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眠れぬ夜に歓喜の記憶をースペイン戦備忘録ー

スペイン戦の後、AM5時前。
祝勝会を終えて、宿に帰ってきた。

明日11時には次の宿に行かなければならない。
まだスーツケースは開きっぱなし。
クローゼットには洋服が収納されている。
ふんわり眠気が襲ってきたけど、なんとなくこの気持ちを書いておきたくてキーボードを叩く。

……と書いて、書き上げて寝ようと思ったけど、流石に無理だった。
頭がぐらんぐらん揺れるくらいの強烈な眠気が襲ってきたので、ベッドへ入る。
興奮して眠れないと思ったのは勘違いだ。やっぱり身体は疲れていた。

谷口選手の笑顔、最高か!!!!!!!

■予選リーグ全てが裏切りJAPAN

ドイツに勝った時は涙が出てきた。
完全に浮き足だっていたと思う。
まだ、グループリーグの1試合が終わっただけなのに、決勝トーナメントに駒を進めたような気になった。

私は元々決勝トーナメント1回戦までいるつもりだったので、特に再検討する必要はなかったが、この結果を受けて2回目の渡航、滞在延長を検討し始めた友人がいたのを覚えている。

ドーハの悲劇ならぬ、ドーハの歓喜だった瞬間だ。
これ以上の幸せはやってこないと思ったし、これから落ち込むことがあるなんて思いもしなかった。

そこから数日後、私たちに暗雲が立ち込めた。
W杯開催前に唯一勝ち点が見込めそうだと思われていたコスタリカ相手に負けたからだ。実際はドイツに勝ったので結果は全く違う結果になったけど。

もしかしたら決勝トーナメントに行けないかもしれない。
自力で行くにはスペインに勝つしかないし、引き分けだと他力本願だ。
かつて無敵艦隊と言われたスペイン。
この日やっていたスペインvsドイツをテレビで見ていたが、インテンシティの高さにW杯もしくは EUROの決勝なんじゃないかと思ってしまった。

この相手に勝たなければならない。
決勝トーナメント別のチームを観ることになったら嫌だ。
ドーハのぬか喜び。そう言われてしっくりきていた。

今日も先制された瞬間はあまりにも呆気なかったので、「ああ、またか」と思ってしまった。でも、ドーハの地では違う。「もしかしたらやれるかも」と思わせる何かがあった。

だからポゼッションがどんなに支配されようとも、シュートまでなかなか繋がらなくても、なんとかしてくれるんじゃないか。

コスタリカ戦ではその願いは届かなかったけど相手はドイツと同じヨーロッパ勢。そして、共にW杯優勝経験国。ジャイアントキリングという言葉があるようにサッカーは必ずしも強いチームが勝つわけではないのがサッカーの醍醐味だ。

ゴール後の堂安選手


堂安選手のゴールが決まった時は、涙は出てこなかった。
嬉しいとか悲しいとかじゃなくてそれを超逸した気持ちだ。
森保監督の采配の当たりっぷりたるや。
コスタリカ戦なぜあんなに苦労したんだろう。
帰ってゆっくり映像を見れることがあれば見てみたい。

堂安選手のゴールの時点でコスタリカ戦で落胆した気持ちはどこかへ行ってしまっていた。
引き分けなら決勝トーナメントの可能性はある。
スタジアムに逐一流れる順位表の表示がどきどき感を高めていた。
コスタリカがドイツに対してリードをしていた時、スペインが3位に転落する瞬間があってスペインの攻撃のギアが上がる。
集中!とっくに集中している選手たちに向かって叫んでしまう。

裏のカードに動きがある度に表示される画面

■ありがとうVAR

正直な話今大会アディショナルタイムが概ね5分以上あり、VARやりすぎなんじゃないの?と思っていた。

ノーゴール扱いでスペインのGKが普通にマイボールで再開しようとしていたところをVARでチェック。
この表示がでた瞬間に歓喜に沸いた。

手のひらを返す。VARありがとう。

田中碧選手のゴールはVARがなかったら認められていなかった。
ちょうど20年前。日韓大会の時のことだ。韓国vsスペインのことを思い出す。
スペイン側の視点からしたら、誤審に泣いた形になった。
韓国からしても後味が悪いものになったかもしれない。
今回は違う。
テクノロジーの力で日本のゴールは認められた。
疑惑のゴールではない。
後味も全く悪くないゴールだ。

この日ばかりはVARに全力でお礼を言いたかった。

■ドーハの奇跡ではなくドーハの軌跡

一夜明けてサポーター仲間と話をしていた時のこと。「ドイツ戦がドーハの奇跡だったら、スペイン戦はなんだろうな」という話になった。

これまでの道、これからの道を示す「ドーハの軌跡」っていうのがピッタリじゃないか。そんなことを話した。

奇跡はそう簡単に起こらない。
2回起こったドイツ・スペインからの勝利、グループリーグ1位突破は奇跡ではないのだ。

ウォーターファイト@カリファスタジアム

このドーハの軌跡を経て、ROUND16へ駒を進めた日本代表。
私もその軌跡の目撃者となった。
日本代表がまだ足を踏み入れたことのない、W杯ベスト8の世界。
新しい旅路を共に歩みたい。
頑張れ!日本!!

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