【読書前ガイドvol.2】パディントン発4時50分/アガサ・クリスティー
皆さま、こんばんは。
らふです♪
久々のアガサ・クリスティーに関する記事です。
今回は読書前ガイドです。
紹介する作品は名探偵のミス・マープルが活躍する代表作『パディントン発4時50分』。
『パディントン発4時50分』を読む前に知っておきたいことをまとめてみましたので、これから物語に飛び込む前に、ポイントを押さえて、より深く楽しみましょう♪
読書前ガイドと注意点(ネタバレなど)に関してはこちらの記事をご覧ください
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ミス・マープルとは?
ミス・ジェーン・マープルは、彼女の鋭い洞察力と村で培った人間観察の知識を駆使して、事件を解決する老婦人。
性格は噂好き、世話好き、話好きで、好奇心旺盛。
振る舞いは基本的に品のある落ち着いたものですが、作品によっては意外にすばしっこい印象があることも。
特徴としては、自身が住む「セント・メアリ・ミード村」の情報通。
特に人間模様に関して詳しく、事件の関係者のことを「あの人は村に住む〇〇さんのような性格で〜、、、」といった表現をよくします。
クリスティ作品の中ではエルキュール・ポアロと並ぶ探偵で2大人気キャラクターで、『パディントン発4時50分』では友人が目撃した事件に関して乗り出します!
『パディントン発4時50分』について
刊行年:1957年
シリーズ:マープル
あらすじ
【クセがスゴい!】登場人物の紹介
『パディントン発4時50分』にはさまざまな一癖も二癖もある登場人物が登場します。
メインのマープルらを押さえておくことはもちろんですが、今回の舞台である古くて大きな館のクラッケンソープ家に関わる人々の特徴を掴んでおくとさらに物語の世界に入り込みやすくなると思います!
○ジェーン・マープル・・・セント・メアリ・ミード村に住む探偵ずきな老婦人
○エルスペス・マギリカディ・・・ミス・マープルの友人。対抗を走る列車内の殺人の目撃者。
○ルーシー・アイルズバロウ・・・超スーパー家政婦。ミス・マープルに雇われて館内で死体の捜索する。
クラッケンソープ家の人たち
ルーサー・クラッケンソープ(クラッケンソープ家の当主)・・・館(やかた)の財産を握る頑固な当主
家長である年老いた父親。病弱で性格は「偏屈で頑固」。
妻を亡くしていて、彼自身は医者からも長くはないと言われながらも、かなり長生きしている。
家族内でのトラブルの元となる発言をすることがある。エマ・クラッケンソープ(長女)・・・最も常識的な長女
ルーサーの娘で、家族の中では最も常識的で落ち着いたいて優しい性格。
家のことを仕切っており、父親の世話をする。
家庭の重荷を一人で背負っている。セドリック・クラッケンソープ(次男)・・・芸術家肌で自由人な次男
ルーサーの次男で、芸術家肌。
海外で放浪生活を送っていて、家族に対してぶっきらぼうな態度を取る。
遺産に対する関心は強いが、基本的に自由人である。ハロルド・クラッケンソープ(三男)・・・冷静なビジネスマンの三男
ルーサーの三男で、銀行員。社会的には成功している。
ビジネスマンらしい合理的な性格でその表面的な冷静さの裏に暗い側面を持つ。アルフレッド・クラッケンソープ(四男)・・・お金に困っている狡猾な四男
ルーサーの四男で、金に困っている。
性格は狡猾で、他の兄弟よりも怪しげな雰囲気を漂わせている。
★以下は故人★エドマンド・クラッケンソープ(長男)・・・優秀な理想的な長男
ルーサーの長男。第二次世界大戦中に戦死している。
家族からは優秀で理想的な人物として記憶されているが、彼の死が家族内の心理に影を落としている。イーディス・イーストリー
クラッケンソープ家の次女。4年前に亡くなっている。
クラッケンソープ家に出入りする人たち
ブライアン・イーストリー
イーディスの夫で元・戦闘機のパイロット。子連れでしばしばラザフォード・ホールを訪ねている。アレグザンダー・イーストリー
イーディスとブライアン夫妻の子供。ジェイムズ・ストッダード=ウエスト
アレグザンダーの友だち。ストッダード=ウエスト夫人
ジェームズの母。クインパー
クラッケンソープ家の主治医。エマに好意を寄せる。ウィンボーン
クラッケンソープ家の弁護士
その他の事件に関わる登場人物
クラドック
ロンドン警視庁の捜査課警部。ウェザロル
同部長刑事。マルティーヌ
エドマンドの妻。行方がわかっていなかったが、エマに手紙を送ってきた。ベーコン
地方警察署の警部。アルマン・デッサン
パリ警察の警部。本件の捜査に協力している。アンナ・ストラビンスカ
バレエダンサー。マリツキバレエ団の団員。マダム・ジョリエ
マリツキバレエ団の団長。
クラッケンソープ家の人間模様に注目!
クラッケンソープ家は、表面的には裕福な家庭ですが、それぞれの人物が複雑な個性や動機を持っており、遺産をめぐる緊張が高まっています。
彼らの人間関係や隠された意図が、物語のミステリーをより深く、興味深いものにしています。
上記で整理した登場人物のそれぞれの特徴を押さえた上で、物語を楽しんでみてください!
ファースト・マープル作品にはピッタリ!
クリスティ作品の中で、ミス・マープルシリーズは長編は12作品、短編は20作品あります。
ポアロシリーズ(長編33作品、短編53作品)に比べると少なめですが、どれも魅力的な作品ばかり。
物語が続いている作品もあるので、読む順番は少し注意したほうがいいのですが、この作品は初めて読むマープル作品にはピッタリだと思います。
理由としては
・物語の構造がシンプル
・登場人物もそこまで多くなく、複雑ではない
・ミステリーで定番のお屋敷ミステリー
私も実はファーストマープル作品はこの『パディントン発4時50分』。
小学生だった当時でも「向かいの列車の中の殺人を目撃する」という衝撃的な始まりに驚かされたものです。
この作品に出会ってから向かいを走る列車を思わず見てしまうように(笑)
もう一人の主役:ルーシー目線で物語を楽しもう!
この物語にはマープルと殺人の目撃者で友人のエルスペス、クラッケンソープ家の人々と関係者の他に、マープルの指示で“潜入捜査“を行うルーシー・アイルズバロウがいます。
このルーシーの役割は、舞台となるクラッケンソープ家でメイドとして働き、屋敷内にあると思われる死体を見つけること。
屋敷内の物語は、ほぼこのルーシーの目線で進んでいきます。
ぜひ皆様もルーシーになった気分でこのお屋敷ミステリーに挑んでみてはいかがでしょうか?
本作品のキーワード
ネタバレしない程度に本作品のキーワードをご紹介します。
ズバリ、、、「目撃」です。
あらすじなどでも触れた通り、この作品は列車の中の殺人を目撃するところから始まります。
これはあくまでもエルスぺスが遭遇した「状況」を指しています。
我々も普段から何かを目撃することってありますよね?
目撃するとは一体どういうことを指すのか、、、
まだ真相を知らない方は「?」となるかもしれませんが、真実に辿り着いた時私は「ほぉ〜!」となりました。
クリスティにとってのパディントン駅とは?
ここでちょいネタを1つ。
アガサクリスティ関連本の『アガサ・クリスティを訪ねる旅 鉄道とバスで回る英国ミステリの舞台(著 平井杏子)』によると、パディントン駅は作者のクリスティがもっともよく利用した駅でもあるそうです。
クリスティは生涯この駅からあるいはこの路線から離れた生活をしたことはなかったそう。
クリスティ作品は列車が舞台の作品がいくつかありますが、クリスティ自身は列車で旅をすることが何よりも好きだったそうです。
彼女の列車旅好きのおかげでこのような素敵な作品が生み出されていたんですね。
ちなみにタイトルにある「4時50分」に出発する列車は現在はないそうです。
日本キャストでリメイクもされている!
実はこの作品日本でも何度かリメイクされているんです。
一番最近だと2018年に放送されました。
主演は天海祐希さんで、ミス・マープルの立ち位置の役でした。
そして、事件を目撃するエルスペスの位置の役は草笛光子さんで、天海さんの義母という役どころでした。
個人的にはこの草笛光子さんのキャスティングは興奮しました。
なぜなら、草笛光子さんはドラマ版のミス・マープルの吹き替えを担当されていた方だからです!
残念ながら現在この作品をサブスクなどで観る方法がないのが残念ですが、、、
日本でもリメイクされるほど、この『パディントン発4時50分』は代表的な作品で人気が高いものだということがわかります。
マープル作品を楽しんで!
今回は登場人物を重点的にまとめてみました。
お屋敷ミステリーを楽しむ時に重要なのは登場人物とその特徴を理解することだと思います。
一筋縄ではいかない人間たちの言動や振る舞いをみて、「あ〜、こんな人いるよね(笑)」と苦笑いしながら楽しむのもいいのではないでしょうか。
マープル作品はまだまだ魅力的なものがたくさんあるので、また引き続き読書前ガイドを作っていきたいと思っています。
暑い日が続きますが、たまにはお家や涼しいカフェでミステリーに浸るのはいかがでしょうか?