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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論788」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第35号(2008.3.25発行)「フィットネス業界2008年の展望ー6人の業界リーダーに訊く」1~※名称等は当時、一部文章省略

CBIでは6人の業界リーダーに、2008年の見通しや予測について取材した。
6人のインタビューから共通して浮かび上がってくるのは、この業界が2008年も進化し続けるということである。

「業界はますます洗練の度合いを増している」(IHRSAプレジデント兼CEOジョー・ムーア)

業界は、絶え間なく広がり続ける顧客のニーズに応えるべく、ますます洗練の度合いを増してきています。
様々なニッチマーケットが生まれ、それに対応する多種多様なビジネスモデルが生み出されています。
IHRSAは医療関係者がエクササイズを医療行為の一環として捉えるような活動を続けてきています。
このたび米国医学会会長のロナルド・デイビス医師と連携し、医師が患者に運動を処方し、その実施状況をフォローアップしていくことを推進する活動を開始しました。
またIHRSAは世界におけるヘルスプロモーションのリーダーになろうとしています。
世界保健機関(WHO)、国連、米国保健局などの団体と協力して活動しています。
究極的なゴールは、フィットネスクラブの会費を税控除の対象とすることです。
2008年度には、出版物やネットワーキングの機会を増やすと共に、医療との連携をどうビジネスに役立てるか、その道筋をメンバーのクラブに示して行きたいと思っています。

「カーブスが始めた医療保険との提携は、業界全体にとってまだ氷山の一角に過ぎません」(カーブス・インターナショナル共同創業者ダイアン・ヘイヴィン」

今日、カーブスは世界57ヶ国、米国全50州で、1万店舗以上を展開、400万名以上の会員を擁しており、年間売上は20億米ドルに達しています。
各種のニッチマーケットを狙ったクラブも数多く登場していますが、これはフィットネス業界も、よりターゲットされたサービスを提供する段階に入ったことを示しています。
ターゲットする市場に対して、最も高い価値を提供できる企業だけが生き残るでしょう。
カーブスでは、会員向け情報誌「ダイアン」を発行し、2008年には、米国内で「カーブススマート」というパーソナルコーチングシステムを導入することも予定しています。
全米50州と海外数ヶ国において、70以上もの医療保険と提携し、健康的な生活を送るための動機付けも積極的に行っています。

「我々は非常に力強い成長を続けています」(フィットネス・ファーストCEOコリン・ワゲット」

業界の成長は若干鈍ってきているかもしれませんが、この市場が縮小したり停滞する兆しは見えません。
他のマクロ的な要因は全てこの業界への追い風となっています。
当社は16ヶ国で528店舗(うちフランチャイズが8店舗)を展開し、150万名もの会員を擁していますが、常に1クラブ当たりの会員数、1会員当たりの売上を着実に伸ばすべく努力を続けています。
イギリスのフィットネス市場は年率5-10%のペースで成長を続けてきており、フィットネス・ファーストはそれを遥かに上回る年率15-25%というペースで成長しています。
2008年にはインド市場に参入を予定しています。
オーストラリア市場でも大きな成功を収めています。
多くの新興市場において、我々は市場のファースト・ムーバーでしたが、すぐに競争が巻き起こりました。
西ヨーロッパでも好調な業績を上げており、全世界トータルとしては2008年に40~45店舗の新規出店を予定しています。
世界的に経済情勢が不安定な昨今は、「コストに見合う価値を提供する」という戦略の方が、「プレミアム追求」「ライフスタイル提案」といった戦略よりも強いだろうと考えています。
低価格クラブも増えてきており、市場が二極化しつつありますが、どの戦略をとるにしても、価格に見合う価値をどれだけ提供し続けられるか、その要求水準は今後もどんどん上がっていくことでしょう。

~ここまで~

世界的な不況のきっかけとなったリーマンショックは2008年9月に起こりましたから、本記事はその少し前のインタビューになります。
業界リーダーがそれぞれの立場で展望されておりましたが、全体的な印象としては、直後に起こる危機の予兆を感じることなく、これまでの延長線上で成長が続くと思い込んでいた節があります。

2020年のパンデミックも予想しえないものでしたが、現在の延長線上にはない未来が起こった場合に、自社の提供サービスが果たして耐え得るものかどうかを常に念頭に置く必要があると思います。

それ以前からフィットネスビジネスは、総合型クラブを中心に低利用者の会費によって収益を担保してきた点で、フェアトレードでない側面がありました。
そのことが、今回のパンデミックで露わになり、いまだ回復の程度が7~8割といった企業が大多数です。

このように認識している本質的な問題にメスを入れることなく、運営し続けていけば、いつかは起こる次のショックに耐えられないことは明白です。
24時間化やバーチャル化、付加価値向上を伴わない値上げなどの施策がいずれ通用しなくなることを関係者は肝に銘じる必要があるでしょう。

お読みいただきありがとうございました。

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