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【IZM】FIFTY FIFTYインタビュー

2023年3月公開

独特なマーケティング要素で目を引いたとしても、良い音楽ほどの正攻法はない。昨年11月にデビューした新人ガールズグループFIFTY FIFTYは柔らかなメロディーと基礎のしっかりとしたスキルを全面に出した『THE FIFTY』を皮切りにK-POPファンはもちろん国内外の評論家からも高評価を得て、その不変の真理を自ら証明している。それは時代の流れに過度についていこうとせずとも、大衆に浸透できる方法を深く模索したからこそ可能なことだった。

そのためであろうか、インタビューの間ずっと「色」という単語が彼女たちの口から離れなかった。私とあなた、そして私たちを包含するカラーを探すために、4人の少女は活動の主体となって互いに意見を交わしていた。都会的なディスコトラック「Cupid」で良い音楽を渇望する人々の胸にもう一度矢を向けた今、堂々とした爽やかなエネルギーでさらに深まったFIFTY FIFTYならではの色彩をチェックしてみよう。


最近「Cupid」がBillboardのワールドデジタルソングセールスで週間8位を記録し、MVにはYouTube公式アカウントがコメントを残したりもしました。

セナ:私が知っているBillboard、そしてYouTubeなのか?と目を疑いました。今でも信じられないのですが、私たちが思っていた以上にファンの皆さんのFIFTY FIFTYの音楽に対する期待が大きいことを実感しました。注目をいただいたことで、より責任感を持って頑張らなければならないと改めて感じました。

世界中が皆さんに関心を持ったのは、デビューEP『THE FIFTY』が功を奏したからではないでしょうか。アルバムに収録された4曲をもらった時、どのように感じましたか。

セナ:良い反応がもらえるだろうと確信しました。似たような質感のトラックである「Tell Me」「Lovin' Me」「Higher」と完全に反転したイメージを持っている「Log in」だけで私たちが持っている多様なスタイルを十分に見せられると思いました。
キナ:いわゆる「ガールクラッシュ」な音楽が最近とても多いですが、流行とは異なるコンセプトで私たちだけの色を確実に見せることができると信じて疑いませんでした。

先ほど言及されていた「Log in」は他の3曲に比べて同世代のガールズグループの音楽と大きな差はない気がします。

セナ:実は「Log in」と「Higher」のどちらをタイトル曲にするか本当に悩みました。最初はどうしてもパフォーマンスを見せることができる「Log in」の方に意見が集まりましたが、2曲をずっと聞いていると「Higher」の魅力から抜け出すことができなくなりました。聴きやすい音楽ということだけでも現在のK-POPシーンで目立つ位置を占めることができると判断し、事務所との長い相談の末に「Higher」がタイトル曲になりました。

「Higher」のどの部分に惹かれたのでしょうか。

セナ:雲のような魅力ですかね。ふわふわとしたメロディーが、まるで香水のように頭に残りました。

残りの2曲に対する第一印象も気になります。
アラン:「Tell Me」は一番溌剌とした若々しい感じのシティポップです。ですが、ディレクションではひたすら若々しさを出さないように歌ってほしいと言われました。「愛」といっても常に幸せなことばかりなわけではないので、そのような逆境まで乗り越えながら、私はあなたをずっと知っていきたいという内容を歌う曲であり、その主体が私とあなた、そして私たちになれるという点を表現するためにメンバー全員の考えを取り入れました。
シオ:「Lovin' Me」に関しては、デモバージョンから歌詞が変わったんです。会社側がもっと私たちの話を盛り込みたいとのことで、既存の歌詞と私たちの話が調和し「Lovin' Me」が完成しました。そしてトラックに関しても「Higher」「Tell Me」とは違ってEDMサウンドを強調し、ユニークな印象を与えようとしました。

新曲「Cupid」も良い成績を収めていますね。この曲は前作と比べて少し肩の力が抜けた気がしました。

アラン:歌詞の持つメッセージを伝えようと集中した過程で自然と柔らかくなりました。キューピッドが撃った矢のおかげで恋をはじめとする目標を達成できるでしょうが、私たち皆がそのような助けなしにも自ら勝ち取ることが十分できるということを強調したかったです。

「Cupid」ツインバージョンではラップが完全に抜けましたが、これは何か特別な理由があるのか気になりました。

キナ:そもそもオリジナルバージョン自体がイージーリスニングを狙って作られたので、オリジナルからラップを除いたバージョンもきちんとした意図があって収録されました。オリジナルバージョンは舞台の上でのパフォーマンス的な部分も考慮して4人の多彩さを盛り込むことに集中しましたが、ツインバージョンは良いメロディーとビートをさらに前面に出して差別点を図りました。

とするとメンバー全員ボーカルに対する自信が相当あるようですね。
シオ:自信がないと言ったら嘘になります(笑)ボーカルこそ、私たちが堂々と前面に出せる部分の一つです。もちろん、これからも進化し続けていきますので、現時点での実力が優れているというよりは、私たちだけの色がはっきりしているという意味で解釈していただければと思います。
アラン:舞台に上がる前までに必ず自分たちの色を見つけ出します。そうでなければ完璧な姿を見せることができないため、準備の過程でいつも長い時間をかけて悩む方です。このような努力のおかげで私たちの歌は私たちだから活かせる部分が確かにあると自負しています。

こんなボーカルになりたいという人はいますか。
アラン:DEANCrushです。DEANはこちらの見当がつかないほど多彩なソングフォームを使いこなしていて、Crushは生まれ持ったリズム感のおかげで、耳で彼の音楽を聴いているのに、まるで全身が動いているような気分になります。これらは真似しようと思っても絶対にできませんでした。それからは歌をただ歌うだけでは駄目なのだということに気がついて、自分の色で消化する方法について熱心に研究中です。
シオ:ボーカルですと、ポップ歌手のイェバ(YEBBA)を選びたいです。 歌唱力も素晴らしいですが、リック(Lick、短い音階間の繋がり)を本当にユニークに使います。 私が自ら足りないと感じる部分なので、弱点を補うために彼女の卓越した能力に似せようと努力しています。
セナ:若い韓国歌手の中で、イ・ハイのように深みのあるソウルを持っているミュージシャンは珍しいです。トントンと吐き出す歌詞に特色のある切なさが込められていますし、彼女が追求する音楽もやはり確かです。 私も声を聞いてすぐに分かるようなアーティストになりたいです。
キナ:BIBIをとても尊敬しています。ある一つのテーマについて深く掘り下げる時、声のトーンに変化を与えたりラップ、ボーカルを混ぜて多様に解釈する余地を残すという点が本当にすごいと思います。

メディアではボーカルを主に担当しているアランさんとシオさんについて言及されることが多いですが、セナさんとキナさんもやはりレベルの高い実力を持っています。キナさんはかつてドラマ『走る調査官』のOSTに参加し、「Take back my life」という曲でレベルの高い歌唱力を披露したこともありますが、2人のボーカルはいつ頃聴けるのでしょうか。
キナ:今はアランとシオがボーカルで見せられるものが多いと判断し、今回のようなパート配分が行われました。もちろん私とセナだけが持つカラーも存在するので、私たちにふさわしい曲をもらった時はいつでも参加できるよう準備しています。 おそらく近いうちにお聞かせできるのではないかと思います。

グループとしてのチームワークを見せることに重きを置かれるデビュー初期にもかかわらず、2人だけで歌った曲が多いですよね。歌に参加するメンバーがどのようにして決まったのか気になります。
キナ:レコーディングをする度にメンバー全員が最初から最後まで曲を歌ってみます。そこで感性が一番よく合って、より良く表現できるメンバーにそのパートまたはトラックが任されます。「Lovin' Me」はセナとシオのボーカルがよく合い、「Tell Me」のようなおぼろげな声はアランが上手に表現することができました。私は作詞に参加してラップをはじめとする歌詞をもう少し私らしく調整しながらも、メンバーたちの長所を生かせるよう努力しました。

ラップをする時、一番参考にするラッパーはいますか。
キナ:海外のアーティストではDoja Catですね。ラップだけでなくボーカルでも自分自身の色を溶け込ませている点を見習いたいです。国内ではHAONJUSTHISをよく聴きます。特に誰かが傷つくような言葉を一つも入れずに自分の思いを伝えるHAONをリスペクトしています。

メンバーの楽曲への参加率が相当なようですね。 自分たちが作業にどれくらい貢献していると思いますか。
キナ:まだ30%ぐらいですね。今回は私だけが作詞に参加しましたが、メンバーたちも作詞、作曲に対する意欲がとても大きいので、これからもっと参加率が上がると思います。
セナ:40〜50%くらいだと思いますが、それでも新人としては非常に大きな機会をいただけていると思います。おかげで私たちの色が多く反映され、結果的に良い作品を完成させることができました。もちろんまだ未熟な部分も多いですのでこれからも努力していこうと思います。

歌手の夢を持つようになった決定的な瞬間はいつですか。
キナ:幼い頃にたまたまApinkの映像を観る機会がありました。ステージ上で自分達だけのメッセージを伝えつつファンの方と交流する姿が心に響き、私もあんな風になりたいと思いました。当時から一度も心変わりはなく、ひたすら歌手を夢見て駆け抜けてきました。
シオ:元々明確に進みたいことはなく、色々なことに取り組みたい子供でした。歌、絵、ダンスのような芸術・体育分野に関心があり、その中でも音楽、特にポップスが好きで中学校3年生くらいから歌手の夢を持ち始めました。当時はSam SmithLauvTroye Sivanの歌を聴いて自己表現の仕方を学びました。
アラン:4〜5歳頃、ペク・チヨンの「銃に撃たれたように」がリリースされましたが、居間にあったPCで一日中その歌だけを流していた記憶があります。 どんな内容なのかも知らずに聴いていたのでおそらくその時ではないかと思います。
セナ:10歳頃にBESTieの舞台を見てから彼女たちのパフォーマンスを真似していました。その時アイドルという夢を持つようになり、私もあんな歌手になりたいと思いましたし、お母さんも幸せそうに真似をする私の姿を見て、私が望む方向に行かせてあげたいという考えがとても強くなったと話してくれました。

セナさんはデビュー前にダンサーを夢見たと伺いました。
セナ:本格的にアイドルになるために準備していたところ、ダンスにすっかりはまってしまったケースですね。プロダンサーになるために数年間ステージにたくさん上がったり大会にも熱心に参加して経験を積みましたが、アイドルの夢をどうしても諦められず、再び事務所のオーディションを受けに通いました。受ける度に苦い思いをしていたので、最後の機会と思って今の事務所に応募しましたが、幸い合格してデビューできることになりました。もしその時落ちていたら今頃ダンサーとして活動していたのではないかと思います。

今までリリースされた5曲の中で一番気に入った振り付けがあるとしたらどれですか。
セナ:パフォーマンス的に見れば「Log in」は起承転結がはっきりしています。ですが見ていても疲れることがなく4人の色が確実に表れているのは「Cupid」だと思います。いくら構成が優れていても、私たちがその瞬間をさらに楽しみながら表現してこそ完成だという気がして、それぞれのパートをどのように生かすか非常に悩みながらダンスに反映させました。

デビュー以来、一番幸せだった瞬間を一つだけ挙げるとしたらそれはいつですか。
キナ:初めて音楽番組に出演した時ですかね。 テレビで観ていたステージに私が上がったという事実だけでも言葉では言い表すことができないほど幸せでした。
セナ:今回の「Cupid」活動の時、客席に何人かファンの方々がいらっしゃいましたが、パフォーマンスをしている時にイヤモニをしていても私たちを応援してくれる音が聞こえてとても大きな力になりました。FIFTY FIFTYが少しずつ成長していることを実感することができた瞬間でした。
シオ:これまでの曲の中でも「Lovin' Me」は一番最初にもらった曲です。 なので初めて聴いた時、私がついに練習生を越えてプロに向かう道に入ったんだなと思ってちょっとジーンときました。
アラン:最終録音が出来上がった時はいつも刺激的です。特にタイトル曲である「Higher」は意図した通りに表れていた部分もあり、逆にそうでもない部分もありましたが、最終的にはそれらがうまく調和していて心に響きました。私が歌った歌が音源として世の中に公開され、これから私がこの歌でステージができるということを実感する瞬間が一番幸せですかね。

皆さんが定義するFIFTY FIFTYの音楽的アイデンティティは何ですか。
セナ:純粋さだと思います。私たちは新しい何かを先に作るのではなく、基本的なものを準備しながらその上に他の色彩を軽く重ねていくスタイルで作業を進めていますが、その過程で各自が持っている本来の魅力がよく表れていると思います。

最後に、韓国のポピュラー音楽、そしてK-POPシーンでどんなグループとして記憶されたいですか。
シオ:真正性のあるアーティスト、そして音楽が良いグループとして記憶に残るのが私たちの目標です。
アラン:FIFTY FIFTYというジャンルで記憶に残りたいです。どんな曲を聴いた時でも、人々が「これは完全にFIFTY FIFTYの音楽だね」と言って気付いてほしいですね。
セナ:ステージそのものを楽しむグループとして記憶されたいです。ただ漠然と歌って踊るのではなく、音楽に没頭して自分なりの考えを持って臨むことが最も重要です。そうしてこそ、見る人たちもステージを十分に楽しむことができると思います。
キナ:どれも重要ですが、長続きすることが何よりではないでしょうか。長生きのグループになりたいです。

サムネイル:公式HPより






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