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蛙太郎
2022年3月31日 06:57
吹き溜まる花びらを見て、信号待ちの君が何を思うかは知らない。柔らかな風に包まれれば、なんだか逆上せてしまって、君と僕とで縺れるように桜になれたらと思う。終わらない三寒四温。すれ違うオードトワレの香り。愛想笑いで虚しい会話。まだ散らないでと願った両目。浮き立つような春霞。何度でも忘れてしまうだろう。いつかまた君と会った時、心から美しいと思えるように。発進した車が巻き上げた花びらが、時