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好きなことを職業にしよう

 1.あらすじ

 YouTuberが2018~2019にかけて爆発的に伸び、やや落ち着き気味になり始めたが、それでもいまや「将来なりたい職業」ランキング(2019,日本FP協会)では小学生男子の6位となるほどの子供たちの憧れる職業となっている。YouTuberといえば2014だが、「好きなことで、生きていく」と銘打って流したCMを覚えがある方もいるだろう。

(「好きなことで、生きていく-HIKAKIN-」https://m.youtube.com/watch?v=PKcsiiaiDUQ)


 今の時代、「好きなことで、生きていく」精神で仕事を選択できるそういう時代だと考えられる。今回は「好きなことで、生きていく」この仕事選択をおすすめするというそういう話。

 2.「好き」の力

 まず、みなさんは何か物事を好きになったことがあるだろうか。こう問いかけると多くの方が何かはあると考えるだろう。では、好きになったものに対して真剣に向き合ったことがあるだろうか。この質問に即答で「ある」と答えられる人は多くないだろう。

 そもそも「真剣に向き合う」というのがどういうものを指しているのかだが、「より深く知ろうとする」これが私が意図する意味に近い。簡単な例を出せば好きな食べ物がハンバーグであるとする。そのとき、ハンバーグについて「より深く知ろうとする」行為をしたことがあるだろうか、というものである。具体的には ハンバーグの作り方という基本的なものから、そもそもハンバーグというものはどういった経緯でできたレシピなのかというような歴史を考えたり、ハンバーグをより美味しく食べるにはどういった付け合わせがあるとよいのかというような科学の面からの考察を考えたりという不必要ではないかと思われるようなことまで際限のない学習をした、しようとしたことがあるだろうか、という行為である。

 他者から見れば「そのようなことを知ってどうするの?」「知らなくても生きていける」とまで言われそうな学習は、自分の好きという行為なら自発的に生まれても何一つ不自然でなく、現に被質問者は「好きだから」と答えてしまえば、質問者を黙らせることができそうなものである。

 このように「好き」という感情にはその対象物についての知識というものを深く知ろうとできる知識欲が湧き出る、力のある感情であると言える。

 では、今度は深い知識が求められる場面を考えよう。前述のハンバーグの例を用いると、ハンバーグの歴史やハンバーグの良い付け合わせの知識など特殊なクイズという形を除けば料理人や栄養師といった職業に就いていれば求められる可能性があるだろう。また、もしかすると、料理人や栄養士になる過程で勉強することになる可能性もあるだろう。このとき、ハンバーグのことが好きで既に学習していたなら、新たにインプットすべきことが減ることになるのである。

 このように、好きなことの分野というものは既にその分野の職業につける素質をもつといえるだろう。

 3.職業とは

 ここでふと立ち止まって、職業というものについて考えてみよう。職業とは「日常従事する業務。生計を立てるための仕事。(広辞苑)」である。ほとんどの場合、後者の生計をたてるための仕事であるとおもう。つまり、お金を稼ぐためであり、できるならば多くのお金を稼ぎたいと思い働く人も多いだろう。

 では、お金はどのようにしたら上手く稼げるのだろうか。

 その答えはお金ができる前、物々交換によって売買契約に近いものが行われていたことにある。子供の頃に友達とカードゲームをしていたことがある人は、友達とのカード交換を思い出してもらうとより想像しやすいだろう。物々交換というのは借金取りのような一方的な契約ではなく必ずWIN-WINになれる契約であったはずであり、どうしてもほしい場合は、1点と複数点を交換することもあったはずである。これをお金に置き換えると、お金を支払う代わりに物やサービスを得て、売り手はお金を得られる、買い手は物やサービスを得られるというWIN-WINの契約であると言える。普段意識することは少なくとも当たり前に感じられることではないだろうか。

 ここでサービスを買うことに注目したい。物を買う場合、お金の代わりに物が手元に残りそれを活用することがお金の対価だろう。一方でサービスを買う場合、手元には何も残らない。サービスというひとときの効用や満足がお金の対価となる。少し回りくどくなったが、つまりサービスを買うときの買い手のWINは効能や満足感といった曖昧なものであり、自分の感情を変化させることにお金を払っているのである。

 ここに稼ぐことの精神があるように思われる。人を満足させること。これが稼ぐということなのであろう。この精神は物を売る場合にも重要となりうる。物の販売員は物を売るという機械的な行為でも、客側は物を得ているため、WIN-WINな契約が成立しうる。しかしここに満足させようという精神があれば、物の価値に上乗せしてサービスを受けていることになり、物以上の満足を与えられる。その物がどこでも買えるものであるならなおさら「これを買うならあの店は気持ちが良く買い物できたから」という発想になり、店のリピーターとなってもらえる可能性が増す。逆にいくら良いものを作っても、販売員がマイナスの印象を与えてしまっては物以下の満足にもなりうるため、客は離れてしまうだろう。

 このように職業というものは直接的に感じられなくとも客を満足させることができる仕事であるといえる。

 4.「好き」を職業に

 さて、長くなったが本題に移ろう。現代では、仕事はあくまで仕事であり、労働時間以上は、強いられない限りはせず、休日は仕事のことを忘れたいと思う人もいるだろう。一方で2で書いたように「好き」という感情は力をもつ感情であり、自然と行動できる感情である。つまり、職業を好きな分野にすれば、ワーカホリックと他人から思われても仕方がないような人間に自ずとなれるのである。ワーカホリックという言葉を使えばネガティブなイメージをもってしまうが、本人からすれば苦に思う人も少なくない仕事を楽しくやれるのである。この効果は絶大なはずだ。楽しい仕事をすれば相手側は満足感を得られる可能性が高くなる。好循環である。

 ここまで散々言ってきてだが、好きなものといっても分野自体が好きでもなければ、その一点だけでビジネスになるとは思わない。そういった一点集中の重箱の隅をつつくビジネスを思いつけばよいが、そうはならないことばかりで、いくら好きなものから入っても嫌いなものも出てくるだろう。好きが嫌いに変わるのはそういったタイミングであるはずだ。そこで目を背けなければ好循環に乗れる。

 5.「好き」と「得意」の違い

 このように好きを職業にするメリットがあることは伝わっただろう。ここでこのような疑問が浮かぶ。「好きなことを職業にできれば良いけど、実際好きなことが得意なことではないから、得意じゃないことを職業にするのは難しい。」と。

 この「好き」と「得意」の違いについて、学生時代、好きな教科、得意な教科というのは違いがあったということを考えると分かりやすいだろう。(同じ人も少なからずいるだろうが、筆者の経験上は違う方が多かった。) 私自身も、中学時代は国語が好きで数学が得意であった。ただ、よくよく考えてみると数学は中学で好きではなくなっただけであり、小学の頃は好きな教科であったのである。つまり、元々好きから得意にすることができていたが、好きではなくなったという状態の変化が考えられるのである。

 つまり、知識というのは元々どれも0であり、好きになればその成長力がn倍となり、学習を継続することで好きな分野は他よりn倍のパラメータとなる。ある一定ラインを越えればそれは得意な分野へと変化し、好きと得意が一致することになるのである。一方でその一定ラインは環境に依存するため、よりハイレベルになるほどもちろんラインが高くなるので、得意でなくなることもあるだろう。しかし学習がパラメータの上昇に起因するので、学習することでまた変化しうるのである。

 よって、最も大切なことは学習を継続させることであり、学習を継続させることが職業にできる域に自分の能力をあげることなのである。

 6.まとめ

 さて、ここでapple社の創設者スティーブ・ジョブズの言葉を送ろう。

I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You’ve got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers.
 
- Steve Jobs (スティーブ・ジョブズ) -
 
私は、本当に好きな物事しか続けられないと確信している。何が好きなのかを探しなさい。あなたの仕事にも、恋人にも。

 スティーブ・ジョブズは結局、好きなものを職業にすべきだと言っているのだが、さらに継続できるものは好きなものだけだと言っている。私はそうは思わない。好きなものしか継続できないなら、変わらずずっと働き続けている人たちは皆、仕事が好きなのかということになる。

 しかし、もしかするとこれは日本人的精神もあるのかもしれない。日本人は協調することをかなり重視すると私は考えているそのため、好きではなくとも他者を考えて、継続させることができるのかもしれない。今後記事を書くかもしれないが、目標達成のコツとなる仲間作りに通ずる精神だろう。

 最後に、この記事を読んで自分がどう思うかじっくり考えてほしい。自分と同じ意見だと言ってくれる人もいれば、一ミリも共感できない人もいるだろう。しかし、改めて自分の職業について考えることだけはあなたのためになることは間違いないと思う。これから就職する人たちにも、参考になればと思う。

良ければサポート書く題材にもなりそうな本の購入費に当てたいと思います