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超短編集

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痴呆

紫紺色の鬱汁をスプーンですくい、それを一滴づつ緩慢に、しかし狂いもなく正確に垂らす。音もなく湧き出るその泉が枯渇することはない。私はそれを毎日繰り返す。

ある日、私は本能がそうするようにあたりを見回す。当たり前のように、皆はそこからいなくなってしまったことに気づく。刹那、湧き出る紫紺色は消えてなくなり、かつての色を失った古びた花崗岩が姿をあらわす。私は、何千年にもわたる内省の末、何も疑問に思うこ

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哀愁の楽園

哀愁の楽園

私は荒々しい色を絢爛と浴びせる白練の砂浜の上に立っている。心地よい海風が頬を撫で、私に僅かな微笑みを授けてくれる。

遠くの湾曲した砂浜に見える、一切の汚れがない月白に輝く灯台の元へ向かう。しばらく歩くと、屹立するその灯台と白練色の砂浜をわずかに区切る、大きな岩に腰掛けた人影が映る。私がかつて何処かで交友を結んだ、愛する友人達の姿だ。

静かに談笑をしながら明鏡止水の大海を眺める仲間の元へゆく。

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Beseech

Beseech

Do I dare leave before you give me a smile,
you look back upon this?

So I lie awake to dream of you and I
sailing through life

But you and I are to drift away

For dust you are, unto dust you shall

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加害

錆びれた手間包丁を強く握りしめている。

目の前に積まれた亡骸を前に、傍ら寂しくすすり泣くばかりだ。

言葉にならない寂寞な思いを叫び、大切な存在を慈悲もなく奪った天を責める。

しかしまだ私は、自分の犯した徒疎かな罪を知らない。

自我を駅の便所に置いてきてしまったような気がする。

私は今、自分が何者なのか分からない。

私の中の私が何処かへ出掛けたまま行方がわからなくなり、取り残された私は、私が不在故にあらゆる判断がくだせなくなる。

身体の細胞の全てが、時間をかけて入れ替わる。精神もどこかで交換されたのか、自分が何者か完全に分からなくなった。