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鎌倉市に覚悟はあるのか!?~市の予算への意見全文~

鎌倉で市議会議員をやっています、藤本あさこです。
政治家とは、命を削る仕事だなぁとつくづく。
今年も恒例の、市の予算にケチをつける、もとい、意見を申し述べました。

インクルーシブな社会を目指す覚悟はあるか?

インクルーシブな社会を実現する、口でいうのは簡単なんですがこれには旧来的な価値観や慣例との闘いが含まれます。
その闘いにきちんと挑むことが求められます。
鎌倉市にもこれは突きつけられている課題なわけです。
みんなとうまくやりたいな~というのはわかりますが、そうやって旧来的な姿勢を変えられないのであればインクルーシブな社会は実現しないわけです。

マジョリティ目線で政策を作ってないか?

以下、議場で長々と述べた意見全文を掲載します。
この意見を持って市はまた政策策定していっていただくわけです。

2023年度予算賛成討論 全文

議案第88号令和5年度鎌倉市一般会計予算外諸議案に対し、鎌倉アップデートチャレンジを代表し、賛成の立場から討論に参加いたします。

今回の予算もまた新規事業が多く、新しい取り組みに積極的な鎌倉市のチャレンジングな姿勢が表れておりました。
中でもフリースクールにかかる助成制度は画期的なものであり、これまでの教育論を新しく捉え直す機会にもなると考えます。
また1ヶ月児検診の無償化やかまくらっこ発達支援サポーターの待遇改善など、こどもや子育てする方に寄り添った目線での施策と感じます。これらにより助かる人方は少なくないでしょう。
やさしいハザードマップ作成事業などは、既存事業を新たな視点で見直すものであり、常にアップデートの視点を持って事業に​取り組まれている表れだと感じました。
インクルーシブ公園の整備事業やフォルケホイスコーレ事業も、共生社会の実現のために継続された取り組みを期待したいです。

一方で、まだまだマジョリティ視点での政策立案から抜け出せていないのではないか、とも感じます。
経済的余裕がある人、時間に融通がきく人、健康な人、字が読める人、等々そういった方々だけのための社会を創らないで欲しいのです。
それ以外の方たちが何か申請する必要があったり、証明する必要があったり、健常な人のできるラインに合わせられるような努力を求められているのが現状です。
私は普通と違うのです、という申請とその証明を出させることは、マジョリティの目線で設計された社会であり、インクルーシブとは言い難いと思います。
私が初めての一般質問で申しました、強者が弱者に付与するような、条件付きの施策は真のインクルーシブとは言えません

公共政策の立案に必要なものは高度な知識よりもエンパシーであると感じます。
エンパシーとは、単なる共感であるシンパシーとは異なり、相手の立場に立って考えることです。共感して「大変だよね」と言った先にはやはり「でも頑張ろうね」が続いてしまう。これではやはり全ての人をインクルーシブする社会には至らないのです。

教育の現場においては、今まさに不登校の児童生徒が教育を受けられていないこと、発達の支援が必要な児童生徒がそれを受けられていないこと、さまざま多くの不公平が存在することを忘れないでください。
まずみなさんがすべきことは、今困っている児童生徒に公平に教育を提供することです。
市の不登校対策はULTLAプログラムと、現在計画中の不登校特例校だと思いますが、学校現場での不登校対応はむしろ後退​しているのではないでしょうか。​
不登校になって学校に来れない、それでも頑張って来てみた、という児童生徒もいるでしょう。その方の気持ちを想像してください。
はい、学校来られたね、よかったね、それではこれからは他の子と同じようにしっかり公平にね、という対応は、果たして公平なのでしょうか。
やはりそこには「学校に来ている児童生徒」をメインにおいた制度設計になっているのです。
それまでに受けられなかった学びの機会や、同年代のこどもとの交流の機会を損ねている、圧倒的な不公平がそこにはあります
教育目標​の達成のためというのであれば、まずその不公平状態の是正に目を向けていただきたいです。
コロナが収束してオンライン授業の整備は止まっているとも聞きます。
学校に来られている児童生徒のためだけの教育ではなく、すべての子どもに目を向けていただきたいです。

今回、ついにこども会館が全て廃止されることで、かまくらっこだけではカバーできてない、こどもや青少年の居場所が失われていることは事実です。こどものための施策を検討しているということですが、委員会でも申し上げましたが、すべきことは明らかですので、速やかに着手していただきたいです。
公園遊具の設置についてもそうですが、こどもたちがこどもでいる時間は短いです。大人の目線で、つまりマジョリティの目線での政策を進めずに、こどもも同じ1人の人間である、という考えを持っていただきたいです。

次に、

鎌倉文学館は令和5年度から令和8年度までの4年間休館し、リニューアルする計画でありますが、見学者の憩いの場としての喫茶店等がなく、今ひとつ利用勝手に不便が感じられます。旧前田邸の維持管理など含めて、一体的な管理が求められています。今後は見学者の拡大の観点からも喫茶店など設置を求めます。

大船駅周辺整備では大東橋周辺での民間施設建て替え拡張計画が進んでおり、自転車等駐輪場の建替検討など動きが具体化しているが、大船仲通とブランズタワ-の直結問題が解決していない。栄区側の「大船駅北第二地区第一種市街地再開発事業が完了し、再開発組合が近々解散することになりました。それを考えると直結問題解決ではタイミングを
失うことになり、憂慮と悲しみ、深い嘆きを感じざるをえません。開発に関するタイミングの悪さを招いたのはひとえに鎌倉市側にあります。反省の上にも反省が必要な事態を自らが招き入れました。今後は、正々堂々と整理してください。

共生社会の実現を目指す鎌倉市においては是非「共感の政策」にとどまることなく、「想像の政策」をうっていっていただきたいと思います。
そして、インクルーシブな社会を実現するということは、これまでとは異なる部分もある、新しい社会を創ることです。
それにあたっては「これまでのやり方と違う」「今まではそうじゃなかった」「それだとおかしなことになってしまうのではないか」などさまざまな声が上がることでしょう。
その時に鎌倉市が本当に「インクルーシブな社会」を実現する覚悟があるのであれば、そういった慣例を重んじるような、あるいは変化を恐れるような言葉や考え方に対してしっかりと向き合って説明していくことが必要です。そういったものに「やっぱりそうですよね、やめますね」と、慣例に習うのであれば、新しい社会なんて生み出せないのです。
その覚悟が鎌倉市にはあるのでしょうか。

なぜ鎌倉市がインクルーシブな社会を目指すのか。そのために我々市民はどのように行動変容していくべきなのか、しっかりと未来絵図を示し、それに向かって市民全体をリードする姿勢を見せるべきだと考えます。スクラップアンドビルドをしようという話ではありません、アップデートをしましょうという話です。

最後に、国内でもいまだにインクルーシブに理解のない発言や議論が起きています。市はどのように捉えているのでしょうか。そういった社会を変革するために、鎌倉市こそが率先して声を上げるべきではないでしょうか。

本当に弱者の生きやすい環境が整備されたらまちは変わります。
共生社会の実現を目指す鎌倉市として、その現実的な実装に大きく踏み込んだアップデートにチャレンジ​して​いただくことを期待して、討論を終わります。


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