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Prism



朝4時。



僕らは日の出を見に車で海へ向かう。



理由はない。



ただ誰かが言い出したからだ。



誰が言い始めたのかも、もうわからない。



だけど、自然と海へ向かう。



車内は他愛もない会話で盛り上がる。



脈絡もない理由もない。



でも突き動かされる。



それが青春であり、若さってやつだったように思う。




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若い頃の生活はさながら蜃気楼のようで



ただ、美しい景色を見せられているだけのようだった。



そこに有るようで、そこに無い日々。



目の前に見えている美しい恋愛も美しい未来もほとんどの人が触る事もなく、歳を取ってしまうものだ。



そうして、蜃気楼さえ見えなくなったら



先の見えない砂漠を歩くしかなくなる。



あの頃も現実は何もない砂漠だったのに



それが見えていなかっただけなのだろう。




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海に到着し、真冬の海から現れる朝日を確認した僕らは



寒すぎてすぐに引き返した。



何の為に来たのかもわからない。



結局、目的地なんてどこでも良かった。



そして、現実なんてどうでも良かった。









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