シェア
嘆き全集 | Franz K Endo
2022年7月6日 22:04
紫紺色の鬱汁をスプーンですくい、それを一滴づつ緩慢に、しかし狂いもなく正確に垂らす。音もなく湧き出るその泉が枯渇することはない。私はそれを毎日繰り返す。ある日、私は本能がそうするようにあたりを見回す。当たり前のように、皆はそこからいなくなってしまったことに気づく。刹那、湧き出る紫紺色は消えてなくなり、かつての色を失った古びた花崗岩が姿をあらわす。私は、何千年にもわたる内省の末、何も疑問に思うこ
2023年2月1日 14:46
私は荒々しい色を絢爛と浴びせる白練の砂浜の上に立っている。心地よい海風が頬を撫で、私に僅かな微笑みを授けてくれる。遠くの湾曲した砂浜に見える、一切の汚れがない月白に輝く灯台の元へ向かう。しばらく歩くと、屹立するその灯台と白練色の砂浜をわずかに区切る、大きな岩に腰掛けた人影が映る。私がかつて何処かで交友を結んだ、愛する友人達の姿だ。静かに談笑をしながら明鏡止水の大海を眺める仲間の元へゆく。
2022年11月13日 00:19
Do I dare leave before you give me a smile, you look back upon this?So I lie awake to dream of you and Isailing through lifeBut you and I are to drift awayFor dust you are, unto dust you shall
2023年2月11日 16:45
錆びれた手間包丁を強く握りしめている。目の前に積まれた亡骸を前に、傍ら寂しくすすり泣くばかりだ。言葉にならない寂寞な思いを叫び、大切な存在を慈悲もなく奪った天を責める。しかしまだ私は、自分の犯した徒疎かな罪を知らない。
2022年5月2日 18:55
自我を駅の便所に置いてきてしまったような気がする。私は今、自分が何者なのか分からない。私の中の私が何処かへ出掛けたまま行方がわからなくなり、取り残された私は、私が不在故にあらゆる判断がくだせなくなる。身体の細胞の全てが、時間をかけて入れ替わる。精神もどこかで交換されたのか、自分が何者か完全に分からなくなった。