合同会社ザーズラックを退職しました
群馬大学の福井(@fk_mb)です。
3月27日をもって、2017年の設立以来社長を務めた合同会社ザーズラックを退職しました。4月からは故郷の信州で金融職員として働くことになります。
就職前ギリギリの退任でしたが、なんとか会社を無事後進に引き継ぐことができ、大変嬉しく思います。
思えば、高校卒業直前の2017年3月17日、長野地方法務局に「合同会社ザーズラック」の法人登記申請書を提出してから丸四年が経ったことになります。お客様・お取引先をはじめとしたステークホルダーの方々にはご迷惑をおかけしての中でしたが、それでもお支えいただき、これまで大変貴重な経験をさせていただくことができました。この場にてご厚情に心より御礼申し上げます。
この機会に、この会社とともに過ごしてきた大学四年間のことを振り返ってみれたらと思います。
ザーズラックとともに歩んだ四年間
若いうちに会社をつくるのは少年期からの夢のひとつでした。とはいえ、夢は具体性がないからこそ夢なのであって、それを実行可能な目標にするには、計画を加えなければなりません。そう考えると、当時の私はいってみれば夢を夢のまま実現させてしまったことになります。
準備という準備はわずか数枚の事業計画書だけ。それでもザーズラックを建てたのは、大学生活4年間のなかで自分に何ができるのか知りたかったからだと思います。
たとえば、弓道部で弓を引き、冊子編集委員会のSIJでフリーペーパーを作ることは入学前でもある程度想像できましたし、事実その予想通り多くの仲間に囲まれて楽しい学生生活を過ごすことができたと思います。
しかし、ゼロから立ち上げたザーズラックには、想像しうるビジョンがありませんでした。もしかしたら大成功して人生が変わるかもしれませんでしたし、逆に社会からの信頼を完全に失うかもしれませんでしたし、何一つできないまま法人住民税をドブに捨てるだけの存在になるかもしれませんでした。いずれにせよ、想像もできないような、社名の通りの「ザーズラック」──奇跡が生まれる可能性を感じずにはいられませんでした。
こうしてザーズラックは私の挑戦の舞台となりました。
初年度はとにかく試行錯誤の連続。文字通り何もわからないうえ、何もできないのだから当然です。結局何をしたんだっけなあ。特に覚えてはいないけど初期の資本金がまだあったので納税にも不自由なく、のらりくらりしていた感じでした。
二年目になってようやく自社サービスといえるプロダクト「irai.me」を出しました。
仕組みは人気サービスとして知られる「質問箱」や「マシュマロ」と基本的には同じで、アプローチのしかたを真逆にしただけ。技術力もデザインも劣るなかでしたが、よくやったものだと振り返って思います。
自社ではじめてのサービスだっただけあって、公開後自分はすぐに燃えつきました。公開後にグロースさせる戦略も何も考えられないまま、放心状態にも似た満足感に恍惚としていたのでしょう。
そんなわけだから当然伸びるはずがありません。ほどなくしてirai.meは使えなくなりました。一部手を加えていた基幹のシステムが自動でアップデートされ、自分でいじった部分が消えたためです。ちょっとやそっとで直せるものではなく、私はサービスを休止することに決めました。
非公開の状態でWeb上に放置(ご利用者様のSNS情報等は安全に隔離・保護されています)されたirai.meには、スパマー達が非正規の手段で会員登録をし続けており、先日ついに会員数1万人を突破してしまいました。
つくづくひどいシステム。当然収益は出ませんでした。
三年目は自社サービスを諦めきれず、新事業「Loom.re」の準備をしていた一方、Web・デザインの製作の受託がメインになっていきました。この間お客様として支えていただいた関係の方々には感謝しかありません。
そして四年目。この年度ほど自分と会社が一体になって動いた年はありません。
前年から引き続き製作のお仕事をいただくことができたほか、コロナ禍での給付金もあり、安定して会社を動かしていくことができました。
そしてなにより、映画『突然失礼致します!』の宣伝を一手に引き受け、全国規模での広報に取り組ませていただけたことは強く印象に残っています。
いろいろと終わっていない業務もあるなか、長々と記事を書いている時間もないので、名残はつきませんが過去を振り返るのは簡潔にとどめておきます。またゆっくり振り返る時間を設けたいですね……。
役員が変わります
3月27日からは新役員2名による新体制に移行します。
社長は大学時代から付き合いのある、『突然失礼致します!』で総監督・製作総指揮を務めた映画監督の熊谷宏彰。最高経営責任者には同作で企画原案・映像統括を務めた映像界のプロ・細村悟人さんに就任いただくこととなりました!
熊谷には就活、細村さんには本業のあるなか、悩まれた末に就任を承諾いただけ本当に嬉しく思います。このチームが、これからの一年でどんな奇跡を生み出してくれるか、とても期待しています。
新任役員への心ばかりのはなむけに、簡単ではありますがコーポレートサイトをリニューアルしました。会社サイトはシンプルに、案件サイトはしっかり作るのがポリシーなので、以前作ったサービスサイトを流用したかたちですが、少なくとも前よりは綺麗になったと思います(笑)
役員交代の日、熊谷から「相談役ファウンダー」に任命してもらいました。
これからは一歩退いたところからこの新しいチームを見守っていければと考えています。
おわりに
4月からの社会人生活は、これまでとは比べ物にならないほど厳しく、難しいものになると思います。一年前には想像もしていなかった環境での仕事になり、知識も同期と比べて不足しているなか、不安だらけの出発ですが、一生懸命学び、一日でも早く立派な職員として、やりがいをもって働ける戦力になれるよう精進していきたいと考えています。
4年間さまざまな面で関わってきたICTの領域とは異なる仕事に就きますが、引き続き動向をキャッチアップしながらIT分野も学びつつ、若い起業家の方々によるスタートアップ・ベンチャーの成功と発展を陰ながら応援していきます。
親しく交流させていただいた先輩/同輩経営者のみなさまと、すべてのステークホルダーのみなさま、『突然失礼致します!』の公開に携わられたすべての学生たちに心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました!
ザーズラックでの4年間、私は情報と通信の力を信じ、人と人をつなぐコミュニケーションのあり方を模索し続けてきました。これからのザーズラックには、新たに「映像」という強力なコミュニケーションツールが武器として加わります。
自分の得意分野については、就職先の迷惑・規則違反にならない範囲で個人的なアドバイスをしつつ、新役員のかれらが切り開く新たなザーズラックの未来に期待していきたいと思います。
関係の皆様方におかれましては、何卒倍旧のご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
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