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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論789」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第35号(2008.3.25発行)「フィットネス業界2008年の展望ー6人の業界リーダーに訊く」2~※名称等は当時、一部文章省略

CBIでは6人の業界リーダーに、2008年の見通しや予測について取材した。
6人のインタビューから共通して浮かび上がってくるのは、この業界が2008年も進化し続けるということである。

「至るところに大きな機会が待ち受けています」(IHRSAヨーロッパ地区ディレクター ハンス・ムエンヒ)

ドイツのクラブの多くは資金が不十分な上に、投資に対して健全なリターンを得ているとは言えない状況です。
金融市場の低迷の影響で、クラブチェーンの成長も鈍ってきています。
フィットネス・ファーストだけは例外ですが。
ドイツのクラブ業界は若く、他のレジャー、スポーツ、健康、ホスピタリティ業界に追いつくまで、まだまだ道のりは長いと言えます。
業界の情報を積極的に出していくことで、投資家に関心を持ってもらうことも重要だと思っています。
ドイツで特に注目されているのはメディカルフィットネスです。
ですが、メディカルマーケットに本格的に参入する前に、業界のスタンダードを確立し、サービスの質を担保するような仕組みを作り上げる必要があると思います。
業界では低価格・バリュー重視というのが大きなトレンドとなっています。
富裕層も含め、適正な製品をより安価で購入するのが賢い、という空気があります。
また、医療保険との関連で、サービス提供者が有資格者であることが求められるようになってきました。
そのため、業界の資格認定制度の重要性がますます高まっていくことでしょう。

「この業界は素晴らしい業績を達成していくことでしょう」(A!ボディ・テック・クラブパートナー兼ディレクター ホセ・アントニオ・ダ・ロッサ」

ブラジルには南米市場最大かつ最良のクラブがあると思っています。
売上(約7.63億米ドル)、クラブ数(7350軒)、会員数(370万名)においてはブラジルが南米市場でトップです。
ただ、国民のクラブ参加率は1.9%で、南米で4番目です。
今後3年間、市場は少なくとも年率10%で伸びていくと考えています。
これは富裕層の増加と、所得の伸びによるものです。
ブラジル経済が今のまま順調に成長すれば、フィットネスクラブへの参加人口は増えていくことでしょう。
業界の課題としては、クラブ利用に関して政府の税優遇策を勝ち取るとともに、人々の健康と生活の質を向上させるための運動振興キャンペーンについても政府の支持を得たいと考えています。
また、ブラジル市場では現在18歳から35歳という若い層がフィットネスクラブのメインユーザーなので、ベビーブーマー層やシニア層の開拓も大きな課題です。
法人市場も開拓の余地が大きいですし、慢性疾患の予防手段としてのメディカルマーケットについても大きなビジネスチャンスが眠っていると考えています。

「業界の成長は加速すると考えています」(ワールドヘルスクラブ創業者兼プレジデント ブライアン・ホーバン」

カナダのクラブ業界はまだ比較的若い段階にあり、中小の地元クラブが大多数を占めています。
今年は、地元のローカルクラブと米国からの参入クラブの両方の動きにより、クラブ業界の成長が加速すると考えています。
当社、またカナダ全体のクラブにおいて、現在売上の伸びを牽引しているのはパーソナルトレーニングです。
2008年の既存店舗の売上は10%増、利益は14%増となることを見込んでいます。
カナダの優良クラブは、パーソナルトレーニングの売上増によって、今年も順調に業績を伸ばしていくことでしょう。
カナダには圧倒的な地位を持つ全国規模のクラブチェーンが存在しないため、事業拡大の余地も大きく残されています。
今後カナダのクラブ業界においても、プライベートエクイティと組んだクラブ企業が、業界をリードし発展させていくでしょう。
カナダ政府の政策も業界の発展に寄与すると思います。
昨年カナダ政府は、子供の運動に関連する出費については最大500ドルまで所得税控除の対象とするとの政策を打ち出しました。
今年この優遇策の対象が、子供だけでなく成人にまで拡大されると期待しています。
ドル安もまたカナダのクラブ業界にとっては好材料です。
ドル安によってアルバータ州の黒字額は史上最大規模となっており、クラブのメンバーの可処分所得も増えています。
クラブのマシン類は米国から輸入しているため、その点でもドル安の恩恵を大いに受けているのです。

~ここまで~

他の業界に違わず、フィットネス業界も米国の情報がメインのため、リーマンショック以前の欧州、南米、北米の業界状況を知る貴重な記事だと思います。

日本国内でも当時は、1000坪~1200坪クラスの大型総合クラブ開発やカーブスモデルの進出など新規出店数、総クラブ数、市場規模ともに順調に伸びていた時期でしたので、リーマンショック後のしばらくの低迷は、予想していなかった歴史でした。

しかも本来はこの低迷期を脱する方法として、定着志向経営をスタンダードにする必要がありましたが、24時間ジムのエニタイムフィットネス進出など省サービス化が業界全体の方向感となったことは、パンデミック後の現在の低迷を生み出すきっかけとなったと振り返ることができます。

お読みいただきありがとうございました。

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