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辺境のピザ屋は「浦島太郎」伝説地の人気店。シェフは1枚のマルゲリータピッツァを極めるため、腕に磨きをかけ続ける。

辺境のピザ屋uRashiMaウラシマ。その名前だけでなく浦島太郎の伝説の地にあるというので、妄想が膨らみます。

京都府北部の京丹後市と言っても小さな町が集まってできた田舎町。それも町の中心には程遠い小さな漁港にその店はありました。大都市である京都市や大阪市へは車で2時間半ほどかかるような場所です。

たしかに辺境の地、でもこのお店の中だけは南イタリアのような別世界を作り出していました。
足を踏み入れると、そこは紛れもなく小さな小さなピザ屋さんです。

ナポリから取り寄せたというブルーのきれいなタイル貼りの大きなピザ窯が存在感を見せています。最大で6人位しか座れないカウンターがあるだけで、でもちゃんとしたエスプレッソマシーンまであって、イタリアのバルのようでもあります。とにかく、いい意味で突っ込みどころ満載のお店なのです。

この地で生まれ育ったというオーナーシェフ藤原英雄さん。5年ほど前にこのお店をオープンするまではイタリアや日本のピザの名店で修業。兵庫県の「ピッツァリアリストランテさくらぐみ」で腕を磨き、「神戸北野ホテル」のイタリアンで店長兼シェフもされた後、2017年に地元に戻って来たそうです。

かれこれ20年以上ピザを焼き続けているとか。それにしては見た目がすごく若い方です。まだ玉手箱開けてないとか?(冗談)

ご両親が「藤原鮮魚店」を営まれ、獲れたての新鮮な魚介類や地元の生産者の農作物を使って、ここでしか作れないピザを焼いているそうです。

6席あるカウンターも、今は1組しか受けないので、私たちが予約していったので、飛び込みで来た客は皆断っておられました。地元以外にも大阪や京都、神戸やそれ以上遠くからも食べに来る人が増えて来たとか。人気のほどがうかがえます。

サービス係は女性が1名。地元の方っぽい素朴な接客にも好感が持てます。

その女性がシェフの前菜は美味しいからすごくおススメです!!とかなりプッシュされたので、軽くピザだけと思って入店したのですが前菜(4050円)も頼みました。それが超豪華で、イタリアっぽいのに驚きました。3人分一皿に盛り付けてもらったので壮観です。

前菜盛り合わせはどれも絶品

生ハムサツマイモのチップス、カリフラワーのサラダ、バイ貝地ダコのレモンマリネ、バターと雲丹のブルスケッタ、白いんげん豆青菜のソテー、アオリイカ揚げパンなど。味わってみて、このシェフが単なるピザ職人ではないということが判明したのです。


スプマンテを飲みながらとびきり美味しい前菜をつまみ、シェフと話が弾みました。

頼んだピザは、目の前でピザ生地を伸ばして具材を載せて釜の中へ。焼きあがるのを待つのもワクワクのひとときです。釜の温度がかなり高いのですぐに焼きあがります。

カプリチョーザ(2050円)はトマト、チーズ、きのこ、ハム、オリーブ、ミニトマトという気まぐれピザです。ピザの薄い部分は意外に柔らかく食べやすいピザです。

シェフのお薦めピザ(2600円)も頼むと、緑色の葉っぱがたっぷり載せられたピザが登場。珍しい黒キャベツだそうで、シンプルながらつゆがたっぷりでジューシーです。

ユニークな黒キャベツの汁だくピザはシンプルで美味しい

シェフは京都でお店を出す話もあったけれど、田舎を盛り上げるために地元に戻ったのだそうです。今はこの小さな店でシンプルなピザを焼くことが生き甲斐だとか。

他のことをいろいろ広げていくことはしたくないそうです。1枚のマルゲリータピッツァを極めることが大切。基本をしっかり、そしてより磨きをかけていきたいと話されていました。

最後、カウンターで立ったままエスプレッソを一口でグビッと飲み干して、イタリア気分もMAXになったところで、シェフに別れを告げました。

イタリアのバルのような小さなカウンター

外に出るとそこは突然、別世界のような京丹後の田舎の風景が広がっていました。なんだか私が玉手箱を開けてしまったみたい?




日本全国美味しいお店を巡っています。