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学んだことがすぐに使えなくなる時代

学んだ知識が、変化の激しい時代において、無駄になる。
これは、多くの方が抱えている不安であるように思う。

学んだことがすぐに使えなくなる時代

実際に『LIFESHIFT』にも書かれているように「1869年のアメリカにおけるGDPの中での農業の割合は40 %であったが、2013年に農業はGDPの1 %」となった。
これは150年間での遅い変化に感じるが、工業に置き換えて考えていくと、さらにその後工場勤務にて働いていた人のほとんどはロボットに置き換えられてしまった。

ホワイトカラーの仕事においても、同様のことが言える。
AIが一般でも活用されるようになった現代において、有料サービスの人間に相談をするよりも月額二十ドルほどで、嫌な顔ひとつすることなく、情報提供してくれるアドバイザーがついてくれるようになった時代である。

数年前まで「プログラミングを学べ」「動画編集技術を学べ」
色々な学習対象を示唆してくれるコンテンツがありふれていたが、それらを本当に正しいのか?
『世界一流エンジニアの思考法』にて米国マイクロソフトで就業している著者も、自分たちが身につけているスキルがどこまで使えるものなのか?という点において不安を感じていた部分があった。
ただ、最先端の技術者であるから、ここで働いているエンジニアが使っている技術は、サンプル数が少なくAIが簡単にアウトプットできるものではないという。
このような「希少性」というのは、得るスキルを考える上で、一つ重要になると思う。

リスキリングの重要性が本当の意味で理解できてきた

リスキリングという言葉を初めて耳にした時、学び続けることの重要性や、一度身につけた専門性を手放すという、その言葉が示す意味は理解できていた。

しかしながら、なぜそのような当たり前のことが、わざわざ多くの著書が出ながら、注目されているのだろう?ということは疑問だった。
ただ、今ならその真意がよくわかる。

キャリアのコンサルタントをしているが、60代の方と面談をする場面があった。
その方は若いうちに大企業で20年以上働いてきており、素晴らしい実務スキルを身につけている。

現職で退職後、健康であるが故に働くという意思決定をした。
そこで1度転職活動をしているのだが、あまりに大きなギャップに驚いたという。
書類選考は全く通らず、未経験でもできる警備業のみに選考通過する。
年齢によって、不利なのは知っていたが、ここまでということは予想外であったようだ。

この方の経験を活かせる、次の環境を探すということが私の仕事であることは間違いない。そのためにアドバイザーが存在している。しかしながら、現状50代以上を雇用しようとする企業は、組織構成上の問題や前例がないということで、そう多くはない。

もちろん、これはおそらく変化する。積極的にミドルシニア層の方を採用しようとする姿勢が見られるようになるだろう。ただ重要なのは「需要があるものを個人が持っているか」という点である。

この件があり、これからさらにミドルシニア層が何度も転職をする時代において「リスキリングの重要性」を身をもって実感した。

リスキリングの本質は「続けること」

リスキリングにおいて「何を学ぶか?」ということが重要であるように感じる。
できれば、長く活用できる知識を身につけたいと誰しもが思う。
しかしながら、身につけた知識やスキルは、基本的に短命なのであるから「学び続ける」ことが最も重要であるという結論に行き着いた。

勿論、得たスキルや知識の寿命が長い場合もある。
それは、法律や倫理により変化が比較的少ない、医療分野、インフラ関係など。
これらに従事している人は、その専門枠において、知識をつけていくということが、重要であると思う。
しかしながら、ほとんどの産業は、変化が激しく、今身につけているスキルも5年後に必要となっているか?というとわからない。

そのため、今の状況において、自分に足りないスキルや知識を一つずつ身につけ、産業構造の変化により、需要が薄れてきた際に、それを「手放し」、代わりに需要があるスキルや知識を身につける。
このようにリスキリングの本質は何を学ぶか?ではなく、続けるということが重要であると考える。

要約

学んだ知識が変化の激しい時代において無駄になることは多くの人が不安に感じている。150年の間に農業から工業へと変わり、その後も工場勤務がロボットに置き換えられた。同様にホワイトカラーの仕事もAIによって代替されつつある。つまり、学んだスキルや知識は長く使えるものではない時代だ。リスキリングの重要性も理解できた。リスキリングは何を学ぶかよりも「続けること」の方が重要だ。自分のスキルが将来的に必要とされなくなった場合、新しいスキルを身につけることが必要だ。リスキリングは個人の成長とキャリアの継続を支えるものである。

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