見出し画像

知ってると思ってたら知らないことがあって

すっかり寒くなった。服装での体温調整がうまくいかず、喉を痛めてしまったので、のど飴を買った。のど飴でのどの調子が良くなるかはわからないが、何もしないよりはいい気がして。

のど飴もいろんな種類があってどれにしようか悩んだけど、フルーツのど飴に心惹かれて、フルーツのど飴にした。ピーチ・オレンジ・レモン・青りんご・グレープ、味の種類が豊富だったのも決め手。でもグレープやオレンジの味が好みなので、後半はレモンやピーチばっかりが残ってしまう。

昼食のときに、のど飴の成分表やアレルギー物質の欄が目に入ってきた。「オレンジ味にはオレンジが入っている。レモン味にはオレンジ、青リンゴ味にはオレンジ・りんごね…」

え?オレンジ味以外の味にもオレンジって入ってるの?グレープ味はグレープだけじゃないの?知らなかったな。知ってると思ってたけど知らないこともあるんだ。別に何でもかんでも知ってるわけじゃないけど。意外な発見だった。



友達が相談に乗ってほしいと言ってきた。人から相談されることなんてあまりなかったので驚いた。まあ時間があったし、大概のことは聞き流して、「それで、どうしたいの」と聞いてその答えに賛同して背中を押せばいいと思っていたので、相談相手になった。

「好きな人がいてさ、その人のことが気になっててさ」
『いいじゃん、恋してるんだ、それで?』
「でもその人への思いがわからなくなってさ」
『なんで?気になってるって言ってたじゃん』
「その人のことをよく知っていると思ってたんだけどさ」
『けどさ?』
「俺には知らない一面があって。それを見て幻滅したというか」
『その一面を知って心が揺らいでるってことね』
「そう。でもどんな一面を見たとしても、それはその人に変わりないんだよね」
『まあね』
「俺が勝手にイメージして、勝手に幻滅して、俺が勝手だったんだよなって」
『そんなの当たり前なんじゃない?だって好きなんでしょ、その人のこと』
「え?」
『勝手にイメージするのも、意外な一面を知って幻滅するのも、結局はその人のことが好きだからでしょ』
「...そうだな」
『誰かを好きになるって、勝手なことだからさ』

思っていたよりも真剣に相談に乗って友達のことに答えていたことに、自分自身驚いた。友達の相談に対して、流したりスカしたりするんじゃないかという自分への期待を自分が裏切っていたことに。思いの外熱くなっている自分がいた。




あの時友達に言った何気ないぼくの言葉が、今のぼくに響いている。ぼくが勝手に思い込んでイメージしたものは、ぼくのイメージであって、そのものではないと思っていた。でも、ぼくのイメージすらもそのものであって、そのものを形作る一つの要素であることに。

知ってると思ってても、知らなかったことはいくらでもあると思う。フルーツのど飴しかり、友達の”その人”にしかり。何でも知っていることのほうが不自然だ。知らないことのほうが世の中には多い。だから知らないことを見つけたときは、その本質についてまた一つ知れたと喜べればいいんじゃないか。

何気ない発見をすることができるようになりたい。その為には、普段から周りをよく見ることが必要になってくる。自分以外の物や人に興味がない冷たい男だけど。お店がリニューアルしてるとか、看板の落書きが増えているとか、髪型が変わったとか。


細かい変化に気付けるような人になりたい。20歳まで残り約半年ぐらいの小さな目標。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?