気持ちにはなるし、評価してくれてる人たちが間違ってなかったんだぜっていうことを思って欲しいから頑張るってのも一つの要因としてあるし。

——恩返しじゃないけども。

 今まで無視してきてたやつをちょっとギャフンと言わせてやろうぜみたいな。

——うーん。それあるんだよね。

 そうそうそう。

——綺麗なことはいくらでも言えるけど、掘れば絶対そういう気持ちって出てくる。

 絶対みんな根本にそれはあるはず。だからこそ今聞いてくれてる人たちに「いや私知ってましたけども??」っていう顔して欲しいというか。そのために頑張るってのも全然一つ要因としてはありますなあ。

自分で自分に感動できる瞬間

——逆に今活動している中で、幸せを感じる時ってどういう時?

 あ〜。まあ色々あるけど。一番は……ひとつは新曲ができた瞬間。新曲ができて、「うわこれめっちゃ良いのできたわ〜、みんなに聞かせるのが楽しみだぜ」っていう瞬間がすごい気持ちいい。そもそもやっぱ曲を作るのがすごい好きだから、それをみんなで(アレンジを)作って、みんなの要素が入って、また一段階いい曲になって。自分がゼロから作った曲が、どんどん形になっていく感じというか、うん。本当僕の子供たちのような、みんな思うと思うけど。それが立派に……「立派になったねえ」っていう瞬間がねえ。すごい好きで。

——それは(原曲を作った人の)特権かもしれないね。

 うん。本当に曲が練り上がっていって完成されてレコーディングして……ああでもそうだね。曲ができて、練り上がって、レコーディングまでがまあ終着点だけど、そのレコーディングの歌入れする瞬間が一番楽しいかもしれない。もう本当に極上のカラオケだからね(笑)自分が作った、自分がやりたい曲がすごいいい音になって、それを歌えるっていう。あれはマジで最高の瞬間。

——曲作りの最終到達点でもあるしね。

 そうそう。レコーディングの歌入れの瞬間が一番幸せかもしれない、そういう意味では。
 まああとあれかなやっぱ、自分のライブに感動できた時。やっぱライブやってて、まあ気持ちよかったっていう時もあるし、今日だめだったなっていう時ももちろんあるし。でもなんか10回に1回くらい自分で自分に感動できる日があって。
 なんかその、俺が(他の人の)ライブを見てて、このバンドすごいって思うのの指標にしてるのが「鳥肌が立つ」っていうところなんだけど。それをずっと指標にしてて。「うおお…すごい…」みたいな瞬間が。それをたまに自分のライブで感じる時があって。プレイしてる中で「え、今俺すごくない?」みたいな(笑)っていう瞬間があって、全部ばっちりとハマって。ばっちりとハマってる自分をなぜか俯瞰で見れてる瞬間というか。ってのがなんか不意に訪れる時があって。
 それが……それをもう一回やりたくてライブをやっているところがある。

——なんか一種の、ゾーンみたいなものかもしれないね。

 そう、みたいなことかも知んないけど。何やってもうまくいく気がする瞬間というか。

——うん。それはなんかわかる気がする。

 ライブはやっぱそれを求めてやってる感じはあるっすなあ。
 もちろんやっぱライブ見にきてくれた人が「よかったです」「格好良かったです」って言ってくれた時も嬉しいし、バンド、対バンを見て、すげえめちゃめちゃ格好いいバンドに出会えた時とか、そのバンドと上辺だけではなく仲良くなれた瞬間とか。お互いがお互いの音楽を尊敬し合える上で仲良くなれた時とか。そういうのは本当に楽しい、幸せを感じる瞬間。

——「尊敬できる」っていうのは結構一つ大きなところだよね。

 そうそうそう。ただ仲良いって人はもちろんいっぱいいるんだけど、その人の音楽もすごい尊敬できて、逆にあっちもこちらを尊敬してくれていてっていう、そういう関係が一番理想だから。

——健やかだしね。

 うん。で、そのそういう人にはなんかずっと、会ってなくても見られてる気がするし。一番は自分に恥じないようにするのが一番大事だけど、そういう人たちにも恥じないように行動したいし、そういうライブをしたいなっていうのはすごいある。

——そうっすね……。

 うん。ってところではありますね。

——それを考えると、ここ数年はそれこそコロナ絡みで全然、そういう時間もぐっと減った感じするけど……、インストアこの間やったときに、『耳鳴り』の話をしてたじゃない。

 ああ〜。

——この曲はちょっとそういう、「間が空いちゃって、でもそういう大事な場所がちゃんとここだっていうのがあって」っていう。それはその時俺初耳だったから(笑)ああそうなんだ〜と思いながら聞いてた。

 そう、でも『耳鳴り』は結構曖昧な曲ではあるんだけど、根本にあるのは、あれは結構ライブハウスとコロナ禍と自分と、あと周りの人たちとっていうのを書いている曲で。まあでも説明するのめっちゃむずいんだけど。
「どんなに風が強くても俺はここにいる」みたいな歌詞があって、まあ色んな状況にはなるけども、結局俺はライブハウスにいるだろうなっていう、いようという意思ではないんだけど、多分いるだろうなっていう(笑)そういう歌詞を書いて。
 「耳鳴り」っていうのは、「全部ライブが終わった後に訪れる耳鳴り」っていうか、そういうことを書いた曲で。

——はっは〜ん。

 そう。「暗がりに消えた言葉が愛おしい耳鳴りになって」っていう、それは全部ライブが終わって暗くなったけど、耳鳴りは残っているっていう。なんかそういう状況に……それができてない日々だったから。まあ「耳鳴りをまた聞きてえな」みたいな、そういう。だからライブハウス……にいたいよねえ、っていう(笑)ざっくり言うとね。ざっくり言うとそういう曲なんだけど。

——それ聞くとなんか、(アルバムの)7曲目っていうのもしっくりくる。

 そうそう。ライブハウスにいたいよね、あの耳鳴りの感覚いいよねっていう、曲なんだよね、ざっくりいうと。

——なんかそういう、社会情勢的なことが曲に入り込むことが良しとされない場合もあるけど……なんか、それも別に明確に意識したわけではないんだろうけど、(そういうことにも)靡かない感じというか。

 そうね。なんかそれも別に、社会情勢に合わせたっていう気持ちはなくて。本当にその、自分のその時の今の状況そのまま落とし込んでるだけだから、自然とそういう歌詞になったっていう。

大事な場所に、大きく成長した姿で帰りたい

——ここからの活動でこうしたいなっていうのは何かある?

 言葉を選ばずに言うとすれば、福島の地元のバンドっていう域を出たい。その、全国的に知られているバンドになりたいというところはずっとあって。それに向けてどうするかっていうことはまだまだ考えるけども。福島を地元にしてるっていうのはずっと言い続けるけど。
 めちゃめちゃ大事な場所ではあるし、ここがなかったら……っていうのはあるけど、だからこそ福島にこんなすげえバンドがいるよっていう、あとそういうのを生み出すすごい場所なんだよっていうことをみんなに知って欲しいってのはあるかな。地元だけではない全国的なバンドになりたいっていうのはあります。

——……我々もうすぐ30歳になりますが。

 まあまあまあ(笑)

——年齢に対する意識みたいなのってある?

 まああるよね正直。でも……バンドをやめるやめないっていうのはわからないけど、年齢における生活スタイルって絶対あるし、自分だけじゃなく周りも歳とってくわけで、やっぱ周りがあっての自分だから、もちろん自分がやりたいことを突き通すけれども、前提として周りに迷惑はかけたくないから。だから自分のやりたいことをやるし、でもその上で周りに合わせるじゃないけど、その時その時の自分の環境に合った活動スタイルというか、っていうのはやっぱ歳をとれば変わってくのかなっていうのはあるね。

——うん。ブレてきているわけではないけど、形としてはその時その時で(今までも)変わってきてはいるもんね。

 うん、そうね。だからやっぱ大学生の時とかさ、会社員で働いてた時とか、今それをやめてやっている時期だったりとか。でまたこれからどうなるかってのはあるし、だからその時その時に合わせた活動の仕方があるのかなというのは、なんとなくあるかな。

——ワークライフバランスじゃないけど(笑)。

 そうそう。そん時にやっぱ、一人でやってることじゃないからさ、バンドも。だからなるべく自分のやりたいことをやる方法をとった上でっていう、周りも尊重しつつみたいな。なんか歳をとればとるほどそのバランスを考えなきゃいけないのかなっていう、その意識はすごいある。

——ちょくちょく言ってるのは、「文化センターでライブをやる」っていうのはあるけど。それは変わらず?

 変わらず。これは話戻るけど、フジファブリックに憧れたのがきっかけで。フジファブリックも自分の、ボーカルの志村さんが山梨県富士吉田市ってとこ出身で、富士山の近くの。富士吉田市の地元の文化センターでライブをやったんだけど、それもホールツアーがあって、その文化センターみたいな。それすごいかっこいいなあと思って。
 これが悪いとかじゃないんだけど、多分地道に地元で頑張ってれば、その地元での文化センターのライブって、多分できないことはないと思うんだよ。でもあえて自分の地元を避けてじゃないけど、他で頑張ってきて頑張ってきて最後に地元に戻って「俺こんなすごくなったんだよ」っていう、のを見せるってのが、すごいかっこいいなと思って。

——さっきの「恩返し」に通ずる……

 そうそうそう。だから地元に留まりたくないってのもあるし、地元に還すために。だからそのフジファブリックの動きのかっこよさへの憧れがずっとあって、それを目標にずっとしてて。それこそ郡山の文化センターっちゅうのが、やっぱ俺吹奏楽やってたから、何回も出てる場所で。何回も出てる場所に自分の力で立ってみたいっていうのがずっとあって。それがずっと目標になってるところではありますな。

——やれるといいね(笑)。

 まあまあまあ。まだまだ本当に、まだまだ無理ですけども(笑)。

——頑張っていきましょう。

 はいん。

じゅんじゅわ
1994年5月10日生まれ。福島県出身。
大学在学中に現在のバンドzanpanの原型となるバンドTHE☆N☆PANを結成。以来現在に至るまで全曲の作詞作曲を担当。福島市・郡山市を中心に活動し、2017年4月にzanpanへ改称。同年にはMASH FIGHT、RO69JACKの両オーディションで上位へ進出し、MASH FIGHTではファイナリストとして決勝の舞台に立つ。2019年、長年続いたフォーピースから現在のスリーピースへと移行し、翌年2月に郡山PEAK ACTIONで行ったワンマンライブではソールドアウトを果たす。今年7月より3rd mini album『若者のいちぶ』を携え全国各地でライブ中。弾き語りでも活動。
Twitter(@jnjw_kuri)

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