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【寿司常】 鯖寿司とバッテラの違いって何?知ってるようで知らなかった!元祖バッテラのお店訪問

京都生まれの私は鯖寿司というと「いづう」さんなどを思い浮かべます。

大阪では「バッテラ」と呼ばれる鯖寿司があると昔から聞いたことはあったけれど食べたことはなかったのです。なので、バッテラがどんなものかはっきりと知らなかったのです。

今回、元祖バッテラを今に伝える「寿司常」さんを訪れました。大阪天満宮のすぐそばで、わかりやすいロケーションです。はたして謎は解明できるのでしょうか?

お店に入るとカウンターに通されました。寿司常4代目当主の方とアシスタントさんの二人体制です。ランチで11時に入店したので、まだ他の方はいません。

柱に「バッテラの由来」の説明書きがありました。読んでみると概略がわかりました。初代の中恒吉氏が明治24年にこの寿司常を創業。

バッテラの由来が張り付けてある

京都の鯖寿司が布巾や簀子で型を作るのに対し、バッテラは木の型で押して作ります。小舟の形の木型を使ったことからポルトガル語で小舟を意味する「バッテーラ」と名付けられたのです。

かつてはコノシロ(コハダのような魚)を使っていたのが、もっと安価な鯖を使うようになったそうです。つまりバッテラは押し寿司というところが京都の鯖寿司と根本的に違うのです。

そもそも寿司の元祖は関西です。東京湾で採れる豊富な魚介を利用した江戸前寿司に対し、関西ではサンマ・アジ・サバといった定番の大衆魚を発酵させたり酢で〆たりして、木型で押して成形する押し寿司でした。それが後に「箱寿司」や「巻き寿司」「バッテラ」「棒寿司」となり、総称して大阪寿司と呼ばれるようになったのです。


大阪寿司はにぎりと違ってお弁当としてお土産用にも持ち帰るものが多く、仕込みに数日かかることも違う点だそうです。

5年半ほど前に復活を遂げた寿司常さん

バッテラを作り続けてきたこのお店も、三代目が亡くなり、その後30年ほどお店は閉まっていたそうです。3代目の娘婿である今の4代目がお店を再開。今から5年半ほど前のことでした。その前は10年ほど「吉野寿司」さんで箱寿司などを学んでいたそうです。

ランチはセットがあって、小鉢やお吸い物が付いていてお得です。

まず代表的な「バッテラ膳」1600円は、小舟の形で登場。長い歴史を感じる深い味わいです。蕪豆腐の小鉢は優しい味わいの蕪の大根餅のような一品です。赤出汁のお椀には大きなさつま芋が。

「活あじ棒寿司膳」1900円の鯵のお鮨は布巾で巻く方法で作られいい味です。どちらも酢で〆ることで魚の旨味が凝縮され歯ごたえもいい具合になるのです。

活あじ棒寿司


もうひとつ「手まり寿司セット」1900円は、エビ、サーモン、イカ、ハマチ、マグロ、鯛の可愛い手まり寿司です。

手まり寿司も食べ応えある

どのセットにもきゅうりと甘く炊いた椎茸の大ぶりの具入り巻きずしが添えられています。ダイナミックに美味しい。

私は京都のいづうの鯖寿司こそ最高と思っていましたが、このお店に来てここの「バッテラ」「活あじ棒寿司」にも魅了されました。


4代目大将と話していると、バッテラのことを事細かく話してくださいました。バッテラのことを話し出すと止まらない勢いでしゃべり続けられ、バッテラへの深い愛情を感じます。


ところが5代目になる人はあいにく今のところいないそうです。寿司常さんのこの先はどうなってしまうのか?大将いわく、「若い人はカウンターでさっと握って出すにぎりの方がかっこいいので、なかなか手間のかかるバッテラをやろうという人は少ないんです」とのお話。

この素晴らしい寿司常さんのバッテラがなくなってしまうなど、大阪文化の損失なのではないでしょうか?誰か5代目になりたい方はいませんか??


お店の公式サイトはこちら。


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