普痛
普通はそうじゃないと彼女は言った。
僕は普通という言葉が嫌いで
それを聞いて不機嫌になった。
そう嗜められて思うことは
普通とは一体何なのかという事だ。
そして、その普通というものが
本当に求められているのかという事だ。
何でもかんでも自分を出しては
生きていけないのもわかっている。
一度外れたレールはひしゃげてしまって
なかなか元に戻らないのもわかっている。
ひしゃげたレールで事故を起こして
痛みを伴って正気に戻るしかなくなるのだ。
普通じゃないと言った彼女は
普通に暮らしているのだろうか。
僕は彼女の言う普通になれたのだろうか。
あの頃の僕は個性を履き違えて
普通を嫌って
彼女を悩ませ
対話から逃げ
そして去るのをただ見送った。
今ならマトモに話し合える。
今ならと
あの頃に想いを馳せ
少し胸が痛むのだ。
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