マガジンのカバー画像

よいしょ(自選詩)

18
運営しているクリエイター

#青空

詩| 空け

詩| 空け

   浮雲ひとつ
 さびしい片足が      空中に蹲る   
破れた靴下みたく     今にも千切れそう
死ぬ間際だけお前を   もう忘れるから
 お前は死ぬ間際だけぼくを思い出してくれ
浮雲ひとつ漂っている
やがて一碧
二匹

詩| 晴天の休日にこそ

詩| 晴天の休日にこそ

晴天の休日にこそ、人けのない日陰を探す。
文化ホールの裏道や、休業中の店先や。
私は一人だけれども、
漏れ聞こえてくる喧騒は幸福の鐘声で、
それが独りを許すのだから。

晴天の休日にこそ、知らない路地で立ち止まる。
干上がった赤い灰皿や、公園近くの廃屋や。
私は一人だけれども、
坂の上に立つ陽炎は祝福の予感で、
それが独りを満たすのだから。

街は辛うじてのんびりしていて、
私の帰属を曖昧にする。

もっとみる