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もしかして最下位?練習不足のハーフ(あかがねマラソンレポ)

12/3、第7回あかがねマラソンに参加してきました。お疲れさまでした。大会に携わった方々、応援してくださった方々、ありがとうございました。

私、Satsuki(32歳女)はハーフを走りました。練習不足の自覚はありましたが、なかなかヒドイ結果になりました。以下、時系列に沿ってのレポートです。

●前回もひどかったハーフ

人生でハーフは1度だけ走ったことがあります。それは5年前のあかがねマラソンです。その時は町を少し走ってから山に向かうコースで、そこまでハードなコースではなかったんです。
それにもかかわらず、最初の1kでお腹が痛くなり、上りも下りも歩いて3時間7分9秒という結果でした。総合順位は124/126位です。
それから5年間、ハーフは走っていません。今回は久々のハーフです。膝痛で練習不足だけど、はたして進歩したのでしょうか?

●戦略

標高差500m越えの高低図。
山を登って下りてくるコースとなっております。

コースの前半は上り坂で、後半は下り坂。下りはノーカンだから、実質クウォーターだな…。

そう考えた私の戦略は、「折り返し地点をゴールだと思って力を出し切り、下りはすーっと降りてくる」です。前のクウォーターマラソンで下りがすごく楽だったのと、力を温存してゴールしてしまったので、このような戦略を立てました。

今思えば、ゾッとするほど馬鹿な考えです。この戦略こそが最大の過ちでした。

●駐車場からスタート前まで

受付がないのめちゃくちゃ楽

ゼッケン・チップが事前に郵送されていて、受付不要タイプの大会でした。地元民だしゆっくり家を出ようかと思ったものの、グラウンドの駐車場に駐めたくて早めに出発。6時に起きて着替えと荷造りをし(子供の分もあるので時間がかかる!)、7時15分に家を出て、7時35分に到着しました。駐車場はまだまだ余裕あり。

スタートの9時まで1時間半あります。前回のマラソンで、レース前の時間はあっという間だと分かっていたので、悠長にはしていられません。

コンビニで朝ごはん

朝ごはんは、車で食べた
・もちもちチョコロールパン
・あんデニッシュパン
コンビニで食べた
・焼き鳥(皮)(タレ)(うまい)
・牛肉のおにぎり

ゼッケンつけや準備運動の時間もいるのだから、朝ごはんは早く済ませたかった私。一方、夫は「1時間半ある」とのんびり受け止めていたようで、コンビニのイートインスペースで朝ごはんをとることに。
1歳なったばかりの子に鳥五目おにぎりをあげたりしていたら時間は溶ける一方。
焦る、焦る。あんまり食べた感じはしないけど、適当なところで引き上げました。

歯ブラシをもっていってたので、車で歯磨きできたのが良かったです。

ラン友と合流

今回も母と姉と走ります。

服装はいつもの、Tシャツ・パンツ・ウィンドブレーカー。それに薄手の手袋をして、ネックウォーマーを母に借りて耳当てにしました。(寒い中走ると耳が痛くなる人間です。)
この服装は正解でした。

梅寒天を1つ母にもらいました。ちょっとした小物ならウエストポーチがなくても、ポケットに入れて持っていけるんですね。

スタート前では、誰かがスピーカーで準備体操を教えてくれています。それを聞きながら体操をしました。

すると、30秒前のアナウンスが。

準備体操でスペースをとるため、みんなあちこちに広がっています。私たちは体育館前にいて、特に離れていたので慌てて列に向かいます。その内に号砲が鳴り、その流れで走り出しました。

なんでマラソンって毎度毎度こんなにあっという間に始まるんですか。

●あかがねマラソン(ハーフの部)、号砲!

スタート時、笑顔を見せるアラサー

☆0~3キロ☆

姉はすぐ先へ。私は母と並んで走ります。ここは何度も車で通ったことがあります。景色を見て、「知ってる、知ってる」と思いながら走りました。

後ろのおじさん達が大声で楽しそうに話しています。声が丸聞こえです。盗み聞きしてるようで悪いなぁと思いましたが、勝手に耳に入ってくるので仕方がありません。おじさんの会話を聞いていると、めちゃくちゃあっという間に1kが来ました。

高速道路の下を通過して、どんどん山を上ります。2kもあっという間でした。景色は、橋があったり民家があったりして、飽きません。スカスカの古い橋があって、「渡りたいw」と母と話をしながら走っていました。

道がカーブしていますが、なるべく最短距離になるように直線気味に走ります。(皆は車線に沿って走っていました。)

膝は全く痛くなく、体も走るのに慣れてきて、良い調子です。ペースはキロ7分半です。ハーフの上り坂だし、こんなもんじゃないでしょうか。

☆3~4キロ☆

3kを過ぎて民家ゾーンを抜けると、歩き始めた人がいました。
あらあら可哀そうに…。力んじゃったのね…。
と余裕を見せながら追い抜きます。
この頃からお喋りおじさん達の声も聞こえなくなりました。みんな、自分との闘いが始まってきたようです。

でも、私は全く呼吸も足も疲れていません。安定したペースで、フォームに集中します。今回は「丹田を前に出して走る」ことと「脱力」を意識していました。あとはいつも通り、上から引っ張られてる姿勢と、上り坂なので腕振りをやや大きめにするように気を付けます。

母が前に出て、少し後ろを追いかける形になりました。3.5k辺りで第一の給水所があり、母が水を取りました。私は喉が渇いていなかったので「今がチャンスだ!」と思い、抜きました。

数百m進むと「マイントピア別子」(観光施設)があります。普段車でしか来ない場所まで走ってきたことに感動しました。
ここを過ぎると、いよいよ森らしくなってきます。

☆4~5キロ☆

(同じペースで走り続けますが、あっけなく母に追い抜かれてしまいました。)

マイントピア別子を過ぎると、次はループ橋があります。大きくぐるっと回って山を登るのです。姉の姿が見えないかな?と思って、顔を上げて目をこらしましたが見つかりませんでした。結構な差がついているようです。

ループ橋は楽しいです。車線に色がついていて、『マリオカート』の「加速床」みたいな感じがします。

ループ橋を渡ってからは少し傾斜がなだらかでした。橋があったり、常設のトイレがあったり。第二の給水所でアクエリを飲み、木々の色の違いを見ながら気分よく走ります。

この辺りでは、「何キロ地点から加速するか」を考えていました。暇だからです。色々シミュレーションした結果、7kから軽く加速し始めて、9kからマジ走りして、10kで力尽きることにしました。

☆6~7キロ☆

6k辺りで初トンネルが。トンネルの中って色が不気味で、恐怖心をあおられます。

脳内でトンネルが崩れた時のシミュレーションをします。
地震が来てトンネルに亀裂が走ったら、歩道のちょっとした段差の横にさっと寝そべって、瓦礫の下敷きになるのを防ぎます。そしてガーミン(ラン用腕時計)を6分置きに起動して保存してを繰り返して、「私は生きてます」っていう信号を送るんです。両手の指が10本なので、10本折ったころに1時間経ったのが分かる仕組みです。
(でもガーミンって、夫のスマホが近くにないと情報送れないんだっけ?って、帰りのトンネルで気づいてガックリしました。)

6~7kで体にダメージを感じ始めました。呼吸は全然大丈夫ですが、ふくらはぎが張っています。「脱力脱力!膝から下は存在しない!骨盤で動く骨盤オバケだぞ!」と思いながら、すーっと進んでいくイメージを作ります。
しかし現実は違います。しっかりと地面を蹴る感覚が足首にあるし、足裏も上り坂の傾斜の感覚があって、どうにもなりません。

7kからスピードを上げると決めていたのにどうしましょう?

☆7~9キロ☆

小雨が降り始めました。天気が悪いというよりも、山間部らしい細かい雨です。腰に巻いているウィンドブレーカーを着ます。手袋もつけると暖かくてほっとしました。

7k表示を見つけました。ふくらはぎは張っているだけで痛くはないです。だから、どこかでスピードを上げる戦略は変わりありません。
どこでスピードを上げようかなぁ…と考えていると、トンネルが見えたので、トンネルに差し掛かったタイミングでスピードを上げることにしました。
ついでにここで時計を確認すると、もう1時間が経過していて驚きました。
これは長丁場になるぞ…。と腹をくくりました。

スピードを上げるとしんどくなると思いきや、使う筋肉の場所が変わって、ふくらはぎの張りを感じなくなりました!前ももにバトンタッチして頑張れそうです。

思いがけず急に楽になったのと、人を追い抜いたことで、テンションが上がります。右側は折り返しをした早い人が帰ってきていて、自分も頑張るぞー!という気持ちになります。

そして、トンネルの中で母を見つけ、追い抜きました!
「早く!ペース上げて!もっと早く!」と振り返りながら煽り応援しました。
この、スピードを上げたら楽になるという発見を伝えたくて、必死にスピードを上げるよう訴えます。でも、「先に行って!」とジェスチャーされ、諦めて先に行くことにしました。

※私の感覚では7kからスピードを上げたのですが、ガーミンによるとキロ8分半ペースで全然早くありませんでした。周りの人よりは早かったので錯覚したようです。

8.5k辺りに分かれ道があって、東洋のマチュピチュこと「東平(とうなる)」の看板がありました。地元民のくせに行ったことがないので、そっちの道に行きたかったです。めちゃめちゃ推されてる観光地なので、東平がコースだったら盛り上がるのになぁ…と残念に思いました。(たぶん道が狭い。)

折り返しの人が増えてきて、姉が今どの辺りにいるのかが気になってきました。「9~10kの間ですれ違えたら勝ち」という謎ルールを作って、とりあえず9kを目指して一所懸命に走ります。

☆9~10キロ☆

私はハーフを約20kだと捉えていたので、「折り返し地点は10k地点にある」と残念な勘違いをしています。なので「10kはまだか?」という気持ちで走っていました。

すると、左にポキッと道が急カーブして、傾斜が丸見えになっているところに到達しました。えぐい傾斜です。ランナーの心をポキッと折る坂道です。ヒエッと悲鳴が出そうになりました。

(これを上るんかぁ…)と目を覆いたくなりましたが、(この先に折り返しがあるかも…!?)という期待が勝ちました。
エイヤッと立ち向かってみると、空に向かって駆け上がるような景色が待っていて、とても気持ちよかったです。

ここで折り返し済みのマリオのコスプレの人と目が合い、「It’s me, Mario」か何か声をかけられました。何もリアクションできないどころか、困惑の表情で視線を泳がせてしまったこと、本当に申し訳ないです。なんて返したら良かったんだろう…。

山のサイレンだと思ってたのが、ランナーの持っているブブゼラ音だったことが判明したり、すれ違う人を見るのが楽しかったです。

その急な坂道を上ると、視界がぱっと開けて、山は山なんですけど、今までとは明らかに違う景色になりました。今までは山に挟まれて見下されてる感じだったのが、高みから見下ろすような景色になりました。清々しいことこの上なし!

そして、とうとう10kの表示を見つけました。
でも折り返しがありません。
(どこ?誤差があるのかな?)
ちょっと走ってみても、見つかりません。
(どうして?)
頭の中で計算をして気づきます。
42.195÷2÷2は…10.5
ぎゃああああ!折り返しまだやあああ!!

10kで力尽きるつもりで走っていたのに、もう0.5k残っていたなんて!
発狂しかけました。

☆10~10.5キロ折り返し☆

呼吸は乱れ、足もしんどい!
必死に走っていると、折り返し軍団の中に手を振る人物が。姉です!姉とは9k~10kの間ですれ違えたら上等だと思っていたのに、なんと10k過ぎてからでした!自分、かなり頑張って追いつけてるぞ!
姉から「折り返しそこよ!頑張れ!」と応援をもらい、希望を持ち直して走ります。

しかし500mというのは案外長いんです。第4の給水所でアクエリを飲んで、ごみ箱のところで軽くふくらはぎを伸ばしていました。
すると、「使いますか?」とスタッフさんらしき人物にアイシングスプレーを差し伸べられました。
でも急いでいたので、「大丈夫です!」と振り切って、走りだしました。
コミュ障もあって、ついつい断ってしまいましたが、でも、やっぱり、後半あんなことになるなら使っておけば良かったです…。

そして折り返しコーンを発見。大量のスタッフさんが待ち構えていて、ゼッケンを見せないといけない雰囲気。ゼッケン番号を1つ1つ無線で連絡しています。

折り返し地点では、道をふさぐように写真を撮っているランナーが。もたもたと折り返しましたが、そんなことに腹を立てる私ではございません。微笑ましく思いながら、折り返しの喜びを嚙み締めます!

☆10.5キロ~13キロ☆

もしかしたら姉に追いつけるかも?なんて考えながら下っていると、上ってきた母とすれ違いました。500m差くらいでしょうか。意外とすぐだったので、声をかけられてビックリ。

爆速で走ります。傾斜がえぐいんで、ゆっくり走る方が難しいです。最高ペースは3:55/km。自分でもこのスピードはやばいな、と思いました。
大股で走ると、上り坂で疲れた筋肉が伸びて気持ちいいです。坂を猛スピードで下るのは怖いけれど、突き進むしかありません。
上りが苦手なのでここで頑張るしかない!
体を前へ倒します。

大体5分~5分半/kmのペースで走り続けました。

これはレース後の夫からのコメントです。
「下り坂はペース早くなって位置エネルギー的にも筋肉に衝撃が来るから、意外とダメージくらうんよね。」
先に言ってほしかったです。

下りは労力0で走れると思ってますから、このスピードであと10.5kも走り続けれるのかな?とそりゃ多少は疑問に思いましたよ。
でも、これだけの坂なら体前に倒していれば勝手に足出るでしょ!いけるっしょ!と軽く考えてしまいました。

靴紐をしっかり結んでおいたので、足先が痛くなることもありません。おかげでガンガンと豪快に走れました。

☆13~14キロ☆

トンネルゾーンまで戻ってきました。
ここで、足がもたないと察しました。
なぜなら、傾斜が緩やかで、自然と前へ進まなくなったからです。自力で走らないといけません。

ふざけんなよぉ〜!

この状況はまさにアレです。
子供の自転車の後ろを支える父親が「持ってるから大丈夫、大丈夫」って言いながら急に手を離すアレです。

無理だよぉ〜!
ふらつく自転車こと私は、頼みの綱を失ってしまったのです。

体が…重い…。全然進まない。
プールから上がった瞬間のあの重さです。
夢の中のスローモーションと言えば伝わるでしょうか。
頭の中ではまだ爆速を描いているのに、体が追いつかない状態です。もどかしい遅さです。

第3給水所まで戻ってきました。アクエリを飲みます。1杯なんてすぐ飲み干してしまいます。紙コップを2個取るべきでした。
そこで結構しっかりと1分以内でストレッチをして休憩しました。

ストレッチすると筋肉のバキバキが少しはマシになります。また走り始めました。トンネルに入っても、上りの時のような妄想は湧いてきません。「もう歩いてしまおうか」と「まだ頑張れる」の気持ちが葛藤していました。

☆14~15キロ☆

ふくらはぎ・太ももにはっきりと筋肉痛がきました。
たくさん運動した翌日になる、よくある筋肉痛です。怪我っぽい痛みではないので走りますが、気になります。

昔やってた『どうぶつの森』(ゲーム)で、「キンニク痛はきもちいいゾー!」みたいなことを言うキャラがいました。
どんなキャラかを思い出そうとして気を紛らします。トラ、鳥、クマ、うさぎ…。どれもそれっぽいのにビジュアルが思い出せません。

思いようによれば、筋肉痛も気持ちいいような気もする…。自分を騙しながら走ります。

少し歩いて、また走ってを繰り返します。手袋をつけたり外したりと小まめに温度調整をします。

マラソン中、過去を回想しがちなんですが、運動神経抜群な同級生がいたんですよ。でも長距離走だけは苦手ですんごい遅かったんですね。それを思い出しました。

マラソンは才能より努力のスポーツなのか…。
納得すると同時に、才能も努力もない自分にブーメランが飛んできました。

☆15~17キロ☆

15キロで完全に力尽きました。
筋肉痛に恥骨痛も加わったからです。恥骨痛は、妊娠して発症したものです。産後も半年くらいまでは長距離歩くと痛くなったのですが、最近はすっかり治っていたものです。久々の恥骨痛に気分は萎え萎え。

フルマラソンの「30kの壁」という言葉をご存知ですか。調子良く走っていても30k辺りで走れなくなるという、"あるある"らしいです。

私の壁って15kなの?
フルなんて絶対無理じゃん…。

ハーフレース中に、未来のフルを想像して2倍ダメージを受ける自分。哀れです。

キリが良いので休憩することにしました。トンネルの沿道を利用して、股関節やふくらはぎを伸ばします。

あと5キロもあるのか…。ここから先、走ったとしても30分かかるのか。無理ぃ…。

しょぼくれながら歩いていると、どんどん人に抜かされていきます。恥ずかしいです。なぜなら、私が爆速で一度抜いた人たちだからです。
私が爆速で抜いたのを見て、(調子乗ってんなぁ)と思ったことでしょう。そして歩いているのを見て(やっぱり疲れたんだな)って笑っているのでしょう。
抜いていく人のTシャツを見て、この人あの時抜いた人だ…なんて1人1人思い出してはショックを受けていきます。

でも走れませんでした。
筋肉痛はさらに強烈になり、お尻もバッキバキに筋肉痛で、どう歩いても絶対に痛いのです。
(お尻を使って走れないことが悩みだったので、初のお尻の筋肉痛は嬉しくもありましたが。)

16k地点での平均ペースは7:45/km、17k地点での平均ペースも7:45/km。歩いたり走ったりで進みます。

体力的にも精神的にも疲れました。その時、ポケットに梅寒天が入っていることに気づきました!疲れた体に梅寒天。これがめちゃくちゃ美味しい。口の中だけ天国です。1つと言わず5つくらい持ってきたかったです。

とうとう、ループ橋まで戻ってこれました。
ループ橋だけでも走るか!と思って、痛みを我慢して走り出しました。
しかし、ちょっと走っただけで恥骨痛が痛くて歩いてしまいました。
決心したことをすぐに挫折してしまうと、本当にガッカリして自己肯定感が下がります。長い溜息が出ました。

ループ橋を降りたところで、スタッフさん3人が応援してくれました。無視するのも悪いので、目線を合わせます。
すると、歩くのが遅いので、何秒も見つめ合う形になってしまいました。応援の言葉もそんなにバリエーションないですから、沈黙が流れて、気まずい…。
もうこんな思いはもうしたくないと思ったので、スタッフさんが見えたら走るというルールを作りました。

☆17~18キロ☆

進みが遅いので、ずっと同じ景色を見ているようです。飽きます。

ぶっちゃけ、歩いても、恥骨痛はあるし筋肉痛もあるんです。じゃあ走った方が良いのかな?とは思いました。
でも走るなんてキビキビした動きができないんです。ゾンビなんです。ゾンビが走れますか?
筋肉痛の時って、階段下りる時1段1段手すり使いながら、よた…よた…って歩くじゃないですか。そんな感じの体になってるんです。

そんな時、ピンクのウィンドブレーカーが私を抜きました。母です。

「母さーん!お~い!おいおーい!」
呼んでも気づきません。追いかけながら名前を何度か呼んだら気づいてもらえました。

「待ってぇ!」
「筋肉が痛いんだよぉ~!」
まじで置いていかないでほしくて、切実に訴えます。

母と一緒なら励まし合って一緒に走れるかも!
せめて後ろをついていきたい!
ヘロヘロですが、頑張って追いかけました。

同じペースで走れたなら、痛みも我慢できたはずです。でも、全力で走ってもどんどんどんどん差が開いていきます。
諦めて歩き出すと、母の姿はカーブの先に消えあっという間に見えなくなりました。

☆18~20キロ☆

民家ゾーンまで帰ってきました。
この曲がり角を曲がったらゴールかな?
なんて期待しては裏切られます。

民家とカーブの組み合わせが何回もやってきます。場所がループしているのか、時間がループしているのか、時空が歪んで同じところを何度も歩かされている気分です。

バス収容してくれないかなとチラッと思いましたが、ここまで来てそれは悔しいです。どうせ収容されるなら早ければ早い方が得です。

こういうところにもスタッフさんと応援の人がいるので、ルールに従って走ります。周りのランナーも頑張っています。

途中、フェンスの2mくらいの高さの位置に猿がしがみついて鳴いていて、めちゃくちゃ怖かったです。走って逃げたかったけど刺激してもいけないので、目を合わせずにゆっくり通り過ぎました。

下り坂だから横たわってゴロゴロ転がっていけるかな。と真面目に考えたのですが、キモすぎるのでやめました。

キロ11~12分のペースで歩いていると、徒歩の集団に抜かされました。かなりショックでした。
(そんなに早く歩けるなら走れよ!)と心の中で悪態をつきました。

その徒歩集団に抜かされたのを最後に、私は孤独になりました。

☆20~20.5キロ☆

ランナーがいない。スタッフがいない。
最初はそのヤバさに気づいていませんでした。ようやく1人になれたのをいいことに、ガードレールにしがみつき、しゃがみこみました。

止まると…楽だ…。
そんな当たり前のことを、ありがたくかみしめます。

マラソン概要をちゃんと見ずに参加しているので、このマラソンに関門があることを知りませんでした。関門はマイントピア別子を過ぎたところ(母に置いて行かれた辺り)、17.5kにあったみたいです。

つまり、私は関門を通過できていて、そこから何分かかっても自力でゴールしなければならなくなったようです。

あまりにも1人の時間が続きます。スタッフさんもいません、応援もいません。ただ、森の中を歩きます。

これはマラソン大会なのか?

私はウィンドブレーカーを着ていてゼッケンが隠れていて、一見ただの通行人のようです。
お前はランナーなのか?
私は何なんだ?

あの鮮やかな実はなんだろう?
ビワかな?
柿かぁ。
猿は食べないのかな?渋柿かな?
猿って干し柿作ったりするのかな?

自分との対話が続きます。
孤独です。

もしかして最後?と思ったけど、最後なら「この人が最後尾です!」みたいなバイクがついてくるよなぁと思いながら、とぼとぼ歩きました。平均ペースは13.7分/kmです。

寒さの辛さも加わって、地獄です。

☆20.5〜21キロ☆

息子に「回収」され苦笑いのアラサー

ゴールが近い気はしていますが、地図が頭にないのでどのくらい近いのか分かりません。

その角を曲がれば会場横の道路かな?
長いなぁ…。

この足では25m歩くのだって途方もない距離です。数百mなんて歩ける気がしません。

悲しみに暮れていると、ラスト500mで角から息子と姉が現れました。息子がこちらへ向かって走ってきます!こちらも駆け寄りたい気持ちはありましたが、歩くので精一杯。

姉には動画を撮られ、息子には「おっせえなぁ!まじ、遅すぎ!」と言われました。

嬉しかったです。実質ゴールしたようなものです。話せる相手がいるって、素晴らしいです。

姉に梅寒天をもらいました。
低血糖の心配もしていたので甘い物が食べれて一安心。

関門の話を聞いて、ゴールできるか心配になり、焦って歩きます。
息子は手を引っ張ったり、「まだ走ってまーす!」と言って先導してくれます。

立ち止まりたいどころか座りたいくらいしんどいですが、人がたくさんいるのでもう休憩できません。母も一緒に歩いてくれて、最後の最後なので頑張ります。

足が動かない代わりに腕振りは豪快に、ゴール!

●3時間4分で完走!

新居浜ゆるキャラのまちゅり。可愛い。

ゲストらしき方や、司会の方に声をかけてもらって迎えられました。マラソン大会って弱者に優しい世界だよなぁ。

チップを外してもらい、すぐにお土産と完走賞をもらいました。

結果は3時間4分9秒。

クッソ遅いのに、5年前と比べたら3分早くなってました。
そして、総合順位は94/94位。
(賞状では分からなかったんだけど、今ランネット見て判明しました。)

もしかして最下位?と思ってたら、
「まじで最下位」でした。

距離と時間を単純に倍にしたら、6時間越えですよ。愛媛マラソン、完走できそうにありません。

●感想

ただただ勉強になりました。
走ってる最中は絶望したものの、今になって思えば、良い経験をしたなと思います。

まず「足が動かなくなる」っていうのを身をもって知れたのが良かったです。ペース配分は大事で、長距離は同じペースで走らないともたなくなるんですね。
今まで3kやクウォーターで後半飛ばしてうまくいってたけど、ハーフはそうはいかない。って自分のレベルも知れました。

1番の学びは、下り坂もエネルギーを使うということですね。
一見、坂道続きに見えてもその中にはなだらかな部分も入っているということも忘れずに。

そして、デブだけの症状だと思っていた股ズレを経験したことも良かったです。(翌日気づきました。)愛媛マラソンはかならずワセリンを塗ります。
低血糖対策で食べ物も絶対持ち歩きます。

他には、
・冷却スプレー
を使う機会があったら使うこと。
・1人で歩いてるところを数人に応援されると辛いということ。
・最下位になっても、自分では分からないということ。
・日常生活で膝に不安があっても、意外と走れること。
こんなにたくさんのことを知れました。

今後のマラソンとnoteの更新予定

1月1日の新春城山登山マラソン(1.5k)に申し込みました。
1ヶ月ほど「週1・30~90分走」練習をしてみて、大晦日くらいに記事を更新する予定です。

▼エントリー▼
1月1日 新春城山登山マラソン
1月14日 愛媛マラソン教室
2月11日 愛媛マラソン フル


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