管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力(その8)
今回は、評価の場面におけるコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
みなさんは、「評価」は何のために行うものだと思いますか?
もちろん、次年度の昇格を決めるため、給与を決めるため、賞与を決めるためということもあると思いますが、弊社では「育成のため」と考えています。
普段の仕事における能力発揮、取り組み姿勢、成果などを本人にフィードバックし、その後の育成につなげることが評価の最大の目的で、昇格・給与・賞与はその結果としてついてくるものだと考えています。
なので、評価によって点数を決めることがゴールではなく、その結果を本人にしっかりとフィードバックして、その後の業務への取り組みや能力アップへの動機づけにつなげていくことが管理職・リーダーの重要な役割となります。
フィードバック面談のポイントをいくつか紹介したいと思います。
まず、当たり前のことですが、落ち着いてじっくり話せる場の確保が重要です。騒々しい場所や周りに人がたくさんいるような環境ではやりにくいですよね。
次に、フィードバック面談を行うときには事前に日時と場所を通告しておくことが望ましいと考えます。急に呼ばれていきなり評価の結果を伝えられると、相手の心の準備ができていないので、スムースに受け入れられない可能性があります。できれば1日前、少なくとも半日前には予告をしておくとよいでしょう。
面談を始めるときには、面談の目的をしっかり説明します。「これから評価の結果を伝えます」ではなく、「これから評価の結果を伝えるとともに、今後の業務の改善や、あなた自身の能力向上について話し合いましょう」と、育成が目的であることを伝えたほうが、相手も前向きに臨むことができます。
フィードバックでは、いきなり結果を伝えるのではなく、まずは本人に自分自身の業務について話をさせましょう。
評価対象期間の業務遂行内容について、自分自身で「できた」「よかった」と思うこと、「こうすればもっとよかった」「残念ながらできなかった」と思うことを話してもらいます。
この時は、本稿の「その2」でお伝えした傾聴のスキルと心構えを活用して、相手の話をしっかりと聞いてください。
その上で、会社としての評価と今後の期待を伝えます。
面談が終わるときに、本人が「これからも頑張ろう」「これからは頑張ろう」という気持ちで終わるようにすることが大切です。
ときどき、評価のフィードバック面談がうまくできない、苦手だという管理職・リーダーに出会います。このような人の多くに共通しているのは、部下とじっくり話すのがフィードバック面談の時だけで、日常のコミュニケーションが足りていないことです。
普段からマメにフィードバックやアドバイスを行い、コミュニケーションの土壌をしっかり作っておいた上で、それを総括する意味でのフィードバックを行うようにすることをお勧めします。
管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力、
その8は「育成を意図して評価のフィードバックを行う」です。
いかがでしたでしょうか?
次回は「SL理論」について書いてみたいと思います。
株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/
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