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詩| 春の夢

吹き溜まる花びらを見て、信号待ちの君が何を思うかは知らない。
柔らかな風に包まれれば、なんだか逆上のぼせてしまって、君と僕とでもつれるように桜になれたらと思う。
終わらない三寒四温。
すれ違うオードトワレの香り。
愛想笑いで虚しい会話。
まだ散らないでと願った両目。
浮き立つような春霞。
何度でも忘れてしまうだろう。いつかまた君と会った時、心から美しいと思えるように。
発進した車が巻き上げた花びらが、時空を歪めるように舞う。その間だけ僕と君は背中合わせだ。