3月読んだもの観たもの
空気階段第5回単独公演「fart」
2月のやつ書き忘れていた…!! 単独ライブを飲み込んでなんとか公演と言うかたまりが見れました。
ぐっとくるネタも、笑えるネタも楽しかった。1本目とクイズのやつが結構好きだった。でも、「anna」の方が好きだな〜って気持ちもある。
あと、毎ネタごとにタイトルの後に流れる音楽のチョイスが絶妙で、選曲がぜつみょ〜と毎回なるので、生で見られるとそこがめちゃいいところかもしれない。
開場前にビラをじーっと見ていて、ビラの中に空気階段の2人がいることに気づいたのが開演前楽しかった。
辻次夕日郎『スノウボールアース』1巻
漫画。オススメされて読んだらめちゃよかった!!すっきなやつだった!
ロボットに乗った友達のできない救世主。とりあえず戦闘の才能があるというのと、ロボットと人間の友情もので、ズキュンとなってしまった圧倒的フェチ。早く2巻が読みたいので買う。
原作:宮川サトシ 作画:後藤慶介『ワンオペJOKER』1.2巻
漫画。友達に、ジョーカーが育児する漫画買ったよ!と言ったら、え?薄い本?って聞かれて笑った。ちゃんと監修にDC入ってた。まじでジョーカーが、たまにハーレークイーンの手を借りかながらワンオペ育児をする話で、赤子化したバットマンをあれこれ慌ただしくお世話するジョーカーがみれる。普通に育児あるある漫画として絶妙なのだと思う。育児中の人にオススメしてもらって、楽しく読んだ。一気に2巻分読んじゃった。
(この後後の友達は、はやみねかおるの怪盗クイーンシリーズのジョーカーだと思ってこの話を聞いていたことが判明する。そっちのジョーカーの子育てもエピソードとして明確にイメージできすぎて面白い)。
古井由吉『栖』
小説。『聖』の続き。
前半読みながら、なんか男の人の描いたものという感じがぐっと強くてあんまり好きな方ではないかもな〜と思いながらノロノロ読んでいたら、中盤からぐっと狂気の匂いが濃くなる。小さなアパートに住んでいる特有の、人の気配を思い出す(幼少の頃は人の関係性が濃いアパートに住んでいたので)。吸い込まれるような深まる狂気の流れに、流されていくことの怖さと、逃れられず絡め取られていく手足の心地になる。緊張感がすごい。めちゃくちゃすごい。
オカヤイヅミ『白木蓮はきれいに散らない』
漫画。よかったな〜。また好きなお姉さんができてしまった(勝手に作家をお姉さんと呼ぶやつ)、と思ったけれど、なんか、こういう女性の物語はたくさんあるのに、こういう男性の物語はあんまりないよな〜と思った。
不思議だなーと思う。
古井由吉『親』
小説。『栖』の終盤に向かって狂騒の度合いが強くなり、うっとするほど濃密な狂気の世界が押し寄せてどっと終わって、しん、とした感じの一人から始まるこの流れがすごい。『聖』を読んだ時はピンと来なかったけど、『聖』『栖』『親』の三部作全体で見るとかなり大作で、この大きな流れを、この長さで書けるってめっちゃすご……と思う。1冊に押し込むことも可能だろうと思う。
葬式のくだりがよかったな。あと、栖から親にかけて、静かにすくすくと育つ子の存在が支柱のようにあって、そこに戻って合流していくような感じがした。面白かったな。
(古井由吉にも子がいるのだよな、と勝手になんとなく思った)
これ読んでいる途中、私が愛読している人のnoteに、古井由吉の『栖』を読み直していて…という旨が書いてあって!わお!と思った。翌々日くらいにその人が大江健三郎の『芽むしり仔撃ち』面白かったと書いていたので、それも積んでるしせっかくだから読もう!って気持ちになった(結局着手してないけど)。
樹木希林『心底惚れた』
対談集。婦人公論に掲載されていた1976年頃のコーナー。異性対談と銘打たれているので、必ず男性がゲストで、女性とはどうなんです?って言うのを毎回樹木希林が聞いている。そうすると、男は浮気する前提で話が進んでいて時代だな〜〜と実感するけど、意外にも(当たり前ではあるけど)そういう前提でもみんなやってることとか言ってることはバラバラでバリエーションがあって結構嫌にならないし面白い。
あと、金原亭馬生が写真屋で働いていた時に、写真のフラッシュ(マグネシウムをぼっ!とやるやつ)で、目を閉じちゃった人の目を修正して開く作業をしていて、おめくらさんの目まで開けてしまったというはなしをしていて、ほんとスマホがある時代とは全く違ったことよ!!と思った。
いかりや長介がリオのカーニバルを実際に観にいってみたら涙が止まらなくなった話とか、東洋の魔女を育てた監督の山田重雄の話も面白かった。
若菜晃子『旅の断片』
紀行文。本屋でちらと見かけて、可愛らしい本だったのでしげしげと眺めて、金額を見てしばし悩んで、いっぺん図書館で借りて読んでみよう、ということにした。
最初は短い話が多いので、なにやらさらっとしているなぁ…とぼんやり思っていたが徐々に長くて深い話になってくるとその土地の空気みたいなものがふっと押し寄せてくる瞬間があって素敵だった。
メキシコに行った時の話を読みながら、マルケスが書く風景みたいだなと思っていたら、著者も友人に『百年の孤独』を勧められて読んでいた。偶然の符号。
全部読んでみてやっぱり、ロシアとメキシコは行ってみたいな、と思う。でも行けるのだろうか。
あと、後書き読んだらこれ2冊目だったらしくて、1冊目と3冊目を読まなきゃ、となった。
よかったので買うと思う。しっかりとした装丁で特別感のある見た目だけれど、紙が軽くて、ちょっと小さくて、旅を愛する人の本という感じがするのがいい。
読みながら、若林がカバーニャ要塞のエッセイで、夕方になるとみんな街中でおしゃべりしている、と書いていたのと、近藤聡乃が『ニューヨークで考え中』で、玄関前の階段に座ってぼーっとしている人の真似をしてみたと書いていた回を思い出して、それに雰囲気がどことなく似ている、と思いながら、そういう風にぼーっとしたいな、と思う。
古井由吉『山操賦』
小説。発表順としては、『親』の次がこれなのだけれど、全然文章の様子が違う。どことなく視点が引いているのと、時間の移ろいが不安定で目につく感じ。さっぱりしている。
死について思ったよりさらりと正面に立っているところがあって、なんか、晩年の方が横目で見てじりじりと分厚く死を扱っている感じがある。病や体の不自由を伴ってもっと現実的なものになったからか。
武田百合子『ことばの食卓』
エッセイ。食べ物のことが書いてあるのかな、と思ったらしばらくすると食べ物ではない話ばかりになって、子どもの頃の話だったはずなのが、なにやら作者に娘ができていて、あれぇ……となる。なんかフィクションみたいな膜がかかっているように感じるけど、時代の問題だろうか。
別段暗い話でも、卑猥な話でもないのに、翳りと性の香りが当たり前の顔をして鎮座している。不思議な感じ。こういうのって、現代の人間には書けなさそう、と思う。
仕事終わりに(ヘトヘト)、後ろから2番目の「上野の桜」を読んだら、湯浅正明のゆらゆらぶぉんぶぉん揺れるアニメーションで風景が再生されて、面白かった。
荒川洋治『詩とことば』
書籍。詩の批評って初めて読んだかもしれないな、と思う。やっぱり詩って読むとめちゃええんよなぁ……と思う。私は全然詩への造詣が深くない。
散文と詩とがあったときに、その差異はなんとなく掴んではいたけれど、詩は私にはまったく見通せなくて、自分で書けもしない自信があるので、その詩の中にあるものの片鱗を知った。
谷川雁の詩の定義かっこいい「この世界と数行のことばとが天秤にかけられてゆらゆらする可能性」。詩を書くのをやめた時の言葉は「私のなかにあった「瞬間の王」は死んだ」。これもかっこいい!!!
現代詩についての戒めの部分は、現代短歌への戒めでもあるな……と思って、短歌はここ数年流行っていると思うんだけど、詩の精神を持った短歌を書くのは難しいんだよな……と思った。
トークサバイバー
Netflix。前半、ちょっと違うタイプの笑いかも、と思ったけど、後半は好きなやつあって笑った。しょうもない話が好きだった。
全世界配信であるということが、頭の片隅にあるので、ノブが「長渕!!」と突っ込むたびに、これはどう伝わるのか、というのが変に私の中でおもろくなってしまって、ルポールにあまりにも頻出なので、オプラ・ウィンフリーとカーダシアン姉妹のことをガッツリ認識した経験を思い出した(スナッチゲームとかはよくわからなくてもまぁ面白い人は面白いんだけど)。
翌日、弟がドラフトコントの録画見直してて、『トークサバイバー』観たから?って聞いたら、別にそうではなくただ見返していた。
角田光代『世界は終わりそうにない』
エッセイ。
おせちを作ってくれていた母が亡くなってから、年末年始には餃子を食べることにしている、というのを読んでいいなーーと思う。しかし、私はおせち結構好きなので、悩ましいなと思った。でもお正月にこたつ入って、年末番組見ながら餃子包むの最高じゃないだろうか(友達と電話とかしてたら楽しそうだな)。
伊坂幸太郎『3652』
エッセイ。疲れているからたくさんエッセイを読んでいる。エッセイはそれ自体も読みやすいし、1つ1つが短くて切り上げやすいし、やー今日は家にプリンあるから楽しみだな、みたいな気持ちで、エッセイは読める。プリンみたいな気持ちで読む。
特に伊坂のエッセイということで、楽しみにしていた。とても面白いし、リラックスできる。読んでいる途中で本屋に行って、この本の中で話に上がった本たくさん買ってしまった(しまった、と言っても後悔をしているわけではない)。ついでに、これの文庫も買った(図書館で借りた単行本を読んでいた)。こういうのはえてして、文庫版に追加の文章が入っているので、文庫も読んだほうがいい。
映画の予告観て買っちゃった『グラスホッパー』と『マリアビートル』、『Axe』が久々に読む伊坂作品として待ち受けているので、とても楽しみになった。
しばらくぶりに、自分がいかに伊坂が好きかということを思い出して、びっくりしている。
ダヴィンチ2022年3月号
雑誌。美容室に行くと、そこのwifiで美容室契約のDマガジンが読めるので、いつもファッション誌にちらほら目を通した後、カラーリングとかの放置される時間に文字量の多いものが読みたくて『ダ・ヴィンチ』を読む。
ラジオ特集だった。よく聞いてるパーソナリティーがいっぱいいて、不思議な気分になった。
お笑いラジオスターライブ
配信で観た。どうしよっかなー観ようかなー、買ったなー、観ないとなーみたいな、仕事の忙しさにかまけて、うんうんしてたけど、星野源がANNでオードリーの漫才めちゃおもろかったのって言いながらいひいひしていて、うかうかしてるとこのまま視聴期間終わるわ!と一発気合い入れて観た。さいこー!
木村伊兵衛と画家たちの見たパリ色とりどり
目黒区美術館。かっこええなーーと思ってぐるっと見た。近所にあったらちょうどいい感じの美術館だったな。
写真集、同行者に押されて買っちゃった、というか買ってもらった(めちゃくちゃ遅刻をしたため、お詫びらしい)。犬が車の中でしゃん、としている写真がよかった。ポスター買えばよかったかもな、ってちょっと思っている。家に飾ってあったらだいぶ調子がいいだろうと思う。
劇団スポーツ『怖え劇』
演劇。友達が出ているのをきっかけに観に行った『ルースター』がめちゃ面白くて、それからずっと公演があるたびに観に行っている。すごく好きな劇団になった。
今回もすごく面白くて、元気が出た。
伊坂幸太郎『グラスホッパー』
小説。久々に伊坂の小説を読んだ。主人公の妻の雰囲気がなんとなく懐かしい。『モダン・タイムス』の記憶か……? エッセイにも妻の話がよく出てくるので、なんとなくリアリティを感じる。作品とは関係ない。
すごい、描写が良くて、実際の動きのテンポに合わせて文体が違うふうになるので、車に当たった人が怪我していく様子がスローモーションに見える様子や、ナイフ裁きのテンポの良さがよく見える(空間把握にちょい時間かかるけど)。『マリアビートル』は続編ながらトーンは全く違うらしいので楽しみ。
黒田夏子『組曲 わすれこうじ』
小説。先月途中までぼんやり読みだったので読書会に向けて、背筋を伸ばして読み直した。眠い時の目の滑り方がすごいが、きちんと読めばやはり見えてくる。
abさんごは分かれ道のあのときこうしておけば、というポイントだった気がするけれど、わすれこうじは、今を起点に何かを懐かしむように思い出すような感じがする。面白かった。
なんか最近古賀及子さんのnoteが毎日更新されていて嬉しい。読むのが楽しいので、noteの一番最初の記事を掘り返して、現在に向かって順繰りに読んでいる。
人にオススメしてもらった写真
岸本佐知子『ひみつのしつもん』
エッセイ。生活に直に触れている雰囲気よりはフィクショナルな膜が一枚かかっている感じのエッセイで、これはこれで軽やかで楽しい。ユーモアに満ちている。きっと現実で何かをするより内面の空間が広いのが常の人なんだろうなと思って好きになる。なんとなくわたしの中では桜庭一樹とかはそういう人のイメージが強い。翻訳者は小説家よりも文字に埋もれながら過ごす時間が長そうだよな、とかも思う。
ある節でザムザの虫の種類を、ムカデと書いていて、岸本さんの中ではムカデなんだ!!と驚く。
岸本さんが翻訳について書かれたものを読んでみたいな、と思った。
『メモリア』
映画。映像がよかった。
フィルマークスの感想読んでたら、アピチャッポンはアートもやってて、インスタレーションの経験があるから映画でも劇場空間を巻き込んでの空間設計がうまい、って書いている人がいて、たしかに……!と思った。
音へのこだわりはそれか〜と思う。
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